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2022-10-16

【ボクシング】デビン・ヘイニーがカンボソスを返り討ちしてライト級4団体王座防衛

「右ブローが有効だった」とヘイニー

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 16日、オーストラリア・メルボルンのロッド・レーバー・アリーナで行われた世界4団体ライト級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオンのデビン・ヘイニー(23歳=アメリカ)が、前王者ジョージ・カンボソス・ジュニア(29歳=オーストラリア)とのダイレクトリマッチを119対109、118対110、118対110の大差3-0判定で制し、4団体王座の防衛(WBCは6度目)に成功した。

Photos by Getty Images

ジャブだけでないことを証明

 今年6月の初戦からのダイレクトリマッチ。これを制したのも4本のベルトを束ねたヘイニーだった。

 左ジャブを駆使して距離を取る“負けないボクシング”は安定度抜群だが、「安全運転」と揶揄されることも多く、4団体制覇したもののそれに見合う評価を得ていないのも事実。そこからの脱却がひとつ、そしてカンボソス対策としても、この日のヘイニーはジャブに見合う右ブローを多用した。

ジャブの上手さはいつもどおり。この日はプラスアルファがあった
ジャブの上手さはいつもどおり。この日はプラスアルファがあった

「カンボソスがジャブの対策をしていることは分かっていた。だから、チームは僕に他の武器も見せることを要求したんだ。セコンドはもっとフックを打ってほしかったようだが、今夜の試合は右ブローが勝因だったと感じている」

 自らの流れの悪さを悟り、ヘイニーを混乱させるためにもカンボソスは中盤からサウスポーへのスイッチも取り入れたが、これは逆効果だった。

「彼が最初に出てきたとき、私は彼がスイッチするとは思わなかった。でも、彼のタイミングと角度を掴んで、より自分のショットを選ぶようにした。サウスポーには特に右が有効だった」

日本の中村勝彦レフェリーが大役を務めた
日本の中村勝彦レフェリーが大役を務めた

 接近した際、クリンチでリズムを切る上手さも前戦どおり。ヘイニーは前回以上の大差をつけて、ふたたび敵地での快勝を果たしたのだった。

PFPランキング入りを要望したヘイニー
PFPランキング入りを要望したヘイニー

「前回は『ジャブしかない』と言われた。今日、僕は右を見せた。自分がいかに万能であるかを示した。彼のホームで2度も彼を負かしたことを評価してほしい。パウンドフォーパウンド・ランキングに入る資格があると思わないかい?」と意気軒高のヘイニー。そして、さらにその評価を上げるために、「誰であろうと世界最高のファイターと戦いたい。自分が世界最高のファイターだと信じているから」と、さらなるビッグマッチを要求した。

 ヘイニーの戦績は29戦29勝(15KO)。敗れたカンボソスは22戦20勝(10KO)2敗となった。

マロニー兄弟はそろって判定勝利

兄ジェイソン(左)と弟アンドリュー。そろって勝利を分かち合う

兄ジェイソン(左)と弟アンドリュー。そろって勝利を分かち合う

ナワーポンに右を打ちこむジェイソン・マロニー

ナワーポンに右を打ちこむジェイソン・マロニー

 また、セミファイナルで行われたWBC世界バンタム級挑戦者決定戦12回戦は、1位のジェイソン・マロニー(31歳=オーストラリア)が2位のナワーポン・ソールンビサイ(31歳=タイ)に118対110、118対110、119対109の3-0判定勝利。
 前半はナワーポンをアウトボックスしたマロニーは、5回に左ボディブローでダメージを与えると、中盤からやや打ち合いに。しかし、タフなナワーポンは1歩も引き下がらず、逆にマロニーを辟易させるシーンもあった。終盤にかけて、ふたたびポイントアウトに向かったマロニーはそれに成功。10ラウンドに右を食って一瞬フラついた以外は、危なげのない戦いを完遂した。

 2020年10月、アメリカ・ラスベガスで井上尚弥(大橋)に7回KO負けを喫したマロニーは、今年6月にアストン・パリクテ(フィリピン)と争って獲得したWBCシルバー王座(※日本未公認)の初防衛に成功した。
 マロニーは27戦25勝(19KO)2敗。ナワーポンは59戦56勝(46KO)2敗1分。

アンドリュー・マロニー(左)は序盤に2度倒したものの、ヒメネスに粘られた
アンドリュー・マロニー(左)は序盤に2度倒したものの、ヒメネスに粘られた

 前座で行われたWBOインターナショナル・スーパーフライ級王座決定戦12回戦は、ジェイソンの双子の弟でWBO4位のアンドリュー・マロニー(31歳=オーストラリア)がWBO2位のノルベルト・ヒメネス(31歳=ドミニカ共和国)から初回、2回とダウンを奪って97対90、98対88、98対89の3-0判定勝ちした。

 元WBA同級王者のマロニーは、初回にボディブローでヒメネスを倒したが、レフェリーはローブローを主張。その後、ブレイク後の加撃でヒメネスは減点を課されるなど、立ち上がりから荒れ模様。この回終盤にはモロニーはジャブでヒメネスを倒し、続く2回にはコンビネーションでふたたびダウンを奪った。
 その後、驚異的回復力で粘ったヒメネスだが、ポイント的にもマロニーが圧倒。大差勝利でWBOインター(※日本未公認)のベルトを獲得した。
 試合後、井岡一翔(志成)への挑戦を希望したマロニーは28戦25勝(16KO)2敗1無効試合。2014年末に当時WBA王者だった河野公平と1-1で分けたヒメネスは47戦31勝(16KO)10敗6分となった。

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