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2022-10-18

【NFL】チーフスを飛び越えたビルズに「プレーオフの雪辱」以上の意味 NFL第6週で起きたこと

【ビルズvsチーフス】4Q、ビルズQBアレンが、チーフスSリードを飛び越えて16ヤードをゲイン、レッドゾーンまで攻め込む=photo by Getty Images

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 アメリカンフットボールの世界最高峰、米プロフットボール・NFLは、現地10月16日(日本時間17日)に、第6週のサンデーゲーム12試合が全米各地で行われた。

 AFCのトップコンテンダー、バッファロー・ビルズとカンザスシティ・チーフスはチーフスのホームで激突。昨シーズンのプレーオフで、劇的なシーソーゲームを展開した両者の対戦は、この週で最も注目されたが、ビルズが24-20で逆転勝ちした。ビルズは5勝1敗、チーフスは4勝2敗となった。(写真はすべてGetty Images)


NFL Week6  
ビルズ  0  10  7  7  24
チーフス 0  10  7  3  20
(2022年10月16日 カンザスシティ  GEHAフィールド@アローヘッドスタジアム)

【試合経過】QBアレンが残り1分で逆転TD パス


 ビルズは最初のオフェンスシリーズで、レッドゾーンに侵入。このチャンスで、QBジョシュ・アレンは、RBに入っていたWRアイザイア・マッケンジーにオプションピッチするが、マッケンジーが捕球できずにファンブルとなってしまい、チーフスがリカバーした。

 チーフスはここから6分以上費やして、ビルズゴール前9ヤードまで攻め込んだが、QBパトリック・マホームズのパスを、ビルズのルーキーCBカイル・イーラムがエンドゾーンの中でインターセプト(INT)して、流れを引き戻した。

 ビルズは、2Qにはエンドゾーンまで3ヤードと攻め込みながら4thダウンでフィールドゴール(FG)を狙わずににプレーを選んで、アレンがパスを失敗し、得点できず。アレンは、チーフスディフェンスのブリッツに苦しみ、7回連続でパス失敗という局面もあった。

 しかし前半の2ミニッツで、アレンは蘇った。残り1分29秒、自陣ゴール前4ヤードから始まったオフェンスは、反則などもあって自陣ゴール前1ヤードの3rd&13と追い込まれたが、WRガブリエル・デービスに18ヤードのパスを決めて窮地を脱出すると、ノーハドルから立て続けにパスを決めて前進。残り22秒で、デービスに34ヤードのタッチダウン(TD)パスをヒットした。

 チーフスも、残り16秒からマホームズがパスを2回決めて前進。Kハリソン・バトカーが、チーフスのチーム記録となる62ヤードのFGを決めて、10-10の同点で折り返した。
【ビルズvsチーフス】ビルズQBアレン=photo by Getty Images
 3Qに、ビルズはアレンからWRステフォン・ディグス、チーフスもマホームズからWRメコール・ハードマンに、それぞれTDパスが決まって17-17で4Qへ。

 チーフスは、バトカーが44ヤードのFGを決めて3点をリードした。

 しかしビルズは残り5分31秒からのオフェンスシリーズで、自陣内の4th&1をアレンのQBスニークで乗り越えてドライブを継続。

 2ミニッツ明けのプレーでは、右外に持ち出したアレンが、チーフスのSジャスティン・リードをハードルするワイルドなランで16ヤードをゲインして、レッドゾーンに侵入。仕上げはTEドーソン・ノックスへのパスでTDを決めた。ビルズが24-20とリードした。

 追うチーフス。1分4秒、タイムアウトは2回は、マホームズには十分のように思えた。しかし、ビルズのOLBボン・ミラーにラッシュされて、投げ出したパスをビルズCBタロン・ジョンソンがINT。勝負が決まった。
【ビルズvsチーフス】チーフスQBマホームズ=photo by Getty Images

接戦を勝てるようになったビルズ

 昨シーズンのAFCディビジョナルプレーオフ(今年1月23日)で対戦した両者。試合残り2分を切ってから、チーフスが1TD1FGで10点、ビルズが2TDで15点を奪ったシーソーゲームは「NFLポストシーズン史上最高」と評された。

 チーフスがオーバータイム(OT)の決勝TDで勝ち切ったこのゲーム。いかに名勝負と称賛されようと、ビルズヘッドコーチ(HC)のショーン・マクダーモット、QBアレンにとっては、痛恨の敗戦でしかなかった。

 あれから9カ月。この日の勝利はその雪辱だったが、もっと大きな意味があった。

 昨シーズンのビルズは、接戦に弱かった。レギュラーシーズン11勝6敗、プレーオフのチーフス戦まで含めれば、7敗中6敗が6点差以下で敗れたゲームだった。

 今季も第4週のドルフィンズ戦で19-21で敗れた。しかし、第5週のレイブンズ戦を23-20で逆転勝ち。そして、この日の4点差勝利だった。

 スーパーボウルに出るチームは、レギュラーシーズンとポストシーズンを合わせて、最低でも20試合を戦わなければならない。どんなに強いオフェンスでも、抑えられることがあるのが、アメフトだ。いつも大勝できるわけではない。プレーオフで、もう一度対戦する可能性のある強敵チーフスに、逆転で、接戦で、勝ち切った意味は、非常に大きい。
【ビルズvsチーフス】2サックと活躍したビルズのOLBミラー=photo by Getty Images

 パス27/40、329ヤード、3TD。ランでも12回32ヤードのアレンは、試合後「我々のチームを誇りに思うし、我々が今夜どのように戦ったかを誇りに思う」と話した。

 「みんな冷静で、慌てず騒がず、ゲームプランを信じ、状況に応じたフットボールをして、勝利することができた。それが、(前回プレーオフで負けた)この場に来た、唯一の目標だった」

 「1点差であろうと100点差であろうと、勝利は勝利。毎週それを目指しているんだ」

  5回のQBプレッシャー、3回のヒット、2回のサックを決めて、チーフスオフェンスを封じた立役者の一人、OLBミラーは「今日起きたことなら、わかる。我々はトップに立った。それ以外はすべて過去のことだ」と話した。

 「知らないことは幸せだと思うし、それ(プレーオフ敗退の挽回への思い)は感じなかった」

 ミラーは、昨シーズンはラムズにいた。だからチーフス戦の敗戦は体験していない。だがチームメートの思いも理解している。

 「あの試合をやり直しに来たんじゃない。しかし、私は今日ここにいて、彼らが今日この場所で、成功を収めるために、一週間中、オフシーズン中、ずっと努力しているのを目撃していた」

 そして、アレンはすでに未来を見ている。

 「NFLではどの試合も大きい。対戦相手が4勝1敗でも、1勝4敗でも関係はない」

 「日曜のゲームでも、月曜のゲームでも、木曜のゲームでも、フィールドに立つどのチームも勝つ可能性がある」

 「私たちがプロのフットボール選手であるのには理由がある。みんな優秀なんだ」

 「だから、我々は、もう次の週に目を向けなければならない」
【ビルズvsチーフス】試合後に言葉を交わす、ビルズQBアレンとチーフスQBマホームズ=photo by Getty Images

【ビルズvsチーフス】ビルズのマクダーモットHC=photo by Getty Images




【小座野容斉】

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