新型コロナウイルス流行で世界中からボクシングがなくなったこの3ヵ月。その復活後をにらんで、ボクシング・マガジンでは毎月、レポートを更新してきた。そして6月、ついにプロボクシングが帰ってきた。空白を経て。世界のボクシングはどうなっていくのか。8月号では、ニューヨーク在住の杉浦大介記者が、現状の材料をもとに、具体的な情勢分析を行う。
上写真=復活後初の世界戦では、フランコ(左)がマロニーに勝って新王者に
最も意欲的に再スタートを切ったのは、ベテラン、ボブ・アラム・プロモーターが率いるトップランクだった。アメリカ最大のスポーツ専門ネットワーク、ESPNで週2回、ラスベガスの特設会場から無観客のカードを定期放送している。
まだまだ試運転的なマッチメイクながらも、6月9日には、次世代スーパースター候補のシャクール・スティーブンソン(アメリカ=WBO世界フェザー級チャンピオン)のノンタイトル戦(TKO勝ち)を皮切りにシリーズを開始。26日は再開後初となる世界タイトルマッチ(WBA世界スーパーフライ級戦を提供している(挑戦者のジョシュア・フランコがチャンピオンのアンドリュー・マロニーに判定勝ち)。
新型コロナウイルスの陽性者が2人出て、選手のコンディションももうひとつながら、今後の基盤を作る上で、力強いメッセージを発信し続ける。
世界的なスポーツ・ストリーミングサービス、DAZNと提携するエディ・ハーンも夏の時期に入って復活を表明。ハーンの自宅裏庭に特設スタジアムを作り、そこから無観客試合を中継するという構想も具体化している。
同じくDAZNをベースにするゴールデンボーイ・プロモーションズも、同プロきってのホープ、バージル・オルティス(ウェルター級/15戦15KO勝ち)をカムバック戦の主役に指名している。
4大プロモーションのうち、ただひとつ動きが見えないPBC(プレミアボクシング・チャンピオン)を含め、杉浦氏は詳細に動向を追っていく。
エディ・ハーンは巨額の赤字を覚悟して、自宅の裏に試合場を特設する
写真◎ゲッティ イメージズ