【箱根駅伝の一番星】國学院大・島﨑慎愛「距離が長くなれば勝機はある」４年分の経験を生かし、総合優勝へ流れを引き寄せる

陸マガの箱根駅伝2022カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」は出場20校の注目選手を紹介。國學院大の島﨑慎愛（４年）は出雲駅伝１区６位、全日本大学駅伝１区３位（区間新）と好走しチームの主軸を担う存在に。箱根で２年連続６区を務めている島﨑だが、１区への憧れも口にする。最後の箱根では、大きく掲げている総合優勝に向けどんな走りを見せるのか注目だ。

１区への憧れは実績があるからこそ

２大会連続して６区で好走した山下りのスペシャリストは、最後の箱根路に懸ける思いを隠そうとはしない。國學院大の島﨑慎愛（４年）ははっきりと言う。

「１区で１位でタスキを持ってくると、カッコいいですよね。１番、テレビにも映りますし、憧れます」

ただの願望を口にしているわけではない。今年度はレースで言うだけの結果を残している。３月の日本学生ハーフマラソンでは勝負強さを見せつけた。各校のエースクラスたちと互角以上に渡り合い、堂々の３位でフィニッシュ。

学生三大駅伝では希望区間で安定した力を発揮した。出雲駅伝は区間６位、続く全日本大学駅伝では区間３位。１区で文句なしの実績を残しているのだ。持ち味のスピードに磨きをかけ、レースの駆け引きも巧みになった。そして、課題だったスタミナもしっかりと強化。終盤でも失速することはない。

「ラストの絞り出しができるようになってきました。駅伝では１区のほうが、自分の力を100％発揮できると思っています」

言葉には確かな自信をにじませる。伊勢路（全日本）の後も練習の質を上げて、１区を見据えて準備をしている。コースは完全に頭に入っている。

ラスト３km付近の下り坂からレースが動くことを想定し、仕掛けるポイントもイメージ済み。冷静に対処すれば、十分にトップを狙えると踏んでいる。


注目されていない分、最後にすごいと思わせたい

東京オリンピックの3000ｍＳＣで日本勢初の７位入賞を果たした順天堂大の三浦龍司（２年）ら並み居るスピードランナーたちと競うことになっても、簡単に負けるつもりはない。

「距離が長くなれば、勝機はあります。20kmを超えてくると、スタミナの使い方もありますし、こちらには４年分の経験があるので」

区間賞へのこだわりは強い。それでも、最も欲しいのはチームの結果。今年度は過去最高の総合３位を上回る、総合優勝を目標に掲げている。島﨑は２大会前にエースとして活躍したOBの浦野雄平（現・富士通）を見て育ち、ずっと背中を追いかけてきた。憧れの先輩たちが築いた歴史を塗り替えることに意欲を燃やす。周囲の評価がダークホースの域を出ないことも分かっている。だからこそ、あえて口にする。

「注目されていない分、上位で走っていれば注目されると思います。浦野さんたちを超えたいんです。最後にすごいと思わせたい」

2022年の箱根路は、“最初”から“最後”まで國學院大から目が離せそうもない。


しまざき・よしのり◎2000年１月16日、群馬県生まれ。164.5cm・52kg、B型。藤岡東中→藤岡中央高（群馬）。２年連続箱根駅伝６区出走中。今季の日本学生ハーフでは１時間03分08秒の自己新で３位。出雲駅伝では１区６位、全日本大学駅伝では同区３位の区間新と好走を見せた。「箱根駅伝完全ガイド」のアンケートでは、自身のことを「犬系男子」という回答も。自己ベストは5000ｍ13分50秒20、10000ｍ28分27秒98（共に2021年）。