12月7日(日本時間8日)、アメリカ・ニューヨークのバークレイズセンターで、IBF世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦を戦う元同級チャンピオンで1位の岩佐亮佑(29歳=セレス)が27日、練習を公開した。
上写真=鋭い視線は“イーグルアイ”のニックネームにふさわしい
試合まで10日。「いまがいちばん疲れているとき」と小林昭司会長は岩佐のコンディションを説明するが、「それにしても動きはいいし、なによりパンチの強さが格段にアップしている」と、愛弟子のいい意味での変わりように笑顔が絶えない。
西岡利晃、山中慎介をはじめとする帝拳が生んだ世界チャンピオンたちが師事し、現在は村田諒太(帝拳)、伊藤雅雪(横浜光)も勤しむ中村正彦氏のもとで、約1年半にわたり、フィジカルトレーニングを積んできた効果を、師弟ともに実感しているのだ。
「こういう動きをしたいと希望を話すと、それにともなう箇所のトレーニングを課される」。地に足がつき、スムーズに動作をこなせるようになったのだという。
日本バンタム級4位の定常育郎(T&T)との2ラウンドのスパーリングは軽めだったが、定常の左オーバーハンドに対して、スウェーバックしながらの右フックカウンター、すべてのブローに対してのリターンなどを披露。ニックネームの“イーグルアイ”のセンサーが研ぎ澄まされていることを印象づけた。
対する元WBO世界バンタム級王者のマーロン・タパレス(フィリピン)は、左ストレート、右フックを思いきり叩きつけてくるパンチャー。だが、「その大振りに対して、コンパクトに合わせていく」と自信を語る。
これまでは相手のブローを見切りながらカウンターを合わせていくのが岩佐の“ベース”だったが、自ら仕掛けていくボクシングにも手応えを感じている。
「もう、1度世界チャンピオンになっているし、僕の責任も果たせたかな。これからは、岩佐自身が思うようなボクシングをやればいいと思うし、彼もいい意味で吹っ切れている」と小林会長も、岩佐の考えや行動を信頼している。
「泥臭く、死に物狂いで何が何でも勝つ」。決して興奮せず、はっきりと宣言する。覚悟は本物と見た。
ビッグイベントでアピールし、これからは海外を主戦場に戦ってみたい。
タパレス戦は、タイトルやベルト獲得以上に、本場でビッグマネーを稼ぐという野望を現実のものとするための重要な試合だ。
柔和な表情をたたえながら、目だけはギラギラと光り続ける。その目力は、きっとタパレスも圧力を感じるはずだ。
文&写真_本間 暁
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