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2022-03-06

【東京マラソン】鈴木健吾、一山麻緒が夫婦で日本人トップ「この1年間は苦しかったけど、乗り越えることができた」(鈴木)「うれしかったです」(一山)

鈴木健吾(富士通)と一山麻緒(ワコール)が日本人トップ

3月6日に行われた東京マラソン。男子エリートでは、鈴木健吾(富士通)が自身が保持する日本記録に32秒及ばなかったが、2時間05分28秒で全体4位の日本人トップとなり、夏のオレゴン世界選手権代表入りに近づいた。

鈴木は、昨年10月のシカゴマラソンの4位に続き、ワールドメジャーズ(世界6大マラソン)での連続入賞。国内では、日本記録を樹立した昨年2月のびわ湖毎日マラソン以来のレースだった。

女子エリートでは、一山麻緒(ワコール)が2時間21分02秒で全体6位、日本人トップとなり、MGC進出を決めた。自己記録に33秒及ばなかったが、自己セカンドベストの好記録だった。一山は昨夏の東京オリンピックで8位入賞を果たし、昨年12月には鈴木との結婚を発表。夫婦で日本人トップとなった。共に高め合う2人が、レース後の会見で語った世界で戦うための収穫と課題とは。

鈴木健吾「苦しい場面もあったが、押し切れたことは収穫」

――レースを振り返って。
鈴木 (今夏のオレゴン世界選手権の)代表を狙って走りました。調子が良くなかったので、本当は前(エリウド・キプチョゲらの先頭集団)につきたかったけど、代表をしっかり狙う走りをしました。この1年間、苦しいことも多かったんですけど、今回走って乗り越えられたかなと思います。これで世界選手権に近づいたかなと思います。

――フィニッシュ後では涙を流していましたが、この1年、何が苦しかったですか。
鈴木 日本記録保持者になって、周りの見方、私は前に出て目立つのは苦手なので、精神的に苦しかった。しかもレースも外せない。そういうなかで日本人トップ、世界選手権に近づけたので乗り越えられたかなと思います。

――今回のレースで得た収穫、海外勢との差を感じた部分は?
鈴木 どこで仕掛けようかと早い段階で勝負したかったので、20kmあたりからペースメーカーをあおって、ペースを上げて勝負にいった。その後、苦しい場面もあったが、押し切れたことは収穫だったと思います。でも、トップとは3分近い差がありますし、自己ベストでも3分以上の差があるので、少しずつ詰めていかなければいけない。自分のレースをしながら少しずつ距離を縮めていければと思います。

――状態がよくなったとのことだが、レース前に自信を持てた部分、持てなかった部分はどこでしょうか。
鈴木 びわ湖毎日(昨年2月、日本記録2時間04分56秒をマーク)までと同じ流れで練習を積んできたが、そのなかで何回か練習できない部分があった。本当いえば、5~6割くらい。ただ、シカゴマラソンまでの(取り組みの)ため、ニューイヤー駅伝に向かうまでの取り組みもあって、良かったのかなと思います。

――レース序盤にペースメーカーの人と話していたように見えました。
鈴木 ペースが落ち着いていたので、少し上げてほしいという話をしました。


フィニッシュ後、涙を浮かべた鈴木健吾(富士通)


一山麻緒「レース後半にペースを上げられるようにならなければ」

――レースを振り返って。
一山 30kmまではペースメーカーに合わせて、ゼロ感覚でいければと思っていたのですが、そこまでにあまり余裕がなかった。ただ、世界選手権の代表を何とか取りたいと思って動かしていました。

――新谷仁美選手(積水化学)を引き離したタイミングは、どのような思いで決めたのですか。
一山 あまり自分がリードしたという感覚はありませんでした。前だけを見て走ってみていました。

――レース後、新谷選手と涙を流していました。
一山 新谷さんが最後の最後まで一緒に走ってくれたので、その感謝の意味で伝えました。

――かなり練習を積んできたとうかがいましたが、今日のレースで強くなったと思う部分、まだ足りないという部分は?
一山 レースに向けては最後まで動かすことを中心にやってきました。余裕がなかったわりには、フォームも崩れなかったので、それは練習の成果だと思います。ただ2時間20分切りを目指していたので、上げるべきところでペースを上げられなかった部分もあります。その意味ではスタミナ持久力の部分がまだ足りないなと思います。

――鈴木選手と日本人トップになりました。
一山 はい、うれしかったです。

――東京オリンピックでは8位入賞を果たしました。
一山 前に走っていた海外選手の姿すら見えなかったので、もっと速いラップでいかなければいけないですし、やはりレース後半にペースを上げられるようにならなければと思っています。


セカンドベストでフィニッシュした一山麻緒(ワコール)

写真/椛本結城

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