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2022-09-14

【相撲編集部が選ぶ秋場所4日目の一番】150キロ超えでも切れ味健在! 宇良が幕内では20年ぶりの「伝え反り」

宇良が宝富士に幕内で20年ぶりの珍手「伝え反り」を決める瞬間

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宇良(伝え反り)宝富士
 
宇良が、幕内では20年ぶりとなる「伝え反り」での白星を挙げた。

「伝え反り」などの反り技は、基本的に小兵力士が手足の長い大柄な力士に対して見せる技だが、力士の体重がかなりある幕内ではほとんど見られることがない珍しい技だ。
 
宇良のこの日の相手は宝富士。やや仕切り線から下がった位置からの立ち合いで、低い体勢から左右のハズで押し込んだ。一度体が離れた後、互いに相手の肩に手を置いて押し合う態勢から宝富士が得意の左差しに成功した。その瞬間だ。宇良は体を低くして相手の左脇に頭を潜り込ませると、右手で相手の左を抱えながら伸び上がり、頭の後ろで相手を押し倒す「伝え反り」。宝富士が残そうとするところ、そのまま相手の左手を引っ張りながらもたれ込んで決めた。

宇良は、ご存じのようにかつては小兵力士で、アマチュア時代から反り技を得意としており、その動きは体に染みついている。大相撲に入ってからも、十両上位に上がってきた平成29年1月場所13日目、天風に「たすき反り」を決めている。

ただ、宇良の場合、特筆すべきは、今は小兵力士ではないということだ。右ヒザを痛めるなど(その影響で番付は一時、幕内上位から三段目まで後退)、小兵で受ける相撲に限界を感じた宇良は、その後、体重を増やし、今では150キロ超となったが、その体でこの技を決めるのにはビックリだ(ちなみに、再び番付を上げてくる過程で、十両に復帰した令和2年11月場所5日目、旭秀鵬に居反りで勝っている。このとき体重135.9キロ)。

ただ本人は、珍しい技で勝ったことにも「特にうれしいというのはないですね」。体重が増えても反り技が使えたことにも「いや、今、急に太ったわけじゃないんで。別に変わらないですよ」と平然。だが、考えてみれば、それは本人にとって、反り技も特別なことでなく、当たり前の自然なものになっているのだということでもある。この平然とした反応こそが、今、宇良が150キロの体重を完全に自分のものにできているという証明なのかもしれない。

幕内での伝え反りは平成14年9月場所、当時大関の朝青龍が貴ノ浪に決めて以来。それを聞いたときだけ、「それはうれしいですね。(朝青龍関は)小さい頃から見て、元気をもらっていたので」と、平然としていた表情がほころんだようだった(マスクで見えないが)。

文=藤本泰祐

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