碧山(小手投げ)琴恵光中日を折り返して、優勝争いは平幕の5人が2敗でトップグループを形成。中日を終えて三役以上で2敗以内の力士がいないのは、金剛が平幕優勝した昭和50年名古屋場所以来になるそうだ。
9日目は玉鷲が敗れたものの、佐田の海、一山本、碧山、隆の勝の4人は白星を挙げた。9日目は気迫のこもった相撲で連敗を止めた碧山を取り上げたい。
碧山は6日目まで連勝を続けて、一時は単独トップに立ったが、7日目、8日目と連敗。このままズルズルといきそうなところで踏ん張った。
立ち合い、モロ差し狙いの琴恵光に対し、ワキを締めて頭から当たっていった碧山。右を差しこむと前に出る。左上手を取れなかったが、琴恵光が攻め返すタイミングで左から小手投げ。これが豪快に決まった。
「連敗中は自分の相撲が取れなかったので、あまり変なことは考えず、とりあえず前に出ようと思っていた」と碧山。変なこととは「相手のことを考えると自分の立ち合いができないので」と説明。「今日は落ち着いて前に攻める相撲が取れた」とホッとした表情だった。
優勝争いについて振られると、「過去に何回もあったけど、届かなかった。1日の相撲に集中することが大事。でも、勝ち越してもいないし、まだまだこれからです」と最初の目標は勝ち越しだ。
碧山は平成29年名古屋で13勝、31年春場所で12勝を挙げている。11勝以上が7回と爆発力があるだけに怖い存在だ。
9日目を終えて星を整理すると、2敗で隆の勝、碧山、佐田の海、一山本の4人。3敗で照ノ富士、豊昇龍、霧馬山、玉鷲、宇良の5人となった。この中ではこの日、大関御嶽海を破った隆の勝が有利か。あと対戦が残っている上位は関脇若隆景と小結の豊昇龍だけとなった。残り6日、勝ち越した力士もいないので、優勝予想をするのはまだ早いかもしれない。
文=山口亜土