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2021-12-28

【高校駅伝】高校界No.1ランナー、洛南高・佐藤圭汰が3区で日本人歴代最高も「ここで負けていては将来で世界で戦えない」

佐藤は前回に続いて3区を担い、日本人最高記録をマークした(写真/宮原和也)

12月26日、たけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)発着で行われた全国高校駅伝。注目された佐藤圭汰(洛南高3年・京都)は3区で日本人歴代最高の23分10秒、日本人トップの区間4位でタスキをつないだ。チームとしても前回に続いて高校最高記録を更新する2時間01分59秒で2位に入った。

勝つことができず「悔しい」

3区でケニア人留学生と互角に渡り合った。佐藤は区間賞を獲得した世羅高(広島)のコスマス・ムワンギ(3年)をとらえることはできなかったものの、背中が見える位置で必死に食らいついた。小雪が舞い、向かい風が吹くなか、日本人歴代最高の23分10秒をマークし、区間4位。2016年に中谷雄飛(佐久長聖高/現・早大4年)が記録した23分28秒を超えるタイムだったものの、本人は笑みひとつ浮かべず、最後の高校駅伝を振り返った。

「満足のいくものではなかったです。打倒・世羅と言ってきたのにチームとして優勝できず(準優勝)、個人としても留学生にまた負けてしまいました。昨年よりは差を縮めたとはいえ、勝つことを目標に取り組んできたので、やっぱり悔しいです」

ケニア人留学生を強く意識するようになったのは高校2年生のときである。前回大会の3区でムワンギに1分以上の差をつけられて大敗。レベルの違いをひしひしと感じ、あの日から超えるべき目標となった。

「ここで留学生に負けていれば、将来、世界の舞台では戦えないと思いました」

3区を経験したことで、飽くなき向上心に火がついた。今年度は1500m、3000m、5000mで高校最高記録を更新。それでも、まだどん欲に上を目指している。進学予定の駒大では、1年目からオレゴン世界選手権の出場を狙うつもりだ。1500m、5000mの参加標準記録(3分35秒00、13分13秒50)は日本記録レベルだが、それも現実的な目標としてとらえている。

「大学ではトラックレースをメインにしながら、駅伝にも取り組んでいきたいです。2024年のパリオリンピックには出たいです。ただ出場するのではなくて、決勝に残りたいと思っています」

駒大のエースとして君臨し、大学陸上界のトップランナーとしても名を馳せる田澤廉も目標の一人。尊敬の念を抱きつつも、ただ後ろを追いかけるだけで終わらないという。

「1年目から田澤さんを超えていきたいと思っています」

丸刈り頭でまだあどけなさも残っているものの、大いなる野心を隠そうとはしない。目をギラギラさせ、競技者としての矜持をにじませていた。

ただ、ふとしたときに高校生らしい一面ものぞかせた。都大路が終わり、同期たちは髪を伸ばし始めるが、佐藤だけはあと少し馴染みの短髪を貫くという。

「卒業式で答辞を読むことになっているので、髪もこれじゃないといけなくて……。僕は髪を伸ばすのは卒業式の後ですね」

 短く刈り上げされた頭に大きな手をぽんと乗せると、口元を少しだけ緩めた。


さとう・けいた◎2004年1月22日生まれ。蜂ヶ岡中→洛南高(共に京都)。全国高校駅伝には3年連続出場。1年時は2区区間賞、前回は、3区区間5位(日本人トップ)。今季は、1500m、3000m、5000mの3種目で高校最高記録もマークしている。自己記録は、1500m3分37秒18、3000m7分50秒81、5000m13分31秒19(以上、2021年)。卒業後は、駒澤大に進学予定。

文/杉園昌之 写真/宮原和也

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