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2022-08-24

【陸上】男子4×100mRで中京大中京高が苦悩を乗り越え徳島インターハイ3位

優勝を目指し、洛南高を猛追する中京大中京高(写真/黒崎雅久)

8月3日から5日間、徳島県鳴門市の大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムで行われた全国高校総体(インターハイ)の陸上競技。男子4×100mRで大会前に39秒台をマークし、徳島に乗り込んだ中京大中京高(愛知)は、40秒29で3位となった。

秋にはチーム最高記録更新を

2019年の沖縄インターハイ、20年の全国高校リレーで男子4×100mRを制した中京大中京高。昨年は5月に当時高校歴代7位の40秒00を出して、ランキング1位で福井インターハイに臨んだが、予選でバトンミスをして失格に終わった。

今季は当時のメンバー3人が残った。7月22日に行われた愛知県内の競技会では、1走から香山勇輝、髙橋大地、田邉隼門、亀山祥吾と3年生4人でつなぎ、当時高校歴代6位の39秒93をマーク。同走のチームはおらず、単独で39秒台をたたき出した。

 この時点でランキング1位に浮上して、迎えた徳島インターハイ。初日の予選は昨年の教訓から安全バトンを選択し、40秒17で順当に組1着を取った。しかし、2日目にアクシデントに見舞われた。100mに出場していた田邉が、予選を10秒54(+1.4)の自己新で通過した後に脚の違和感を訴え、午後の準決勝を棄権。4×100mRの準決勝も回避し、3走には向井悠汰(2年)を投入して、40秒31で組1着での通過を果たした。

 翌日の決勝では、田邉を起用することも検討された。トレーナーの見立ては「7割くらいの力は出せる」。だが、北村肇先生は今後のことを考え、無理をさせない決断をした。メンバーたちは、「田邉のために優勝を」と一致団結。昨年の2走で、U20世界選手権でコロンビアに滞在中だった舘野峻輝(東洋大1年)からも、「気負うことなく、楽しんでこい」と電話で励まされた。先輩や仲間の思いと共に、4人は決勝の舞台に立った。

決勝では1走の香山、2走の髙橋、3走の向井と好走を見せたが、アンカーの亀山へのバトンパスでわずかに失速し、40秒29で3位。亀山は「優勝しか狙っていませんでした。3走を信じて出たのですが、少しバトンパスが遠くなってしまいました」と肩を落とし、香山は「上位には入れましたが、優勝は遠かった。悔しいです」と涙を流した。そして誰もが、「田邉に優勝を持ち帰れず、申し訳ない気持ちでいっぱい」と走れなかったエースを慮った。

振り返ると今季は、全員が脚に故障を抱えてのスタートだった。田邉は足裏を痛めて出遅れ、6月には別の部位を捻挫。髙橋は昨秋からの故障が長引き、練習を積めなかった。1年時に1走で全国優勝を経験した香山は、肉離れで県大会と東海大会を回避し、6月下旬にレース復帰。亀山は6月に肉離れ、向井も春先からの故障で不安があった。3年前は8人を入れ替えながらインターハイ路線を勝ち抜いたが、今季の4継メンバー候補は実質5人。もし、離脱者が2人出れば厳しかったはずだ。それでも、5月の名南支部予選と県大会で41秒2台が5本続いたところから、2ヵ月で39秒台まで躍進。苦境を乗り越えて王座奪還に挑んだインターハイで、先輩たちの金メダルと同じくらい価値がある銅メダルにたどり着いた。

次の目標について、「秋には中京記録の39秒79を確実に更新したい」と髙橋。3年前の全国優勝メンバーが樹立した学校最高記録だ。田邉が復帰し、全員が万全の状態なら、十分に可能だろう。そして、3年生が果たせなかったインターハイ制覇は、下級生に託される。向井は「先輩たちがつくった強いチームを引き継ぎ、来年は優勝したい」と前を向いた。

表彰では、健闘をたたえ合い、写真撮影をする姿も見られた(写真/椛本結城)
表彰では健闘をたたえ合い、写真撮影をする姿も見られた(写真/椛本結城)

文/石井安里 写真/黒崎雅久、椛本結城

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