26日、愛知県刈谷市のあいおいホールで行われた日本ライトフライ級王座決定戦10回戦は、同級1位の矢吹正道(緑)が2位の佐藤剛(角海老宝石)に1回2分55秒KO勝ちし、初タイトルを獲得した。
写真上=喜びを爆発させる矢吹
開始とともに低い姿勢からもぐりこんで攻めてくるサウスポーの佐藤を、落ち着いてアッパーカットとボディブローで迎え撃った矢吹。巻き込むような左フックで早くも最初のダウンを奪うと、「こんなんで効くんかと思った」。それからは、この試合に至るまでのうっぷんを晴らすかのように猛攻。コンビネーションからの右で再び倒し、粘りが身上の佐藤にテンカウントを聞かせた。
有観客で行われたこの日、矢吹はコーナーポストに駆け上がって、詰めかけた234人の観客に勝利をアピール。「いつも10ラウンドやって判定で勝つつもりでやっている」というが、これで11勝11KO3敗、うち6度目の初回KO勝ちと、ナチュラルパンチャーぶりをまたしても発揮した。
2月に当時の王者、高橋悠斗への挑戦が決まりながら、新型コロナの影響で延期が繰り返され、ついには高橋が引退。標的を失い、「しんどかった」時期もあったが、改めて佐藤戦がセットされると、モチベーションを取り戻して練習に集中してきた。
緑ジムにとっては元世界王者の飯田覚士以来、26年ぶりの日本チャンピオン。松尾敏郎会長は「日本タイトルを取らないと世界には行けないから」と、赤字覚悟で興行にこぎつけたことを明かし、矢吹も「だから負けられなかったんです」と胸をなでおろした。次の目標には、きのう東洋太平洋の同級タイトルを獲得した堀川謙一(三迫)の名を挙げ、「チャンスがあれば世界に行きたい」とも宣言。4年前、全日本新人王決定戦で敗れた中谷潤人(M.T)が来月いよいよフライ級で世界へ挑むが、その中谷にも「差があるとは思っていない」と矢吹は強気だ。松尾会長も「(中谷が)世界を獲ってくれたら」とリベンジマッチを望んだ。
写真◎早浪章弘
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