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2020-06-17

【ボクシング】STAY HOME! トップ選手16人は自粛期間をどう過ごしていたのか。~PART2~《東洋太平洋&WBOアジアパシフィック王者編》

緊急事態宣言がようやく解除され、この6月から国内のボクシングジムも活動を再開。まだまだ予断を許さない状況だが、ボクサーたちも“日常”を取り戻しつつある。
 長らく続いてきた自粛期間中、トップ選手たちは日々をどう過ごしていたのか──。前号の『世界チャンピオン編』に続き、15日に発売となった『ボクシング・マガジン7月号』では、日本、東洋太平洋、WBOアジアパシフィック王者ら16人にその日々を振り返ってもらった。ここに掲載するのはその抜粋である。

電話取材_加茂佳子、杉園昌之、西村華江、船橋真二郎、本間 暁、宮崎正博
写真_本人提供

誰からも愛されるキャラの勅使河原。バイタリティ溢れる男も30歳になった

東洋太平洋スーパーバンタム級チャンピオン
勅使河原弘晶[30歳=輪島功一スポーツ]
HIROAKI TESHIGAWARA
 引っ越しをした。その新しい部屋に人生で初めてベッドを買った。
「うち、貧しくて家にベッドなんてなかったですし、留置所も鑑別所も少年院でも床に敷布団。ずっとそれが当たり前だったからベッドで寝る、買うという発想がなかったんです。頭が固いのか習慣って凄いというか(笑)」。
だがここ数年、合宿等でホテルに泊まる機会が増えベッドにも馴染みができた。というわけで今回の購入となった。

太田光亮トレーナー(左)と、ホープで後輩の桑原拓と。7月に1年ぶりの試合を行う予定

東洋太平洋フェザー級チャンピオン
清水 聡[34歳=大橋]
SATOSHI SHIMIZU
 何がどうなっても動じない。清水聡に対する印象は、以前からずっと変わらないが、こんなご時世になっても、やっぱりそう。「マイペースだから、ストレスも溜まりません」。平然と、淡々と答えるのだ。
「とにかく、走ってばっかりいました」。4月の総走行距離は250kmに到達するなど、地道に鍛えている。自衛隊体育学校出身だから、心身ともに鍛え方が違う。

冷静すぎるボクシングを見つめ直したという三代

東洋太平洋スーパーフェザー級チャンピオン
三代大訓[25歳=ワタナベ]
HIRONORI MISHIRO
 4月に予定されていた試合は中止になったが、モチベーションを落とすことはなかった。感染拡大の状況を考え、早くから覚悟していた。むしろ、三代はこの時期に一度リセットできたことをプラスに捉えている。
「練習方法から見直すことができました。以前は人よりも多く練習すればいいと思っていましたが、いまは違います」

愛猫リンクちゃんは、1歳にもかかわらず、すでに巨大。長濱の急上昇にリンクしている

東洋太平洋ウェルター級チャンピオン
長濱 陸[28歳=角海老宝石]
RIKU NAGAHAMA
 自粛生活は、愛猫リンクちゃんの存在もさることながら、「外に出て遊ぶタイプじゃない」から、まったく苦にならなかった。「趣味はパソコン」。精力的にアップしているYouTube動画の編集(最近は、時間を取られてしまうので人に任せているそう)、ブログ、計算、プログラミングと、「パソコンでなんでもやってしまうんです。むしろ、パソコンがなかったら生きていけないくらい(笑)」なのだ。双璧をなす趣味の読書は、コンピューター関連に加え、「スポーツの原理・原則から勉強しようと思って」バイオメカニクス(生体力学)など。「大吾(元同僚の比嘉大吾)たちに訊いたら、『陸さん、いっつも本読んでますよ』って言うと思います」

モハメド・アリのTシャツを着る重岡は、まだ20歳!

WBOアジアパシフィック・ミニマム級チャンピオン
重岡銀次朗[20歳=ワタナベ]
GINJIRO SHIGEOKA
 すっきりとしたアゴのラインを見れば、すぐに分かる。重岡銀次朗は緊急事態宣言前よりも体重を2㎏落とした。現在は53㎏をキープ。外出自粛期間中は同ジムの兄・優大と2人で決して好きではないロードワークに積極的に取り組み、1日最低8km、気分が乗れば12kmは走っていた。
「コロナ禍を理由に太ったり、体力を落としたりは絶対にしたくなかった。ジムが本格的に再開したときに軽やかに動けるように体を維持していました」

地元・熊本で調整を続ける森。社会貢献も話題になった

WBOアジアパシフィック・フェザー級チャンピオン
森 武蔵[20歳=薬師寺]
MUSASHI MORI
「日本に帰ってきたら、出国前と本当に変わっていたから、何かできないかなと考えた」という彼は、アメリカでの体験を経て、目の当たりにした国内の変わりゆく現状を、誰よりも敏感に察知していた。4年前に地元で起きた熊本地震の体験も、大きく突き動かしたのだろう。4月に入ると、すぐさま郷里にマスク3000枚を寄贈。数ヵ月前に成人式を迎えたばかりとは思えないと、その意識と行動力に感心しきりの記者に、「協力してくれる人がいた。ひとりではできなかった」と、さらりと答える。

1月に誕生した希架(まれか)ちゃんを抱く別府。お嬢ちゃんは夫人似か⁉

WBOアジアパシフィック・ウェルター級チャンピオン
別府優樹[29歳=久留米櫛間&別府優樹]
YUKI BEPPU
 私生活に大きな変化があった。長年続けてきたアルバイトを辞め、今年に入ってから、“匠測量設計事務所”で会社勤めを本格的に始動したのだという。緊急事態宣言中も、幸いに出勤停止にはならず、平日は8時半から17時までフルタイムで勤務。「男性が多くて、気さくな環境がめちゃめちゃ良い」と、すっかり職場に馴染んでいるようだ。

「日常の柔軟性が、ボクシングにも生きる」と井上。それを体現し始めた

WBOアジアパシフィック・スーパーウェルタ-級チャンピオン
井上岳志[30歳=ワールドスポーツ]
TAKESHI INOUE
 四六時中、トレーニングをしている印象もあるが、「疲労をしっかり取らないといけないので、映画を観たりゲームをしたり。多趣味なので、なんでもやりたがります(笑)。ディズニーやジブリも観ますし、ゲームはいま流行りの動物のお守をする『あつ森』をやってます(笑)」

※詳細は『ボクシング・マガジン7月号』に掲載

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