アメフトの世界最高峰、米プロフットボール・NFLは現地10月17日に第6週を終えた。今週の特徴は、アップセットが多かったことだ。ジェッツがパッカーズに快勝したのを始め、ファルコンズが49ersを、今季絶不調のスティーラーズがバッカニアーズを破った。ただ、NFLは戦力均衡のためのあらゆる施策がとられている。アップセントだと思っているのは我々の先入観なのかもしれない。
また、全勝をキープしたイーグルス、1敗のジャイアンツも含めて、ランオフェンスを確立できているチームが、ここまでは良い結果を出している。10月16日、17日の12試合(ビルズ‐チーフス戦を除く)を振り返る。(写真はすべてGetty Images)
若手が大活躍、あとはウィルソンだけ
ジェッツ○27-10●パッカーズ
過去2シーズンで6勝27敗のジェッツが、26勝7敗のパッカーズに、3倍近いスコアで快勝した。勝因は、ランオフェンスとディフェンスだ。
ランでは、ドラフト2巡ルーキーRBブリース・ホールが20回116ヤード1TD。4Q冒頭には34ヤードのランタッチダウン(TD)で、パッカーズを突き放した。ホールを中心にチームラン179ヤードは、60ヤードのパッカーズのほぼ3倍となった。ホールは開幕戦から出場しているが、第4週から活躍が目立つようになってきた。ここまで6試合でラン391ヤード3TD、1回平均5.1ヤード。パスキャッチも巧みで、19レシーブ218ヤード。オフェンスの新人王有力候補の1人だ。
ディフェンスでは、24歳のDTクイネン・ウィリアムズが、大活躍した。2サック、2タックル・フォー・ロス、2Q冒頭にはフィールドゴール(FG)ブロックを決めた。
ウィリアムズは、過去3年間では、最高でシーズン7サックだったのが、今年は6試合ですでに5サック。アラバマ大からドラフト1巡全体3位で入団して4年目だが、今季はスーパースターへ覚醒の年になるのかもしれない。
ルーキーで既にスターの風格を見せ始めているのが、CBソース・ガードナーだ。NFLのネクストジェネレーションスタッツによると、パスの名手アーロン・ロジャースと対峙して、ターゲットにされること7回、成功させたのは1回8ヤードだけだったという。
象徴的だったのが、3Q残り8分からのディフェンスだ。パッカーズRB、A.J.ディロンのランで攻め込まれた2nd&8、QBロジャースが狙ったWRロメオ・ドブスへのパスをガードナーが見事に防いだ。3rd&8では、パスプロテクションの真ん中を割ったDTウィリアムズがQBサック。12ヤードもロスさせた。4th&20のパントを、ルーキーDTのマイケル・クレモンズがブロック。Sウィル・パークスのリターンTDに繋げた。
若手が大活躍のジェッツで、一人取り残されたのが2年目のQBザック・ウィルソンだ。パス10/18、110ヤード、TDなしは寂しい。ウィルソンが期待されるパフォーマンスを見せられるようになった時に、ジェッツは12年ぶりのプレーオフに届いているかもしれない。
マリオタにエリート時代の輝き
バッカニアーズ●18-20○スティーラーズ
スティーラーズは先発昇格2試合目のルーキーQBケニー・ピケットに早くもアクシデントが起きた。3Q残り7分、バッカニアーズディフェンスのラッシュを受けて転倒、脳震盪となったのだ。
しかし、開幕時のスターターで、2番手に降格となっていたミッチ・トウルビスキーが力を発揮した。パス9/12で144ヤード、1点をリードした4Qには、WRチェイス・クレイプールにTDパスを決めた。結果的にこれが決勝点となった。
TDパスだけでなく、2点リードの終盤で、3rd&15、3rd&11という2度の3rdダウンロングでパスを決めて、ドライブを継続したのが大きかった。
バッカニアーズオフェンスとQBトム・ブレイディには、少なくともフィールド上での問題があるのは確かだ。前半のチャンスはすべてFGに終わったし、試合を通じて4回のレッドゾーン侵入で、TDは1本だけ。2回のゴール ツー ゴーではTDも決められなかった。2ポイントコンバージョンも失敗した。
