女子プロレス団体「アイスリボン」所属〝18歳の狂乱娘〟鈴季すずが9月12日のFMWE鶴見青果市場大会で自身初の電流爆破デスマッチ初挑戦に挑む。
電流爆破デスマッチの祖〝邪道〟大仁田厚の目に留まる形で未知の世界に足を踏み入れることを決意したすず。当初、今大会でその大仁田とタッグを結成する予定だったが、直前会見でミスター・ポーゴ(シャドウWX)が乱入。8・15大阪大会で敗れた大仁田に再戦を要求すると、邪道もまたこれに応じたことから両者の一騎打ちが決定。その余波を受け、大仁田&すずのタッグ結成は消滅してしまった。
昭和を地でいく邪道ワールド全開の展開を経て、ハシゴを外された格好のすずは怒り心頭で「(大仁田を)後悔させてやりますよ!」と燃え上がる。
今年2月から7月にかけておこなわれたハードコア七番勝負では葛西純や竹田誠志といった男子のトップレスラー相手に血みどろの闘いを繰り広げたすず。アイスリボン8・9横浜武道館大会では〝デスマッチアマゾネス〟山下りなを相手に蛍光灯を用いた狂乱マッチを見せるなど賛否両論渦巻くデスマッチロードをバク進してきた。
初の電流爆破戦はすったもんだを経て、デンジャラス鬼棒電流爆破ミクストデスマッチ(すず&木高イサミvsアブドーラ・小林&世羅りさ)に決まった。キャリア2年9カ月、18歳は邪道ワールドという未踏の領域でもその生き様を貫くことができるのか。すず最大の武器はデスマッチへの本気と覚悟。昨今花盛りの電流爆破戦線においても、唯一無二の“すずプロレス”を見せつけるつもりの18歳に話を聞いた。
――初挑戦の電流爆破デスマッチ、始まる前からいろいろありますが?
すず そうですね(苦笑)。聞いてましたけど、大仁田厚ワールド、邪道ワールド。おぉ、そうか、こうくるかって感じです。
自分がいままで観てきた、そしてやってきたのは大日本プロレスやダムズ(FREEDOMS)のデスマッチだったので。電流爆破は同じデスマッチでもジャンルが違う感じはします。昭和のプロレスというか、自分たちのお父さん世代のイメージ。その試合形式に令和のいま触れられるっていうのは逆に新しいのかなと。それに自分はデスマッチがホント好きだし、爆破もタイミングがないと簡単にできるものでもないと思うから。いろいろあったはあったけど(苦笑)、そこはいいチャンスを得られたなと思います。
――初の電流爆破、少なからず不安もあるのでは?
すず 確かにデンジャラス鬼棒だか、爆破3倍だか何倍だか、危険だから封印したアイテムが使われるみたいなんで、爆破一発目なのに大丈夫なのかなっていうのはありますね(苦笑)。でも、自分は怖いものないので。さっきも言ったけど、爆破はいましかできないだろうし、できる時にやっておいたほうがいい。デスマッチでも、やったことがない形式とか凶器とかが1つでもあるとワクワクするタイプなので。今回の電流爆破っていう形式に対してめちゃめちゃワクワクドキドキですよ!
――大仁田さんとのタッグは消滅してしまいしたが?
