2月27日の『DANGAN』(メインイベントは東洋太平洋ウェルター級王座決定戦)以来、4ヵ月半ぶりのプロボクシング興行、後楽園開催──。
12日、無観客興行ながら『フェニックスバトル』(大橋ジム主催)が行われ、東洋太平洋フェザー級タイトルマッチ12回戦(清水聡=大橋vs.殿本恭平=勝輝)と日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦(井上浩樹=大橋vs.永田大士=三迫)の2試合が、厳粛な雰囲気の中、戦われた。
上写真=バルコニーからリングを望む。普段の景色とは違うことがおわかりいただけるはず
文_本間 暁
写真_山口裕朗
東西のひな壇は設置されず。北側のひな壇も使用されない。南側席は、席を空けて着席するスタイルが取られ、ジム、テレビ関係者がまばらに座る。通常あるリングサイド席は設けられず、会長、マネージャーと、セコンドをサポートする者数名がいるだけ。試合を管理するJBC(日本ボクシングコミッション)スタッフは、防護のためのビニール服を着て、フェイスシールドを着用するという厳戒態勢である。もちろん、いつもは南側最前列に設置される記者席もなし。リングサイドカメラマンもゼロ。東側最前列に置かれるテレビ解説席も南側中央通路に設定された。記者とカメラマンは、極力人数を制限され、東西のバルコニーから試合を追う。
「通常、OPBF(東洋太平洋)戦は、セコンドに4名入ることができるが、今回は3名まで」(安河内剛・JBC事務局長)。セコンドの3名はマスクとビニールの手袋を装着して臨んだ。
ジャッジ三者は通常よりもリングから離れた位置から、マスクをつけての採点。ゴング直前の儀式、両選手&チーフセコンドをリング中央に集めてのレフェリーからの注意は省かれた。
「いいパンチが当たっても、歓声がない。不思議な感覚」と大橋秀行会長。セコンドやリングサイド関係者からの指示は飛び交ったものの、普段より抑えての声量。観客の歓声がないから、それでも十分に響き渡る。
原則として、それ以外の観戦者は声を出してはならなかったが、拍手はOK。他の競技でも同様の措置が取られているが、拍手での激励、称賛というスタイルの温かみは伝わってきた。
大橋会長は、「私のジムでは、井上浩樹が負けたのは残念でしたが、三迫ジムにはこれで6人目の日本王者が誕生して、同時保有の新記録が生まれました。こういう明るい話題を提供できたことは嬉しい。それに、こうして試合を行えたことで、日本中のボクサーが、試合を目標に頑張れる」と、東京で、無事に先陣を切れたことについては満足げだったが、「ただ、今日の東京の新型コロナウイルス感染者数が、1日の過去最多となっていることで、手放しには喜べない」と、まだまだ気を抜けない状況であることを危惧していた。
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