スティーラーズは、OLBのT.J.ワットが長期欠場中。セカンダリーはSミンカー・フィッツパトリックとCBのスターター全員がこの試合を欠場した。昨年までのブレイディだったら「TD祭り」となってもおかしくなかった。
ブレイディはパス25/40、243ヤード1TD に終わった。バッカニアーズの3rdダウンコンバージョンは4/14という低さだった。
NFLによると、スティーラーズは、2017年に入団したT.J.ワットが欠場した試合で初めて勝利した。これまでは0勝8敗だった。また、ブレイディがルーキーQBが先発したチームと戦って負けたのは2014年以降では初めてという。この間、ブレイディはルーキーQBとの対戦では12勝0敗だった。
この日も起きた「2Qの魔術」
カウボーイズ●17-26○イーグルス
地区内ライバル対決をイーグルスが制し、開幕6連勝。
イーグルスの「2Qの魔術」がこの日も起きた。2QにTD2本、FG2本を決め20得点。今季の総得点161点のうち、112点を2Qに記録している。開幕6試合のスパンで、一つのクオーターに記録された最大得点記録となっているという。
カウボーイズは、LBマイカー・パーソンズさえも「魔術」にはまったのか、前半10回パスラッシュしながら1度もプレッシャーを与えられなかったという。
イーグルスのQBジェイレン・ハーツはパス155ヤードと控えめながら2TD。これでパス・ラン共に6TDとなった。6連勝中は、パスとランのどちらかで必ずTDを挙げている。
5勝1敗スタート、過去にはスーパー優勝も
レイブンズ●20-24○ジャイアンツ
好調のジャイアンツが5勝目を挙げた。
10点をリードされた4Qに、QBダニエル・ジョーンズのパスと、RBサクオン・バークリーのランで2TDを挙げて逆転した。スーパーボウルが始まって以降、ジャイアンツが開幕から6試合で5勝1敗以上の成績を残したのは、2009年以降で初めてで、今回で7回目。1986年と1990年にも5勝1敗でスタートしたが、いずれもスーパーボウルで優勝している。
ペイトリオッツ○38-15●ブラウンズ
ペイトリオッツのルーキーQBベイリー・ザッピーが、先発昇格後2連勝。ビル・ベリチックHCは、ポストシーズンゲームも含めて、通算324勝となり、ベアーズのジョージ・ハラスに並んでNFL史上2位となった。1位はドン・シューラ(ドルフィンズなど)の343勝。
パンサーズ●10-24○ラムズ
パンサーズは、先週のゲーム終了後に、マット・ルールHCが解雇。その流れの中で、QBベイカー・メイフィールドを降格させた。変わって先発したP.J.ウォーカーでは、ラムズには歯が立たなかった。メイフィールドの降格理由は負傷とされているが、先発に復帰できるかどうかは定かではない。
ラムズは3勝3敗となったが、QBマシュー・スタフォードがこの日も、インターセプトリターンTD「ピック6」を喫した。通算29本のピック6は、1950年以降では、ダン・マリーノ(元ドルフィンズ)に並んで2位タイとなった。
バイキングス○24-16●ドルフィンズ
「やってはいけないフットボール」でドルフィンズが敗れたという以外にない。
オフェンスはドルフィンズが458ヤード、ファーストダウン23回。バイキングスが234ヤードでファーストダウン11回。
反則による罰退はバイキングス2回20ヤード、ドルフィンズ9回97ヤード。
ドルフィンズはWRタイリーク・ヒル12キャッチ177ヤード、WRジェイレン・ワドル6キャッチ129ヤード、TEマイク・ゲシキ6キャッチ69ヤード。だが、ワドルは不注意なミスからインターセプトやファンブルを引き起こした。
バイキングスは5勝1敗となった。
◇
ジャガーズ●27-34○コルツ
ベンガルズ○30-26●セインツ
カーディナルス●9-19○シーホークス
マンデーナイトゲーム
ブロンコス●16-19○チャージャーズ
タイタンズ、テキサンズ、レイダース、ライオンズはバイウィークだった。
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