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2022-03-01

1つ目は名勝負数え唄第1戦! 歴史的事件が同日に2つ勃発した1982年10月22日の広島大会…新日本プロレス歴史街道50年(20)【週刊プロレス】

1982年10月22日、広島大会における藤波辰巳vs長州力

 昭和・平成・令和と時代を超えて刺激的な名勝負を数多く生んできた新日本プロレス。ただ、いくら凄絶な激闘が繰り広げられても、それだけでは名勝負になり得ない。時代背景やさまざまな人間模様が絡み合ってこそ、心に残る名勝負に昇華させていく。そのためには名勝負につながるプロローグが必要。昭和の広島県立体育館では2つの歴史的事件が同日に起こった。

 1つめは“名勝負数え唄第1戦”。1982年10月22日、広島県立体育館から『ワールドプロレスリング』のが生中継された。オンエアの第1試合は藤波辰巳(当時)vs長州力。その2週間前(同10月8日)、後楽園ホールでのシリーズ開幕戦でメキシコからの凱旋帰国試合だった長州が、アントニオ猪木の眼前で、タッグパートナーの藤波に牙をむき、試合そっちのけでやり合った。そう、あの有名な「かませ犬事件」が起きたのだ。

 もともと同日、藤波vs長州が組まれていた。シリーズ前に発表された段階では、メキシコ遠征でUWA世界ヘビー級王座を獲得した長州がその成果を藤波相手にぶつけるといった程度にしか見られてなかったが、反旗を翻したことで注目度は何倍にもアップ。それもあって因縁の一騎打ちは、番組オープニングに登場するのが通例だったタイガーマスクをセミファイナルに追いやって、オンエア冒頭から流された。

 開幕戦の翌日から長州はシリーズを欠場。冷却期間を置いての試合で冷静さを取り戻してはいるだろうが、ひとたび藤波と、向かい合えばどのような感情がほとばしるかわからない。観客に見せられない、いや放送コードに引っかかるほどの乱戦になることさえ恐れられた。

 当初は藤波の保持するWWFインターナショナルヘビー級王座が懸けられる予定だったが、ノンタイトル戦に変更された。また猪木は開場前、2人をリングサイドに呼んで「みっともない試合はするな」と声を掛けている。

 猪木の言葉で歯止めがかけられたのか、序盤は互いにライバル心をぶつけながらも見ごたえのあるレスリングの攻防を繰り広げた。そしてチャンスとみた長州は一気に攻め立てていったが次第にエスカレート。レフェリーも何とか決着をつけさせようと多少の反則は容認していものの、最後はイスを振り回して収拾がつかない事態に。結局、無効試合が宣せられた。

 そしてシリーズ最終戦の11・4蔵前、当初の予定を変更してベルトを掛けての参戦が決定。その後も藤波と長州は来る日も来る日も対戦する。結果的に、名勝負数え歌の幕は広島県立体育館で開いたのだった。
(つづく)

橋爪哲也

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週刊プロレスNo.2168(2022年3月9日号/2月22日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

今週号の表紙は2年ぶり新日本雪の札幌決戦のトリを飾ったIWGP世界ヘビー戦、オカダ・カズチカvs内藤哲也です。札幌ビッグマッチ2連戦はほかにもSANADAが棚橋弘至を破りIWGP-US王座奪取、田口&ワトが悲願の第69代IWGPジュニアタッグ王者になるなど盛りだくさんの内容。巻頭カラーから詳報します。注目企画は本誌読者&モバイルユーザー投票で決まる「プロレスグランプリ」で昨年から新設された「ベストユニット賞」を受賞したコズミック・エンジェルズを大特集。中野たむ、白川未奈、ウナギ・サヤカ、月山和香のメンバー4人をそれぞれ違う形でクローズアップ。12ページの大特集でベストユニットの魅力に迫ります。NOAHは2・23名古屋でGHCヘビー級王者・中嶋勝彦に挑戦が決まっている藤田和之を直撃。インタビューでは王座奪取して「NOAHを救う」と繰り返す藤田のここまでのNOAHの闘いを振り返ります。また、大日本「一騎当千」は関本大介が初優勝。優勝戦がおこなわれた後楽園をリポート。企画ものは「AEW通信」で日本人女子選手の活躍を特集。不定期連載「FREE TALK free TIME」は木高イサミが登場。また、初の自主興行開催直前の藤本つかさが見所を語ります。そのほかスターダム千葉、全日本・保土ヶ谷、ドラゲー福岡、DDT新宿、大日本・後楽園など掲載。【注意】発送後の返品・返金は原則不可とさせていただきます。送料は無料ですが、第三種郵便での発送となります。通常2~4日でのお届けとなります。また、事前に購入されても発売日にお届けすることは、お約束できません。ご了承ください。

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