7日(日本時間8日)、アメリカ・ニューヨークのバークレイズセンターで行われたIBF世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦は、元同級王者で現1位の岩佐亮佑(29歳=セレス)が、元WBO世界バンタム級王者で、現3位のマーロン・タパレス(27歳=フィリピン)を11回、鮮やかな左クロス一撃で倒し、この回1分9秒、レフェリーストップによるTKOで下した。
上写真=力まずシャープな左ストレートをヒットする岩佐
「フィジカルの強さを感じるから勝負にいける」──。宣言どおりの、岩佐の攻撃力だった。3回、左ボディブローを打ちに行った際、頭も当たってタパレスがダウン。しかしレフェリーはノックダウンを宣告する“ラッキー”もあったが、岩佐はかつての待ち受けてカウンターを取るボクシングを一新していた。
パワーパンチでは岩佐を上回ると見られていたタパレスは、いったんは“失態”を犯していた。前日計量は互いにリミット(55.3kg)を200g下回ってクリアしたものの、IBFが課す当日計量(リミット+10ポンド=約4.5kg)を1度ではクリアできなかったのだ。
タパレスは+5.2kg(60.5kg)で、岩佐は+3.4kg(58.7kg)。その後、2度目の計量でタパレスは辛くもクリアし事なきを得たが、大森将平(ウォズ)とのWBOバンタム級戦で計量オーバーの“前科”があるだけに、関係者をヒヤリとさせたものだ。
序盤はタパレスのプレスからの左オーバーハンド、右フック、右アッパーカットのタイミングが怖かった。しかし、岩佐はそれらを食らってもまったく動じずに、引きすぎず、前に出すぎず、どっしりと構えて気を窺った。
そして徐々に左ストレートを上下に打ち分けていく。4回には体がコンタクトしても押し勝つシーンを再三見せ、体の芯の強さ、体幹の強さを印象づけた。
力まず、タイミングを合わせる。そんなブローを放っていった岩佐に対し、タパレスは、序盤からの振りの大きさと、岩佐のボディ攻めに、スタミナを失っている印象に。8回、岩佐はワンツーや4連打などのコンビネーションで攻めて、攻撃姿勢を強めると、11回、タパレスの右打ち終わりに左クロスをどんぴしゃり。吹っ飛ぶようにダウンしたタパレスは立ち上がったものの、レフェリーの前進の要請にフラつきを見せたためストップ。暫定ながら、岩佐の見事な王座返り咲きとなった。
WBAスーパー王座も持つ正規王者ダニエル・ローマン(アメリカ)が拳を負傷して長期試合不能のために認められた暫定王座決定戦。岩佐には、ローマンとの王座統一戦の権利がもちろんあるのだが、大舞台での鮮烈なKO戴冠は、今後の可能性を大いに広げるもの。岩佐は、自らの手で堂々とそのチャンスをつかみ取った。
文_本間 暁
写真_ゲッティ イメージズ
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