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2021-09-05

【アメフト】富士通ヤングスペシャルチーム躍動 ノジマ相模原を撃破

【富士通 vs ノジマ相模原】第1Q、富士通の井本がノジマ相模原のハイタワーにハードヒット、ファンブルさせる。このボールをリカバーした富士通がTD=撮影:小座野容斉

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アメリカンフットボール・Xリーグの最上位「X1スーパー」が9月4日、東西の2会場で開幕した。
 富士通スタジアム川崎で開催された富士通フロンティアーズ対ノジマ相模原ライズの一戦は、王座奪還を目指す富士通が若手スペシャルチームの活躍でノジマ相模原を破った。

富士通フロンティアーズ○49-17●ノジマ相模原ライズ
(2021年9月4日、富士通スタジアム川崎)

 先制したのは富士通。オープニングドライブで、RBトラショーン・ニクソンのランを中心に攻め込むと、第1クオーター(Q)2分、QB高木翼からWR松井理己へ23ヤードのタッチダウン(TD)パスが決まった。
 富士通は、直後のキックオフで、ノジマ相模原リターナーのリー・ハイタワーをファンブルさせると、小梶恭平がリカバーしてそのままTD。14-0とリードした。
 富士通は第2Qにもゴール前のチャンスを得ると、同4分、QB高木からWR宜本潤平にTDパスが通って、21-0と差を広げた。
ノジマ相模原は2Q10分に、K佐藤太希のフィールドゴールで3点を返したが、富士通は同11分に、QB高木からWRサマジー グラントに28ヤードのパスを決め、突き放した。
 富士通の高木は第3Q7分にもWR小梶にTDパスを決め35-3と、勝敗をほぼ決定づけた。
 第4クオーターに、ノジマ相模原はQBカート・パランデックがエースWR八木雄平への2TDパスで反撃したが、富士通も2番手QB高津佐隼矢がパスとランで1本ずつTDを決め、最後まで主導権を手離さなかった。

【富士通 vs ノジマ相模原】第1Q、富士通の小梶が、ファンブルをリカバーしてTD=撮影:小座野容斉
【富士通 vs ノジマ相模原】第1Q、富士通の小梶が、ファンブルをリカバーしてTD=撮影:小座野容斉

ノジマ相模原に痛いキッキングのミス 

 勝負所でキッキングのミス。それを、富士通が見逃さずにTDに結びつけ、快勝した。

 富士通先制の直後のノジマ相模原のキックオフリターン。リターンするハイタワーは、ボールを腹の辺りにルーズに抱えていた。筆者は「危ないな」と感じながら、望遠レンズでハイタワーを追ったが、富士通のカバーチームも、それを見逃さなかった。頭からタックルに入った井本健一朗は、ボールを直撃して弾き飛ばした。転がったボールを拾い上げた小梶が易々とTDを決めた。

 第2QのTDも、ノジマ相模原のキッキングのミスが発端だった。

 ノジマ相模原はフィールドゴール(FG)のスナップミスで、富士通に攻撃権を譲ったが、ディフェンスが奮起して高木をQBサックするなどして3&アウトでパントに追い込んだ。

 ベテランの若島慎兵は、この良い雰囲気をリターンにつなげたいと気が急いたのだろう。思ったより距離が伸びた富士通P吉田元紀のパントの目測を誤って捕球ミス。富士通の徳茂宏樹に奪われた。富士通はこのミスを逃さず、またもTDに結びつけた。

 富士通の井本と小梶は25歳、徳茂は24歳。第1戦で働くバリバリのヤングスペシャルチーㇺが集中力を見せてノジマ相模原のミスをえぐった。

 昨年の開幕と同じカード、3-48という大敗の雪辱を期して力を蓄えてきたノジマ相模原だが、戦力的に劣るチームが、キッキングでミスをしては勝てない。それを見せつけられた初戦となった。

【富士通 vs ノジマ相模原】第2Q、富士通の徳茂が、ノジマ相模原のパント捕球ミスをリカバー=撮影:小座野容斉
【富士通 vs ノジマ相模原】第2Q、富士通の徳茂が、ノジマ相模原のパント捕球ミスをリカバー=撮影:小座野容斉
 
