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2022-11-03

【NFL】ビルズ、バイキングス「スーパー4敗」2チームが1敗を堅持 全勝イーグルスは力の差見せつけ 第8週のまとめ(1)

【バイキングス vs カーディナルス】気迫のQBランでTDを決めるバイキングスQBカズンズ=photo by Getty Images

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アメリカンフットボールの世界最高峰、米NFLは、第8週を終えた。ついこの間開幕したと思ったシーズンが、早いもので、来週がレギュラーシーズンの折り返しとなる。唯一の全勝チーム、イーグルスはスティーラーズに快勝。NFCでは1差で続くバイキングスもカーディナルスを破った。AFCでは、サンデーナイトゲームで、ビルズがパッカーズを降して1敗を守った。 NFLで、スーパーボウル4戦4敗は、バイキングスとビルズだけだ。この両者が来年2月に対戦することもあるのかもしれない。

WRブラウン、キャリア初の3TDレシーブ
【イーグルス vs スティーラーズ】スティーラーズのフィッツパトリックに勝ってTDパスレシーブを決めたイーグルスWRブラウン=photo by Getty Images
スティーラーズ●13-35○イーグルス
 同じペンシルバニア州を本拠とする両チームだが、現在の力の差がそのまま得点になって表れた。イーグルスにとって良かったのは、好調の中でやや課題とされていた、QBジェイレン・ハーツのパスで得点を重ねたことだ。ハーツはバーティカルに攻めて4タッチダウン(TD)を奪った。
 前半に、WRのA.J.ブラウンに39ヤード、27ヤード、29ヤードと3本のTD。後半にもWRザック・パスカルに、34ヤードのTDパスをヒットした。
 特筆すべきはブラウンのレシーブだ。3TDはいずれもカバーされていたが、ブラウンが競り勝った。
 特に先制のTDとなった39ヤードのポストは、スティーラーズがダブルカバーしていた。奥に入ったSミンカー・フィッツパトリックの前で、ブラウンが瞬時の判断でボディターン。TDキャッチを決めた。
 フィッツパトリックはパスの軌道上にいたので、ブラウンが瞬間的に前に入らなければ、インターセプトされていた可能性が高かった。してやられたフィッツパトリックはフィールドを叩いて悔しがった。
 ブラウンはキャリア初の1試合3TDレシーブ。開幕以来の150ヤード超えで、レシーブヤードではリーグ7位にまで上昇してきた。
 今春のドラフト当日に、トレードでやってきた25歳。QBハーツと年代は近いが、プロとしてのキャリアは上だ。ブラウンにけん引されて、パスの決定力も加わると、イーグルスに弱点は無くなってくる。ポストシーズンに向けて視界は良好と言えそうだ。
 完敗のスティーラーズは、オフェンス・ディフェンス共に良いところが無かった。ルーキーのQBケニー・ピケットはこの日は6サックを浴びせられ、2年目のRBナジ-・ハリスは、今季ここまでランで100ヤード超えが一度もない。次週がバイだが、どう立て直すのか。就任以来15シーズン負け越しがないマイク・トムリンHCだが、今、最大の危機にある。
 
