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2022-08-05

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第1回「吉兆」その1

平成24年春場所千秋楽、豊真将(左)は雅山を押し出して11勝目

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平成最後の場所となった31(2019)年春場所、熱戦、熱闘のオンパレードでした。
手に汗、握った? そりゃ、そうでしょう。
でも、一歩、裏に回った力士たちの素の顔はもっとおもしろい。
勝負師とは言え、そこは同じ人間ですから、涙あり、笑いあり、失敗あり、成功あり。ありとあらゆる思惑や、出来事が入り乱れ、もつれあい、土俵上では絶対に見られないドラマを醸し出しています。
これを読めば、大相撲がもっと好きになること、請け合いです。
第1回のテーマはこの連載が成功することを祈念して「吉兆」です。
このうれしい兆しがあったときの力士たちの顔を想像してください。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

願い事はかなう
 
あなたは神社にお参りしたとき、おみくじを引くタイプですか、それとも、見向きもしない派? 
 
力士たちはおみくじを引く派が多いようだ。勝つためには神にもすがりたくなるのだろう。平成24(2012)年の春場所前、西前頭5枚目の豊真将(現立田川親方)は、大阪まで激励に来た梨愛さんと奈良の東大寺にお参りし、お決まりのおみくじを引いた。すると11番の大吉。もちろん、願いごとはかなう、と大きく書いてあった。
 
すると、どうだろう。この場所の豊真将は、中日まで4勝4敗の五分だったが、後半にはいると別人のように波に乗り、7連勝しておみくじの番号とピッタリ同じの11番勝った。しかも、翌場所は3場所ぶり2回目の三役昇進確定のビッグなおまけ付き。
 
これには豊真将もびっくり。残念ながら、候補にあがった敢闘賞は選考委員19人中7人しか賛成票が入らず、惜しくも選にもれたが、

「こんなことってあるんですね。この上、三賞まで獲ったら、交通事故にでも遭うといけませんから、これで良しとしましょう」
 
とニコニコ顔だった。

月刊『相撲』平成31年4月号掲載

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