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2022-10-16

【NFL】2週続けて「残念な木曜日」 エリートQBだったフィールズとウェンツへの試練  第5週TNFで起きたこと

試合後に言葉を交わす、コマンダーズQBウェンツと、ベアーズQBフィールズ=photo by Getty Images

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木曜日の夜は、米プロフットボール・NFLにとって芳しくない時間が続いている。現地10月13日(日本時間10月14日)にイリノイ州シカゴであった、第6週のサーズデー・ナイト・フットボール(TNF)、ワシントン・コマンダーズ対シカゴ・ベアーズの一戦は、12-7でコマンダーズが競り勝った。両チームともに2勝4敗となった。
 スコア上は接戦だったが、両軍にミスが多く得点機を逃すことがしばしばで、先週に続いて、アメリカンフットボールの世界最高峰のリーグなのか?と思える場面もあった。


NFL Week6 TNF
コマンダース 0  3  0  9  12
ベアーズ   0  0  7  0    7
(2022年10月13日 シカゴ ソルジャーフィールド)

 第5週のサーズデーナイトゲームで、コルツとブロンコスが、タッチダウン無しで互いに決め手に欠く試合を戦った。米メディアの中には「これは過去最悪のサーズデーナイトゲームなのか?いやまだそう決めるのは早い。その称号は来週の、コマンダーズ・ベアーズ戦に与えられる可能性があるから」と辛らつに批評する記事もあった。

 そして残念ながら、両チームがその評価を吹き飛ばしたとは言えない戦いをしてしまった。

 特に残念だったのはベアーズだ。オフェンス、特にランが、十分に機能していたからだ。トータル392ヤードで、ラン238ヤード、ファーストダウン更新は20回。10回のオフェンスシリーズ中で3&アウトは1回だけ。7回は相手陣まで進んでいたし、3回はエンドゾーンまで5ヤード以内という絶好のチャンスを得ていた。

 なのに、得点は、3Qに、QBジャスティン・フィールズが決めた40ヤードTDパスだけだった。

 エンドゾーン直前のプレーは、インターセプト(INT)1回と、ダウン(=ギャンブル失敗)2回。もったいなさ過ぎた。

 フィールズは、パス14/27、190ヤードで1TD、1INT。ランでは39ヤードのスクランブルゲインを含む、12回88ヤード。パスでは、まだまだ課題が大きいが、ドラフト1巡指名のポテンシャルは持っている。

 INTは、ヘルメットに当たって弾んだボールを取られたもので、カバーの読み間違えとかではないが、ゴール前で選手が密集しているエリアで投げるボールの高さだったのかは疑問が残る。

 とはいえ、この日フィールズがポケット内で受けたプレッシャーは12回、サックは5回36ヤードに及んだ。

 ベアーズは、2017年に1巡全体2位でミッチ・トゥルビスキー(現スティーラーズ)、2021年に1巡全体11位でフィールズと、過去5回のドラフトで2人のQBを1巡指名している。地元メディアやファンの中には、「豊作」と言われる来年ドラフトでのQB指名を求める声も、チラホラ上がり始めているが、今は我慢すべき時ではないだろうか。


 コマンダーズのカーソン・ウェンツも苦戦している。2017年の1巡全体2位指名のエリート感はもはや薄れて、今が3チーム目だ。今回こそ、チームに定着したい今季。TDパスは10本だが6INTとミスが多すぎる。

 NFC東地区はコマンダーズ以外の3チームが、第5週を終えて、5戦全勝(イーグルス)か、4勝1敗(カウボーイズ、ジャイアンツ)と好調。前週の試合後記者会見で、ライバルに後れを取っている理由を尋ねられたロン・リベラHCは、躊躇なく「QBだ」と答えて、騒ぎになった。リベラHCは、後になって発言を謝罪しているが、ウェンツのパフォーマンスに至らない部分があるのも事実だ。

 ウェンツは、この試合では、パスが決まらずに、今季初めてパス100ヤードに届かないプアーなパフォーマンスとなった。

 チームを救ったのは、ルーキーRBのブライアン・ロビンソン・ジュニアだ。2021年は、アラバマ大学のエースRBとして活躍したロビンソンは、即戦力を期待されていた。だが開幕前の8月末に、強盗に銃で下肢を撃たれて入院するというアクシデントがあった。

 そこから40日余りで、フットボールに復帰。NFL初出場は先週のタイタンズ戦。そしてこの試合では17回で60ヤードを走り、試合を決めるTDも奪った。

 アラバマ大時代は、パワフルなランで注目されていたが、先輩や同級生にジョシュ・ジェイコブズ(レイダース)、ナジー・ハリス(スティーラーズ)というスターが揃っていたのでなかなか出番がなかった。

 アクシデントにめげないタフネスさをフィールドでも発揮して欲しい選手の1人だ。

 最後にこんなデータを。勝利に貢献したとは言えないQBウェンツだが、サーズデーナイトゲームは7勝0敗となり、これは2006年から始まったTNFの中で、無敗のQBの中では最多勝利だという。

【小座野容斉】

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