7度目の防衛に成功したWBC世界ライトフライ級チャンピオン、寺地拳四朗(BMB)は一夜明けた24日、東京・九段のグランドパレスで記者会見に応じた。傷跡ひとつないその顔には、大きな自信だけが、しっかりと鎮座していた。
上写真=もはや風格しかない。寺地は「来る者拒まず」と戦うチャンピオンであることを強調した
会見は村田諒太(帝拳)の後を継いで会見場に入ってきた。トレードマークのにぎやかな笑顔はない。あるのは大王者の風格というべきものか。
「疲れたというのもないし、筋肉痛もありません」
強打で知られるサウスポー、ランディ・ペタルコリン(フィリピン)をまったく問題とせず、ボディブローだけで4度も倒してけりをつけた。
寺地を指導する三迫ジムの加藤健太トレーナーは言う。
「1、2ラウンドがスローペースだったから、ペースを上げろと言ったら、そのまま仕留めちゃいました」
それでも、強くなるボクサーは満足だけで終わらない。
「被弾もちょいちょいあったし。足を使って全部かわして打つ、理想はまだ遠いですね」
そういう言葉も、今の自分に絶対の自信があるからこそ言えること。自分はまだまだ強くなる。だれにも負けないはずはない。今回はIBFチャンピオンのフェリックス・アルバラード(ニカラグア)の病気で流れたが、王座統一をあきらめたわけではない。
「統一戦もどんどんやっていきたい。海外進出も視野に入れています。勝つ自信しかないので、戦う相手がどんどん来てほしい」
まさしく揺るぎない自信。当然、最終的な目標、V13の日本記録更新も、しっかりと今後のキャリアに算入している。
「2020年はやれて二桁まで。再来年以降になりますね」
それにしても、強打開眼は驚くばかり。倒しっぷりがすばらしい。
「タイミングが一番ですが、力まないで打つことですか。本格的な練習に入るときは、そう心がけていても、どうしても力んでしまう。そこのところを(加藤トレーナーと)相談しながら練習していると、どんどん力まなくなるんです」
新たな境地はそうして切り開かれてきた。
「いつでも練習できる気でいるんですが……。とりあえず休みます。来年の初めにベトナムのペナンに行ってきます」
文・写真◎宮崎正博