悲願達成のチャンス、駆け込みでトレードも
【バイキングス vs カーディナルス】=photo by Getty Images
カーディナルス●26-34○バイキングス
 バイキングスが競り合いの中で、終盤に力を見せて逃げ切った。3Qのインターセプト、4Qのパントマフというカーディナルスのミスで、オフェンスを奪うと、すかさずTDに繋げたのが大きかった。
 オフェンスは好調だ。QBカークカズンズはパス36回中24回成功、232ヤードで2TD。加えて、ランでも24ヤードを走り1TDを記録した。
 WRジャスティン・ジェファーソンは98ヤード、アダム・シーレーンは67ヤードのレシーブ。
ランではRBダルビン・クックが20キャリーで111ヤードを走ったのに加え、アレクサンダー・マティソンも40ヤードをゲイン。チームトータル173ヤードで、カーディナルスを大きく上回った。
 ファーストダウン更新はパスとランで11回ずつと、バランスアタック。ターンオーバーもファンブルロスト1回に留め、終盤のミスから失点して、流れを失ったカーディナルスとは対照的だった。
 ディフェンスは、カーディナルスのQBカイラー・マレイとWRデアンドレ・ホプキンスのホットラインに手を焼いたが、ランを止めて、要所を締めた。
 OLBザダリアス・スミスが前半で2QBサックを決めながら、負傷で退場。しかし後半にゲームに戻りもう1サックを追加する大車輪の働きだった。
  10年前に1巡全体2位指名のQBロバート・グリフィン3世と同年の6巡指名でワシントンに入団。バックアップとしての評価を覆し、怪我の多かったRG3に替わって先発に昇格。パス4000ヤード以上、25TD以上のシーズンが、ここまで7年で6回という、本格派パサーとして活躍してきた。
 しかし、パスのスタッツとチームの成績が、なかなか結び付かず、二桁勝利は1シーズンだけ。
 34歳の今季は、栄冠をつかむ絶好のチャンスだ。
 チャンスという意味では、バイキングスも同様だ。スーパーボウル草創期に、4回出場しながら、チーフス、ドルフィンズ、スティーラーズ、レイダースに敗れ、1度も優勝できず。その後は出場すらできていない。1998年、15勝1敗だったシーズンもチャンピオンシップで惜敗した。今季は、本当に久しぶりに巡ってきた悲願達成のチャンスとなるのかもしれない。
                            ◇
バイキングスは、10月31日のトレード期限ぎりぎりで、ライオンズからTEのT.J.ホッケンソンを獲得した。大型・フィジカルでパスキャッチ能力だけでなくブロッキングにも優れるトップクラスのTEだ。バイキングスが今季にかける意気込みは熱い。
 
スーパー出場シーズン以来の6勝1敗スタート
【ビルズ vs パッカーズ】パスでは苦戦したビルズQBアレンだったが、しっかり勝ち切った=photo by Getty Images
パッカーズ●17-27○ビルズ
 来年2月の第57回スーパーボウルが、このカードになると予想した人は、シーズン前にはそれなりにいたかもしれない。しかしシーズン半ばになって、その予想はかなり難しくなってきたと言わざるを得ない。
 パッカーズは4連敗。4試合の最高得点は22。ある意味でトム・ブレイディさえもしのぐ、パスの達人アーロン・ロジャースに何かが起きている。
 最終スコアこそ、多少競った形になったが、試合は淡々と、ビルズが常に主導権を握りながら進んだ。
 前半終了時で24-7でビルズがリード。ロジャースは2QにルーキーWRロミオ・ドゥブスにTDパスをヒットしてらしさを見せたものの、オフェンス全体としては、ビルズのディフェンスに抑え込まれていた。
 3QにロングドライブでFGを返したが、ロジャースのTDパスが、味方の反則で取り消されるなど、オフェンスのギクシャク感は解消されなかった。
 4Qに入った段階で、ロジャースのパスは100ヤードに達せず。そして味方がインターセプト(INT)して奪ってくれたオフェンスの最初のプレーでINTを喫するなど、まったくロジャースらしくなかった。
 右手のテーピングに、パスを投げない理由があったのかもしれない。だが、4Q10分からのオフェンスシリーズを見ると、それが「理由」なのか、疑わしくなった。
 ロジャースは、自陣6ヤードから自身のスクランブル以外はすべてパスで進み、最後はエンドゾーンの中のルーキーWRサモリ・トウレに鮮やかな37ヤードのロングパスをヒット。手や腕を痛めているQBのTDパスとは思えなかった。
 結局、この日のロジャースの見せ場は、ここまでだった。
 パッカーズの話ばかりになったが、ビルズは着実にステップアップしている。今季は競り合いに強くなったが、それだけでなく、オフェンスが爆発的にヤードを稼がない試合でも、きっちりマネジメントできるようになった。
 パッカーズもパスディフェンスは良い。それに苦しんだQBジョシュ・アレンはパス成功率52%、218ヤード。2TDは決めたが、2INTも喫した。パフォーマンスとしては明らかに悪い部類だ。
 それでも前半から得点を重ねただけでなく、3&アウトは実質一度だけと、ゲームをコントロールした。
 エースWRステフォン・ディグスは108ヤード、1TDのレシーブ。ディグスがビルズに移籍して以来、100ヤード超えてレシーブした試合は、13勝1敗という。勝ちパターンがあるのは強い。
 ビルズは6勝1敗となったが、1993年のスーパーボウル出場シーズン以来の成績。開幕7戦で6勝1敗だった過去の3シーズンは、スーパーボウルに進出して、そして負けている。ビルズはこれからも一喜一憂せず戦い続けるだろう。

【小座野容斉】

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