アメリカンフットボールの関西学生Div.1は、11月14日、大阪市のヤンマースタジアム長居で、1位決定戦、関西学院大ファイターズ対立命館大学パンサーズの1戦があり、Bブロック1位の関学大がAブロック1位の立命館大に逆転で勝って58回目の優勝を決めた。関学大の優勝は2019年以来2年ぶり※となった。
関学大は全日本大学選手権(決勝は甲子園ボウル)の西日本代表決定戦「ウェスタンジャパンボウル」(12月5日、大阪・ヨドコウ桜スタジアム)に進出した。敗れた2位となった立命館大は西日本代表決定トーナメント2回戦(11月20日、岐阜・長良川球技メドウ)に回った。
※2020年の優勝は、新型コロナウィルス感染症によるトーナメント開催だったため優勝回数にはカウントしない。
関西学院大学ファイターズ28-25立命館大学パンサーズ(2021年11月14日、大阪・ヤンマースタジアム長居)【得点経過】
関学大 第1Q 10:24 RB前田公昭5ヤードTDラン(K永田祥太郎キック成功)
[関学大7-0立命館大]
立命館大 第2Q 2:30 K東輝衣44ヤードFG
[関学大7-3立命館大]
関学大 第2Q 6:25 WR前島仁→WR戸田龍太19ヤードTDパス(K永田キック成功)
[関学大14-3立命館大]
立命館大 第2Q 9:38 QB野沢研→WR大野光貴31ヤードTDパス(QB野沢→WR平井瑛登2点CV成功)
[関学大14-11立命館大]
立命館大 第3Q 9:58 RB平浩希2ヤードTDラン(K東キック成功)
[関学大14-18立命館大]
関学大 第4Q 0:13 QB鎌田陽大→RB前田27ヤードTDパス(K永田キック成功)
[関学大21-18立命館大]
関学大 第4Q 6:15 RB斎藤陸8ヤードTDラン(K永田キック成功)
[関学大28-18立命館大]
立命館大 第4Q 9:39 QB野沢→RB田名部怜央24ヤードTDパス(K東キック成功)
[関学大28-25立命館大]
関学大、11月とは思えない完成度の高さ 関学大が、大一番で、お家芸ともいえるRBやWRのスペシャルプレーを連発、タッチダウン(TD)を取り切って、宿命のライバル・立命館大を撃破した。
先制TDは、 エースRB前田のワイルドキャット。プルアウトしたOLに加え、並走したRB斎藤がナイスブロックで道を開け、前田がエンドゾーンに飛び込んだ。
2本目のTDは、HBパス。QBに入った前田からハンドオフを受けたWR前島が、右スイープのランと見せかけて、エンドゾーンに走り込んだWR戸田に完璧なタイミングとコントロールで決めた。中学・高校を通じてQBをプレーした前島にとっては、「スペシャル」ではなく当たり前のパスだった。レシーバーの戸田も、直ぐにパスコースに出ず、ランブロックの構えを見せて立命館大のDBの動きを止めた後、奥に走る芸の細かさだった。
第4Qの逆転TDは、スタッツ上はパスだが、ランプレーに近い。RB前田の早いタイミングのランと見せるハンドオフフェイクから、QB鎌田がOLの後ろに走り込んだ右前方の前田にピッチのようなショベルパス。前田は左に走路を取ると、エンドゾーンまで一気に走り抜けた。
4本目のTDは、またもワイルドキャット。第1Qとは反対に、斎藤がQBに入りボールキャリアー、前田がブロッカーとしてゲインを重ねた。関学大独特の、OLとRBが隙間なく密集して走るブロッキングに、立命大ディフェンスもなすすべがなかった。ゴール前では、斎藤が前田にライドして走り、どちらがボールを持つのかわからず、立命大が混乱する中、中央を突いた斎藤がエンドゾーンに飛び込んだ。リードを2ポゼッション差とする貴重なTDだった。
今季の関学大は2年生の大型QB鎌田を中心とするパスオフェンスのチームとみられていたが、鎌田のパスの調子が上がらず。2週間前の関西大学戦では2インターセプトを喫した。それがこの日のようなプレー選択につながった。4本のTDは、どれも11月とは思えない完成度。スペシャルではなく普通のプレーのような精度で選手たちが遂行した。
この日の勝利で、次戦まで3週間空くことになった。QB鎌田にとっては貴重な練習時間となるだろうし、負傷者が治癒する期間にもなる。今世紀2度目の甲子園ボウル4連覇に向けて、王者・ファイターズがしっかりと歩みを進めている。