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2022-06-10

【連載 名力士ライバル列伝】ヨーロッパからの「挑戦者たち」――琴欧洲中編

人一倍の負けず嫌いとハングリー精神でスピード出世を続けた琴欧洲

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四股名にズバリ「欧州(欧洲)」と名乗り、
大関へ駆け上がったブルガリア出身の琴欧洲(現鳴戸親方)。
その“先駆者”を目標にして上を目指し、栄位にたどり着いた
エストニア出身の把瑠都。
ヨーロッパから極東の国へ、
新風を吹かせた「挑戦者」二人の言葉を送る。

努力するほど、返ってくる
 
1年で最も好きなのは、名古屋場所の季節だった。高温多湿、誰もが稽古をしたがらないこの時期こそ、稽古熱心な琴欧洲は独擅場とばかりに、どんどん体を動かした。おかげで尾張名古屋ではケガもなく、現役12年で一度も負け越したことはない。

「稽古を積むことで、体から自信があふれてくる。『誰でもかかってこい。怖いものなんて何もない。オレが一番、稽古をしてきたんだ』ってね。充実した稽古ができたときは、誰とでもいい相撲が取れる自信があった。それは、横綱が相手でもね」
 
初めて横綱朝青龍を倒したのも、大関取りへ向かっていく平成17(2005)年の名古屋でのことだ。中日の対決、得意の左廻しが切られても稽古十分の体が良く反応し、最後は右上手投げで横綱を裏返しにした。

「頭から落としたから、次の場所は随分かわいがられましたよ(苦笑)」

翌秋場所、初日から12連勝と独走し、勝てば初優勝の13日目に再戦したが、一度は背中に回りながらも、横綱の俊敏な動きに付いていけずに敗退。優勝決定戦はまったく相撲にならず、一方的だった。

「朝青龍関に負ける時は、四つに組ませてもらえなかった。私は、廻しさえ取れれば(朝青龍得意の)左四つでも自信はあったけれど、離れた相撲になるとスピードが抜群だったからね。ただ、組んでも、柔らかい体を使って相手の力を利用するのがうまかった。後ろへ下がりながら下手投げを打たれるのも、よくやられました」
 
特定の力士を意識することはなかったとはいうが、唯一の例外は、朝青龍に次ぐモンゴル人横綱となる白鵬だったかもしれない。平成17年九州場所12日目、大関の座を目指す両者の対決は、まさにライバル心むき出しだ。右四つがっぷりからの投げの打ち合いは同体。取り直しの一番は「立ち合いを変えた」琴欧洲が左上手を取り、逆に上手を与えずに完勝したが、最後、白鵬が“ダメ押し”して露骨に悔しさを表しているのも面白い。

「確かに大関へは私が先に上がった。でも、白鵬はそれからも、寝て起きたら強くなっているというのが続いて、大関、横綱になってもさらに一皮むけて、もっと強くなった。抜かれて悔しい気持ちは、もちろんあった。でも、土俵の上での結果がすべてだから」(続く)

対戦成績=琴欧洲10勝―35勝白鵬、琴欧洲7勝―16勝朝青龍、琴欧洲27勝―15勝稀勢の里

『名力士風雲録』第28号 琴欧洲 琴光喜 把瑠都掲載

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