すず リング上は別ですけど、普段は瞬時に爆発できるタイプじゃないんです。あの会見の時は(ポーゴが乱入し、大仁田ともみ合っている)状況を把握するだけで精いっぱいで。何が起こってるんだ?って気持ちで帰路につき、よく考えたらおかしいよな!?って。なんなんだよ…!と思って。
――会見においても邪道流を仕掛けられたと。
すず 正直、飲まれてしまった感はあるのは悔しいし、シャドウさんが『女とやってる場合じゃねぇだろう』とか言ってたことに対しても、言われた大仁田さんがその気になってたことに対しても物申したい気持ちはありますよね。向こうは主催者でこっちはオファー受けて参戦する側なのでカード変更に文句は言えないかもしれないけど、最初のカード(大仁田&すずvsアブドーラ&世羅)がリリースされてチケット買った人もいると思うし、タッグ組まないんであれば、俺が育てるとか後継者だとか言ってほしくないし。そのためにこっちも気持ちとか整えて(会見に)出陣したわけで。
――そこに対しての怒りはあると。
すず あとこれは個人的な思いなんですけど、私のおじいちゃんが大仁田さんの大ファンなんです。昔からプロレスが好きで、大仁田さんとタッグを組むってなった時、すごい喜んでくれて。少し前にガンで(生死の境を)さまようぐらいだったんですけど、いまも闘病生活を送ってて。自分の試合を観に会場に行くのが目標だって言ってくれてて。
――おじいちゃんはまだ会場には…?
すず まだ来れてないですね。(すずの故郷は)九州だから東京は遠いし、こんなご時世なので。でも配信映像とかで自分の試合を見て、喜んでくれてるんですよ。FNWE、大仁田さんとのタッグをやりたいと思ったのはそういう気持ちもあったんで。じいちゃんが喜ぶからって。だからこそ余計に腹が立ってるんです。
――すず選手は、女子選手による電流爆破トーナメントにもエントリー。優勝して大仁田さんを振り迎えたい気持ちは?
すず 振り向かせるというより、タッグ組めばよかったって後悔させてやりますよ。後悔はさせたいですね。経験値とかネームバリューとかでいったら大仁田さんの足元にも及ばないかもしれない。だけど、自分には自分にしかできないデスマッチロードを歩んできた自信があるし、デスマッチレスラーとしての自信もある。電流爆破デスマッチ、鈴季すずなりのやり方で勝手に成り上がってやりますよ。
――となれば、余計に優勝しなければならないですね。
すず これで優勝できなかったら大きいこと言えないじゃないですか。こうやって言えるのは優勝できるっていう自信があるから。食って掛かりますよ、大仁田厚に。
――とはいえ電流爆破デスマッチは未体験ゾーンです。
すず 正直言えば生で観戦したことすらなかったです。だけど、参戦が決まってからいろいろ調べたんで。大仁田さん爆破も見たし、工藤めぐみさんの試合も見たし。最近の試合を観ましたよ。
――最近、さまざまなリングで電流爆破デスマッチがおこなわれています。
すず DDTの川崎大会で(東京女子プロレスの)乃蒼ヒカリさんとか出てましたよね。最近、プロレス界が電流爆破ブームなのか、いろんな人が爆破してるじゃないですか。やるからにはインパクトを残したいなと思いますね。普通にただ電流爆破マッチをやっても埋もれるだけ。いろいろあったけど、この試合凄かったよねって言わせたい。
――今回のトーナメントには8人の女子選手がエントリーしましたが、すず選手の爆破初挑戦には注目が集まっています。
すず まわりの人が楽しみって言ってくれるってことはそれだけ期待されてるってことだと勝手に勘違いしてるので。自分のモチベーションは一瞬下がりかけましたけど、それが怒りに変わったので。勝ちにいく、インパクトを残してやる。
――怒りを抱いてデスマッチに臨むのは初めてでは?
すず 確かにそうかもしれない。よく言われるのが「18歳の女子がデスマッチなんてやれるの?」「キャリア2年、3年のペーペーがデスマッチなんてできるわけない」、そういうのに対してなめんな!っていう気持ちはずっと持ってて。だから対戦相手も、見てくれるお客さんもうならせようと思いながらやってきましたけど、今回は爆発してますよ、気持ちが。今回闘う世羅さんはデスマッチで闘うこと自体初めてだし、アブドーラ・小林は七番勝負で髪の毛をバリカンで刈ってやったけど、試合には負けてるので。ヒゲも髪の毛も爆破で全部燃やしてやる! タッグを組むイサミさんもなんだったら全員敵だと思って、3人まとめて爆破してやろうと思います!