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2022-08-23

【陸上】神村学園高が都大路4年ぶり王座奪還へ 徳島インターハイでカロラインが長距離二冠

神村学園高をけん引するカロライン(左)と田島(右)。1500mのレース後、笑顔で肩を並べた(写真/椛本結城)

8月3日から5日間、徳島県鳴門市の大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムで行われた全国高校総体(インターハイ)の陸上競技。女子1500mと3000mでカリバ・カロライン(神村学園高2年・鹿児島)が優勝を果たした。冬の都大路で、4年連続メダルを獲得している神村学園高が、4年ぶりの頂点に立つべく、力を蓄えている。

カロラインに続き、田島も2種目で日本人上位入賞

女子1500m&3000mは、神村学園高のカロラインが二冠を獲得。どちらのレースも自身が先頭で引っ張り、ラストスパートで他の留学生に競り勝って優勝した展開。カロラインの勝負強さとタフさが際立ち、3000mで2位だった前回の福井インターハイと比べても、逞しくなった印象だった。

1年生だった昨季は、3000mで当時の日本国内高校最高記録を樹立。しかし都大路では、アンカーで想定以上にトップから差がある状況でタスキを受け、ハイペースで入り過ぎたことが影響して後半失速。5位から2位に浮上していたが、競技場で一人交わされて3位となり、ぼうぜんとした表情で「悔しい」と声を震わせていた。

2年生になり、県大会で8分45秒47をマークし、自身が持つ日本国内国際高校記録を再更新。そしてインターハイで二冠を達成し「駅伝では優勝したい」と都大路でのリベンジを誓った。

神村学園高は、3年生になった田島愛梨もインターハイで強さを見せた。1500mは積極的に日本人選手の集団を引っ張る展開。ラスト1周まで日本人トップを守ったが、ラストスパートで水本佳菜(薫英女学院高3年・大阪)に抜かれて4位、日本人2番手に。「日本人トップを狙う」と話していた田島だったが、それでもゴール後、カロラインと抱き合い、お互いの健闘を涙で称える表情には、力を出し切った清々しさがあった。1500m自己ベストは4分15秒86と、インターハイ前ランキングで日本人トップ。3000mでもインターハイ11位、日本人5番手に入った。昨年末の都大路では2区で9人抜きを見せたが、今年も主要区間でチームを支えるだろう。

一方で他校を見ると、都大路で前回覇者の仙台育英高(宮城)、同2位の薫英女学院高も健在だ。

徳島インターハイの1500m、3000mとも日本人トップになった薫英女学院高の水本を中心に、同校は3000mで薮谷奈瑠(3年)が決勝に進出。仙台育英高は、1500mで渡邉来愛(2年)が6位、壁谷衿奈(2年)が11位、3000mで杉森心音(3年)が5位と3人が決勝で戦った。3000m自己ベストは薫英女学院高の水本が9分05秒03、仙台育英高の杉森が9分00秒75と日本人選手のなかでは2人が突出している。

さらに前回の都大路を1、2年生で戦って7位入賞した長野東高(長野)も、1500mで名和夏乃子(2年)が8位、佐藤悠花(3年)が15位、3000mは村岡美玖(3年)が15位に入っており、存在感を示した。

神村学園高が4年ぶり頂点を狙うにあたり、カギとなるのがカロライン、田島に続く存在だろう。その一人となる上野優月(3年)は、インターハイ3000mで決勝進出を狙ったが、力を出し切れずに敗退した。その後、カロラインや田島が健闘した決勝レースのサポートをしていた上野は、レース後に大粒の涙を流していた。おそらく、仲間の健闘を喜ぶと共に、自身への悔しさも入り混じった涙だったのだろう。そういった思いを駅伝へつなげて、4年ぶりの全国制覇へ駆け上がりたい。

文/新甫條利子 写真/椛本結城

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