変わろうとする富士通 コンバート組が活躍

 昨年のジャパンXボウルでオービックシーガルスに敗れ、5連覇を逃した富士通。強豪チームゆえの悩みは、スターターに優れた選手がそろっていて、なかなか変化させようがないところだ。学生トップ級の選手が加入しても、レギュラーには程遠い。

 そのために、昨年の敗戦後、思い切った決断をした。昨年リーグMVPのQBマイケル・バードソンを放出、エースQBを高木に定め、控えQBとして、WRだった高津佐隼矢をコンバートした。

 日本代表QBとして米国のプロ予備軍チームとも互角に渡り合う実力を示したQB高木だが、昨年はほとんど出番が無かった。

 この試合も当初は決して本調子とは言い難かった。そんな高木にとって、余裕をもってプレーできる点差が序盤からもたらされた。

 高木は徐々に調子を上げ、4本のTDパスを決めて、勝敗をほぼ決めただけでなく、試合時間がかなり残った状態で高津佐がプレーできるチャンスを得た。

【富士通 vs ノジマ相模原】第2Q、TDパスを決める富士通QB高木=撮影:小座野容斉
【富士通 vs ノジマ相模原】第2Q、TDパスを決める富士通QB高木=撮影:小座野容斉

 高津佐は、最初のドライブこそファンブルでターンオーバーとなったが、以後は落ち着いてプレーを重ねた。

 昨年のこのカードでは、試合開始のプレーでキックオフリターンTDを決めたスピードスターだが、層の厚い富士通レシーバー陣の中ではなかなか出番が無かった。法大時代からフットボールセンスはずば抜けていて、パートタイムでQBとして起用されたこともある。

 単なる控えQBではなく、オフェンスのスペシャルプレーでの起用も考えられる、面白い存在となった。

【富士通 vs ノジマ相模原】第4Q、富士通QB高津佐が自らボールをキープして走りTD=撮影:小座野容斉
【富士通 vs ノジマ相模原】第4Q、富士通QB高津佐が自らボールをキープして走りTD=撮影:小座野容斉


 その高津佐から、パスをレシーブしてTDを決めたのがTE藏野裕貴だ。関西学院大学から巨体と運動能力を兼ね備えたエリートOLとして名を馳せ、富士通に加入。TもGもこなせる万能OLとしてスーパーサブ的な存在で、試合出場を重ねてきた。

 ただ、国内最強のOLの中では、なかなか先発ポジションを奪えず。その能力を生かすためにTEに転向した。この試合ではチームで2番目となる、2パスレシーブ・35ヤードを記録した。

 TDパスのプレーは、アウトサイドのスクリーン。元OLとは思えないスピードで走り抜けてエンドゾーンに飛び込んだ。188センチ125キロが登録データだが、おそらく体重は10キロほど少ないのではないか。

 ブロック力は、OLと変わらないので、RBニクソンのランにも大いに寄与できる。
 他チームなら間違いなく、Tとしてスターターになれる素材をTEにコンバートする余力が富士通の強さと感じた。
【富士通 vs ノジマ相模原】第4Q、富士通のスクリーンパスからTE蔵野がTD=撮影:小座野容斉
【富士通 vs ノジマ相模原】第4Q、富士通のスクリーンパスからTE蔵野がTD=撮影:小座野容斉

【富士通 vs ノジマ相模原】第3Q、富士通DL富士谷がノジマ相模原QBパランデックをロスタックル=撮影:小座野容斉

【富士通 vs ノジマ相模原】第3Q、富士通DL富士谷がノジマ相模原QBパランデックをロスタックル=撮影:小座野容斉


【富士通 vs ノジマ相模原】第1Q、ノジマ相模原QBパランデックの突進を阻む富士通のルーキーDL宇田=撮影:小座野容斉

【富士通 vs ノジマ相模原】第1Q、ノジマ相模原QBパランデックの突進を阻む富士通のルーキーDL宇田=撮影:小座野容斉


【富士通 vs ノジマ相模原】第4Q、ノジマ相模原WR八木がTDを決めたが笑顔はなかった=撮影:小座野容斉

【富士通 vs ノジマ相模原】第4Q、ノジマ相模原WR八木がTDを決めたが笑顔はなかった=撮影:小座野容斉

【小座野容斉】

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