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2022-09-22

【相撲編集部が選ぶ秋場所12日目の一番】1敗勢、2敗勢全滅。優勝争いは3敗、4敗の力士含め大混戦に

若元春を突き切れず、引きを見せる玉鷲。すかさずついてこられて、2敗目を喫した

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若元春(寄り切り)玉鷲
 
柔らかな反り身の威力は、土俵際でなく、土俵中央で出た。
 
1敗で優勝争いを引っ張っていた玉鷲が、若元春に敗れ、2敗目を喫した。
 
立ち合い、頭から当たった玉鷲に対して、「廻しを引ければと思っていたんで、立ち合いから取りにいった」という若元春は、踏み込むというよりは下から手を伸ばす立ち合いで左前ミツをつかんだ。
 
玉鷲にとっては、ここまではきのうの北勝富士戦と同じ展開。きのうはここから突いた腕を伸ばしたことで北勝富士の廻しを切った。この日も左のノド輪を伸ばし、若元春の頭を押す。ところが違ったのはその後だ。玉鷲が腕を伸ばし切っても、柔らかく体を反らせた若元春の前ミツは切れることはなかった。
 
玉鷲は右手で押さえて何とか廻しから手を離させたが、上体が伸びてしまったため攻め手がなく、やむなく引きを見せる。そこを突いた若元春は左、右と差して一気に走り、青房下に寄り切った。
 
いつもは土俵際で打っ棄る際などに弓なりとなり、見事な反り身を見せる若元春だが、この日はその威力が土俵中央で出た格好。きのうのこのコラムでは「玉鷲は土俵際に注意」と書いたが、土俵中央にこんな落とし穴があったとは……。
 
かくて玉鷲2敗。一瞬、マラソンで言えばトップのランナーが集団にのみ込まれるような形になった。ところがだ。のみ込んだ集団のほうも失速した。続く取組で2敗の錦富士は3敗の翔猿に攻勢を取れず押し出されて3敗に後退、結び前に登場した北勝富士は貴景勝の立ち合いの変化にやられてこれも3敗。一方、3敗組では髙安が3敗同士の対戦で、力強い突き押しから若隆景を引き落として3敗をキープした。
 
整理すると、12日目を終わったところで、玉鷲は2敗となったが単独トップは変わらず、3敗に翔猿、髙安、北勝富士、錦富士となり、トップが下がってきたことにより、この日勝って4敗キープの貴景勝、竜電、王鵬にもかすかな望みが生まれ、この日敗れて4敗に後退した若隆景にも望みが残った。
 
依然トップの玉鷲やや優位は変わらない図式だが、もうこれだけ混戦になってくると何が何やら。それぞれ実力も紙一重の上、精神状態も一日一日変わってくると考えられ、予測は困難だ。
 
あす13日目は玉鷲は嫌な相手の錦富士と直接対決。翔猿と北勝富士も3敗同士で直接対決。貴景勝と若隆景は4敗同士の「三役代表決定戦」だ。泣いても笑ってもあと3日のサバイバル合戦。最後に笑うのは果たして誰になるのか。

文=藤本泰祐

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