髙安(寄り切り)御嶽海この日は優勝のカギを握る1敗対2敗の取組が2番組まれた。1敗の関脇若隆景は2敗の平幕琴ノ若を寄り切って順当勝ち。結びで1敗の元大関髙安と2敗の新大関御嶽海が対戦した。
その前に3敗でわずかに可能性を残していた貴景勝は、カド番脱出に向け調子を上げてきた正代に敗れて脱落。正代は勝ち越しまであと一番とした。大関カド番力士が4連敗スタートから勝ち越せば、初めてのことになる。
そして、結びの一番。過去の対戦は髙安が19勝8敗と大きくリードも、直近は御嶽海が2連勝している。組み合う形になれば、髙安が有利だ。
立ち合い、胸から当たった両者。髙安は当たった瞬間に右を差し、左上手を取って組み止めた。こうなると御嶽海は何もできない。左を巻き替えようとしたところを、髙安は一気に前に出て寄り切った。
「いいところの廻しが取れたので、ペースを握れました。冷静に取れました。今日も気楽にのびのびやろうと思っていました」と振り返る髙安。
これまで何度も優勝争いに絡みながら、精神面から崩れていった苦い経験がある。「相撲が終わったらリラックスして、何もしないでメリハリをつけるようにしています。これまでの経験がありますから」と語る。
どうしても緊張してしまうだろうが、「なるようになるんじゃないですか。持てる力を土俵で発揮して、それで負ければ弱いということ。精いっぱい取れば結果はついてくる。ダメならダメで来場所があるし、気楽にやるのが精神的にいいんじゃないですか」。
残り3日、「気楽に」「のびのびと」「リラックスして」取れるかどうか。13日目は貴景勝と対戦。その後は正代、阿炎と当たるのだろうか。
一方の若隆景は残り3日、3大関との対戦が待っている。今後の相手を考えると髙安が有利な気がする。もし、1敗の2力士が1勝2敗なら、3敗の御嶽海、琴ノ若にもチャンスが出てくるが、悪くても2勝1敗で乗り切るのではないかと思う。
文=山口亜土