19日、京都市体育館で行われたWBC世界ライトフライ級タイトルマッチで、王者・矢吹正道(29歳=緑)を3回KOで下し、王座返り咲きを果たした寺地拳四朗(30歳=BMB)が一夜明けた20日、オンラインで会見に臨んだ。文_本間 暁 写真提供_BMBボクシングジム
傷ひとつない顔で父・永会長と会見を行った寺地は、「夢のように嬉しい」と、いつもの飄々とした口調で微笑んだ。
自分のパンチを当てて、相手のパンチが届かない。上体を立てて、長い距離をキープし、後ろ足となる右足重心で戦うフォームから、相手のパンチも届く危険地帯に身を置きながら、前足(左足)重心を続けるスタイルへ。距離とスウェーバック主体の防御も、ガードと上体、頭を常に動かすものへと様変わり。これまでの“拳四朗スタイル”を知る者はおろか、眼前の相手、矢吹をも驚かせて、会心の勝利につなげた。
「練習どおりに動けました。あのスタイルを結構気に入ってます。パンチの貰い方(受け方)もいいし、(見ている人の)印象的にもいい」
これまでのフォームはパンチを貰わないことを主体にしていたが、昨日見せた新フォームは、アグレッシブさを強めただけでなく、寺地が培ってきた細かいテクニックも融合された“攻防一体型”。何段階かを一気に飛び越して、長足の進化を遂げた感がある。
だが、もちろんこのスタイルを続けていくわけではない。「相手によっては、今までのように足も使います。どっち(のスタイル)もあれば、相手もより混乱するんじゃないかと」。このスイッチを、試合中に変幻自在に切り替えることができるのならば、さらに対戦者にとって、攻略するのは困難を極めることになる。
本格的にビッグマッチ乗り出し宣言!?の寺地親子「今後のことは何も考えてない」と前置きした上で、「どっちか(統一戦か階級アップ)ですね。普通の防衛戦はもういいかな」と、試合後の会見でも語ったとおり、今後の試合への希望を明かす。
寺地会長も、「次は夏ぐらいと、年末にできればいいかな。拳四朗が言うとおり、世間が注目するカードをできたら」と、かねてから目標としているビッグマッチを求めていくという。