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2021-09-23

【ボクシング】新チャンピオン矢吹正道、「いまは、やり切った感がある」

左から、村上学マネージャー、加藤博昭トレーナー、矢吹、松尾会長、劇的勝利を飾ったチームだ

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 22日に行われたWBC世界ライトフライ級タイトルマッチで、8度防衛の安定王者・寺地拳四朗(29歳=BMB)との壮絶な戦いを制し、10回TKOで勝利した新王者・矢吹正道(29歳=緑)が一夜明けた23日、愛知県名古屋市内の所属ジムでオンライン会見を行った。

文_本間 暁 写真提供_緑ボクシングジム

 両目周りの腫れは、かなりのものなのだろう。サングラスで目を隠した新チャンピオンは、いつもどおりのポーカーフェイスを貫いた。
「寝るともっと腫れるって聞いたので、ずっと起きてました。気分はあんまりパッとしませんね」──。あれだけの大激闘を繰り広げながら一睡もしていない。疲労と眠気は頂点に達しているはずだ。それでも、実直な男らしく、はきはきと応えていく。

 試合の映像は見ていないという新チャンピオンは、4ラウンドまでの採点で、ジャッジ2者が40対36と矢吹優勢とつけたことについて、「右手をハイガードにして、(寺地の)ジャブをまともにもらわないようにした。それでいけたので、ジャッジがそこを見てくれたのかな」と見解を示した。
 戦前、「蜘蛛の巣のよう」と表現した寺地の多彩なジャブ。その強弱をことのほか警戒していたが、「強弱変化は想定内。“弱”はガードして無視し、ジャブの相打ちや右のカウンターで、拳四朗選手のジャブを深く差させるのを防ぎました」とその駆け引きを語る。世界3階級制覇の田中恒成(畑中)やフライ級のホープ、桑原拓(大橋)らとの出稽古に臨み、彼らのハイスピード・ジャブを体感して「学んだことが多かった」と振り返る。

 ジャッジの採点にかかわらず、試合全体の流れは矢吹がタクトを握っていたように見えた。が、「SNSとかで、拳四朗選手の周りの人たちが『コロナの影響があった』と言っているのを目にしました。でもそれは、プロモーターや拳四朗選手本人に失礼。試合をやるって決めたんだから」と、このときばかりは語気を強めた。

リモート会見に臨む新チャンピオンと松尾会長
リモート会見に臨む新チャンピオンと松尾会長

 試合直後の会見同様、「いちばん強い選手とやったので、いまはやり切った感がある。今後のことはなにも考えていない。ちょっとゆっくりしたいです」と、この先については明言を避けた。
 同席した松尾敏郎会長は、「彼は自分の意見をしっかりと持っている大人。もういろいろと考えて、ある程度、決めていると思います。私はそれを支持するだけです。自分の選手がこんな試合をしてくれて、あんなに感動したことはない」と、愛弟子への全幅の信頼と感謝をあらためて述べた。

「昔から、目標は兄弟チャンピオン。自分はそれが叶ったので、あとは弟(力石政法=日本ライト級6位)をチャンピオンにしてやりたい」と矢吹。昨日もセコンドに就いて、甲斐甲斐しく、マメにアドバイスを送っていた“影の参謀”への想いを打ち明け、今度はサポートに回ることを示唆した。

「あと30分で到着します」と、サングラスの奥の目がちらりと笑って見えたのは、試合後、まだ会っていないという家族との再会を語ったとき。妻の恭子さんとは深夜に電話で話したというが、長女・夢月(ゆづき)さん(11歳)、長男・克羽(かつば)くん(8歳)は就寝中で、言葉も交わしていないという。幸いなことに、今日は祝日。家族水入らずで、じっくりと喜びをかみしめてほしい。

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