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2021-11-19

【アメフト】パナソニック、「屈辱のフィールド」で富士通にリベンジ

【パナソニック vs 富士通】第2Q、富士通RBニクソンを取り囲むパナソニックディフェンス。OLBウィリアムズ(#39)のヒットでファンブルさせた=撮影:小座野容斉

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X1スーパー 第6節
パナソニックインパルス○26-20●富士通 第フロンティアーズ
(2021年11月13日、富士通 第スタジアム川崎)


 パナソニック6勝(勝ち点18)、富士通5勝1敗(勝ち点15)となり、パナソニックが今季リーグ戦1位が確定した。

【得点経過】
富士通 第1Q11:49 RBトラショーン・ニクソン 8ヤードTDラン(K西村豪哲キック成功)
 13プレー69ヤード 6:05 [7-0]

パナソニック 第2Q2:46 QBアンソニー・ローレンス→WR木戸崇斗 14ヤードTDパス(K佐伯眞太郎キック成功)
 7プレー38ヤード 2:57 [7-7]

パナソニック 第2Q4:03 K佐伯27ヤードFG
[7-10]

パナソニック 第2Q4:32 K佐伯45ヤードFG
[7-13]

パナソニック 第2Q12:00 K佐伯30ヤードFG
[7-16]

パナソニック 第3Q7:56 QBローレンス→WRブレナン翼 10ヤードTDパス(K佐伯キック成功)
 8プレー69ヤード 3:19 [7-23]

パナソニック 第4Q3:20 K佐伯37ヤードFG
[7-26]

富士通 第4Q7:23 RBトラショーン・ニクソン 1ヤードTDラン(QB高木翼2点CVパス失敗)
 12プレー74ヤード 4:03 [13-26]

富士通 第4Q11:26 QB高木→RBトラショーン・ニクソン 18ヤードTDパス(K西村キック成功)
 8プレー70ヤード 1:45 [20-26]

【パナソニック vs 富士通】第3Q7分、パナソニックWRブレナン翼が長身を生かしたTDパスキャッチ=撮影:小座野容斉

命取りとなった2度のファンブルロスト

 一時は19点差が付いた試合は、終わってみれば26-20。敗れた富士通は、格好はついたが、第2Qにターンオーバーから許した失点の分だけが届かない結果となった。

 富士通の2回のファンブルロストを振り返りたい。

 最初のファンブルは、エクスチェンジミス。パナソニックのタッチダウン(TD)で同点とされた直後の富士通オフェンスの最初のプレーだった。パナソニックのインサイドDL有村雄也がスナップ前にスタートして前に飛び出した。これに誘発されるように、富士通のC臼井直樹がスナップしてしまったようだ。QB高木翼は、意図せぬスナップに反応できず、ボールを落とした。これをパナソニックDLデイビッド・モトゥがリカバーした。NFLであればニュートラルゾーンインフラクションで、パナソニックのペナルティとなるが、このプレーではイエローフラッグは飛ばなかった。
【パナソニック vs 富士通】第2Q、富士通RBニクソンが、パナソニックOLBウィリアムズのヒットでファンブル=撮影:小座野容斉

 2度目のファンブルは、富士通の切り札、RBトラショーン・ニクソンのランプレーで起きた。ニクソンがボールを持った左サイドへのスイーププレーで、パシュートしてきたパナソニックのOLBジャボリー・ウィリアムズのタックルが、ボールを弾き出した。写真で確認すると、ウィリアムズのヘルメットが、ボールを抱えたニクソンの腕をヒットしていた。

 富士通は2度のターンオーバーの後、ディフェンスが踏ん張りTDを防いだが、パナソニックはK佐伯がフィールドゴール(FG)を確実に決めた。

 佐伯は、第2Qの3本を含め、4本のFGを決めた。ディフェンスの強いパナソニックが決めるFGは重い意味を持つ。その積み重なりが、富士通の勝機を押しつぶした。
【パナソニック vs 富士通】4本のFGを決め、パナソニック勝利に大きく貢献したK佐伯=撮影:小座野容斉

目指すは日本一奪還のみ

 パナソニックの荒木延祥監督にとって、アウェーの富士通スタジアム川崎は、近年、屈辱の場だった。

 昨年11月のオービックシーガルズ戦では、逆転勝利を目前にしながら、痛恨のファンブルで敗れた。1昨年の9月には富士通と戦い、一時は7-35とリードされるほどの大敗を喫した。試合中に勝利以外の目標を設定しなければならなくなった、荒木監督にとって初の体験だったという。

 その強力オフェンスの富士通相手に、第4Q途中までは完勝だった。第1Qは、ニクソンのTDを許したものの、第2Q、第3Qは得点させなかった。特に、富士通オフェンスがハーフタイムアジャストして臨んだはずの第3Qは、3回とも3rd&アウトに封じ込めた。
【パナソニック vs 富士通】パナソニックのOLBウィリアムズらのプレッシャーで、サイドラインにパスを投げ捨てる富士通QB高木=撮影:小座野容斉

 オフェンスも手ごたえのある試合だった。QBローレンスはパス28/37、219ヤード2TD。成功率は75%を超え、インターセプトを許さない、今季一番の出来だった。木戸崇斗、小倉豪、ブレナン翼というWRトリオにパスを投げ分けた。木戸は9キャッチ98ヤードはチームトップ、先制TDも決めた。ブレナンは第3Qに高さを生かしたTDパスキャッチで、リードを広げた。
【パナソニック vs 富士通】パナソニックQBロウレンスが、富士通DLマシスにプレッシャーを受けながら動ぜずにパスを決める=撮影:小座野容斉

 パナソニックが、試合中とはいえ、富士通相手に3ポゼッション差としたことは近年なかった。荒木監督の心中は、2年前のリベンジを果たした思いだったのではないか。

 荒木監督は試合後のハドルで、「今日は良く戦った」と選手たちを称えた。

【パナソニック vs 富士通】富士通ディフェンスのタックルを引きずり力強く突進するパナソニックRB横田=撮影:小座野容斉

 とはいえ、第4Qにキャッチアップを許したのは反省材料だ。パナソニックのフットボールは、大きく強く破壊的だが、時として、選手もサイドラインも「目の前の相手を圧倒した」ことで満足してしまうところがあるような気がする。最後の一瞬まで、気を緩めずに戦い抜くことが、これからの戦いでは最も重要になる。
【パナソニック vs 富士通】第4Q、富士通はニクソンの2TDで必死に追い上げたが・・・=撮影:小座野容斉

 試合後のインタビューで、リーグ戦1位を決めた感想を聞き漏らした。もう一度呼び止めてそれを尋ねると荒木監督は「ああ、そうでしたか。言われるまで気づきませんでした」と、無頓着だった。オービック、富士通と並んでBIG3、3強と言われながら、ライスボウル優勝はこの10年でも1度だけ。荒木監督の頭の中には日本一奪還しかない。

【パナソニック  vs 富士通】第2Q、パナソニックWR木戸がQBロウレンスからのパスをキャッチしTD=撮影:小座野容斉

【小座野容斉】

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