close

2022-08-15

【陸上】インターハイ女子走幅跳ワンツーは中学時代からのライバル・松村琴都&秦くるみ

松村(左)と秦(右)は中学時代からのライバル。インターハイでは、ワンツーで競技を終え、笑顔を見せた(写真/椛本結城)

8月3日から7日まで5日間、徳島県鳴門市の大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムで行われた全国高校総体(インターハイ)陸上競技。大会3日目、5日に行われた女子走幅跳は松村琴都(瑞陵高2年・愛知)が5m93(-1.2)で制し、秦くるみ(伊豆中央高3年・静岡)が5m89(-1.2)で2位に入った。2人は同じ東海地区で、中学時代から戦ってきたライバル。学年は秦が1つ上だが、松村は「くるみちゃん」と呼んで慕っている。

これからも続くライバル関係、目標は共に「東海高校新」

秦が函南中(静岡)2年、松村が春日井南城中(愛知)1年だった2018年のジュニアオリンピック(Cクラス)では、松村が2位、秦が7位。19年の全日中、20年の日本室内大阪大会(U16)では秦が勝利した。ただ、コロナ禍で大会の中止が相次いだ20年シーズンは、中学3年生だった松村が全国中学大会で2位、自己記録を5m99まで伸ばしたのに対し、伊豆中央高1年生になった秦には大きな大会がなく、自己記録も5m61止まりだった。

翌21年、瑞陵高に進んだ松村は1年生ながらU20日本選手権5位、福井インターハイ10位、U18大会3位と活躍。全国大会の実績でリードされたかに見えた秦も、シーズン終盤の東海高校新人で5m98と当時の自己記録を更新し、松村に2cm差で勝利。この大会から再び、2人の切磋琢磨が始まった。

今季最初の対戦は、3月の日本室内大阪大会(U18)。秦が全国初優勝を飾り、松村は3位だった。そして、6月のU20日本選手権では秦が優勝、松村が2位。このとき秦は、6m25の好ジャンプも追い風2.4mで参考記録になり、公認では6mに届かず。一方で松村が6m06(+1.3)と、公認で一足先に6m超えを果たしたことから、「公認で跳ぶなんてすごい」と、秦は複雑な思いを抱えながら松村の健闘をたたえた。8日後の東海高校総体でも、秦が勝利。秦は7月に6m01(+1.7)の自己新を跳び、好調を維持して徳島インターハイを迎えた。

そのインターハイ決勝は、松村が3回目に5m93(-1.2)をマークして、1位でトップ8に入った。秦は3回目まで5m71(-1.2)で4位につけていたが、4回目に5m89(-1.2)に伸ばして2位に浮上。最終6回目、「走幅跳は自信がないと跳べない。どういう状況でも、自分の気持ちを保って跳ぶ」と語っていた秦の思いを込めた跳躍は5m61(-0.5)にとどまり、逆転はならなかった。

松村は「久しぶりにくるみちゃんに勝てました」と、直接対決では福井インターハイ以来となる勝利に笑顔。秦は「優勝しか考えていませんでした」と残念がったが、競技終了後には2人で仲良く写真に納まる場面も。松村は「一緒に跳べることがうれしい。くるみちゃんが記録を伸ばすことで、私もモチベーションが上がって良い跳躍ができる」と戦友の存在に発奮し、秦は「中学のときからずっと松村さんの方が活躍していたけど、今はライバルになれたのかな」と、肩を並べて戦えることを喜ぶ。

今季は早い段階から、「東海高校記録の6m23の更新」(秦)、「6m20超え」(松村)と、2人の目標は一貫している。まだシーズンは続く。再戦の行方と共に、どちらが先に公認で6m20台に乗せるのか、注目していきたい。

文/石井安里 写真/椛本結城

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事