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2022-06-23

【ボクシング】菊池真琴が東洋太平洋新王者。佐山満里菜を3-0判定で下す/4年ぶり復帰の元世界王者・古川は阿比留に判定負け

左右のストレートで間合いを築く菊池(左)

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 22日、東京・後楽園ホールで行われたOPBF東洋太平洋女子バンタム級王座決定戦8回戦は、日本同級3位の菊池真琴(35歳=山木)が、同フライ級2位の佐山満里菜(34歳=ワタナベ)を77対75、77対75、78対74の3-0判定で下し、空位の王座に就いた。

文_本間 暁 写真_馬場高志

「自分にはテクニックなど何ひとつない。泥臭く戦うだけです」。勝者は涙を流しながら会場のファンに語りかけた。しかし、敗者との差を決定づけたのは本人が“ない”と思っている技術力だった。

 アマチュアの元全日本チャンピオン(ウェルター級)であるサウスポーの菊池は、佐山の入り際に右フックを引っかけ、続けて左ストレートを打ち込んだ。左へ左へと回り込んでいき、内側に通す右ジャブも、佐山の前進を止めるのに機能した。間合いを取れれば、リズムを変えて左右の連打をヒットさせ、佐山は攻撃を仕掛けるタイミングを計りかねた。

 2階級下のフライ級ランクを持つ佐山だが、思いきって距離を詰めて右を決め、頭を低くする菊池と体を接触させると、体の力で押し勝っていく。体力、フィジカルにやや難のある菊池に対し、そこでの勝負を挑んだら、また違った展開になったかもしれない。だが、そういう戦いに持ち込ませなかった菊池の技が上回り、佐山も攻め手を欠いた。

終盤は、気迫を出して佐山の追撃を跳ね返した
終盤は、気迫を出して佐山の追撃を跳ね返した

 スタミナ面できつくなった菊池だが、猛追する佐山に気力を振り絞って連打。ポイントリードを保ち、逆転を許さなかった。

「デビュー戦で負けた赤林檎選手(真正)と、もっと大きな舞台でやり合いたい」と再戦を希望した菊池の戦績は3戦2勝(1KO)1敗。佐山の戦績は9戦4勝(2KO)4敗1分。

阿比留は正統派スタイルで元世界王者を攻略
阿比留は正統派スタイルで元世界王者を攻略

 キックボクシングに転向していた元WBA女子世界アトム級王者・古川夢乃歌(ふるかわ・ゆのか、28歳=山木)は、ジムを移籍して4年8ヵ月ぶりにボクシングのリングに復帰。51.2kg契約6回戦で阿比留通子(32歳=世田谷オークラ)と対戦したが、56対58、55対59、57対57の0-2判定で敗れた。

「当日計量で3kg差。体格差を感じた」という古川は、セコンドの指示で、序盤、足を使って戦うスタイルを選択した。あくまでも「今回の相手との兼ね合いで」(古川)、モデルチェンジではないというが、慣れないスタイルを続けるのは困難だったのかもしれない。かつての形は、重心を落としてパワーパンチを叩き込むものだったが、上体が立ったアウトボクシングは心許なかった。

「以前の(古川の)戦い方を知らなかった」という阿比留は、対してしっかりと下半身を安定させたフォームでぐいぐいと迫り、ストレート系パンチを連打。大きく動いていた古川は、余計なスタミナも使ったのだろう。打ち合わざるをえない展開になった。
 自ら仕掛けるものと、引き込まれてのそれでは精神的にも試合運びにも大きな差が生まれる。阿比留の手数は最後まで止まらず、古川はついにペースを握ることができなかった。
 金星を今後の糧にしたい阿比留は10戦4勝(1KO)6敗。適正ウェイトでの再出発を期す古川は14戦9勝(6KO)3敗2分。

質の高いボクシングで、久保をストップした山口
質の高いボクシングで、久保をストップした山口

 東福岡高→大東文化大とアマキャリアを持つサウスポーの山口仁也(やまぐち・じんや、22歳=三迫)がプロ初戦。スーパーフライ級6回戦で、2020年度全日本同級新人王・久保春平(25歳=宮田)と対戦し、久保の強打を、サイドへ回り込んだりボディワークを使ったりで空転させ、上下にストレート、アッパーを散らして5回53秒TKO勝ち。質の高いボクシングを披露した。
 昨年7月に、新人王獲得後初戦で2回TKO負けを喫した久保は連敗。戦績を11戦7勝(5KO)3敗1分とした。

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