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2019-11-02

【海外ボクシング】挑戦──。明日に迫った岡田博喜3度目の本場リング

元日本・WBOアジアパシフィック・スーパーライト級チャンピオンの岡田博喜(29歳=角海老宝石)が明日11月2日(日本時間3日)、アメリカ・カリフォルニア州カーソンのディグニティヘルス・スポーツセンターで、2008年北京五輪代表のハビエル・モリナ(29歳=アメリカ)と141ポンド契約10回戦を行う。今日1日午後2時、140.8ポンド(63.8kg)で計量をパス。モリナは141.0ポンド(63.9kg)ちょうどだった。

上写真=計量も無事パス。あとは決戦に臨むだけとなった

アメリカでの戦い。1勝1敗で迎える第3戦

 昨年、アメリカ最大手トップランク社と契約した岡田が、アメリカ第3戦を迎える。今回はスーパーライト級のリミットを1ポンド(約453g)上回る141ポンド契約。

「この1ポンドが大きかったです」という岡田は、10月27日に現地入りしてジムで調整にはげみ、好調をうかがわせた。

 昨年9月に初めてアメリカのリングに上がり、クリスチャン・コリア(アルゼンチン)に判定勝ち。今年2月にはWBO世界ライト級王座を失ったばかりの大ベテラン、レイモンド・ベルトラン(メキシコ)と拳を交えた。好調な立ち上がりから、2回に左フックを合わされてダウンを喫したが、その終盤に右ストレートで元王者を腰砕けにし、猛ラッシュ。大歓声を浴びた。

「その瞬間は夢中でしたが、ラウンドが終わった時もお客さんが盛り上がっていて、それはすごく覚えています。海外はおもしろいな、と思いました。めちゃくちゃシンプル。面白ければ、お客さんが反応する」

 そんな本場の空気を肌で感じながら、最終的には9回に右を浴びてダウン。さらなる連打でストップされた。

 キャリア初めての黒星。しかし再起を決意する。

初黒星……。けれど、またチャンスがやってきた

「ベルトラン戦の前もすごく集中していましたが、負けた後、もう一度ボクシングをやるんだと決めてから、生活リズムをまず変えました。ボクシング中心。残された時間はもうそんなに長くはないので。長くて、2、3年。だからいまはボクシングに集中するんだと」

渡米し、もっとも得意とする左ジャブをさらに磨く

 7月から8月にかけて、後輩の斎藤一貴とともにロサンゼルスでキャンプを張った。現地の頑丈なファイターたちとスパーリングを重ね、フィジカル強化にも取り組んだ。

「アメリカで戦って感じるのは、こっちの選手の体の強さ。技術面は日本人も遜色ないと思うんですが、とにかく頑丈だと感じます」

 無事にキャンプを終えて帰国し、しばしのあと、今回のオファーがあった。

「ほんとうにうれしかったです。見捨てられてないんだ、トップランクに、と思って。それと同時に、めちゃくちゃ緊張しました。もう負けられない……そうですね」

契約とは、常に生き残りを懸けた戦い

 相手のハビエル・モリナは、岡田と似てすらりと長身なメキシコ系アメリカ人。2008年北京オリンピック・ライトウェルター級に出場した実績がある。双子のオスカルはロンドン五輪に出場し、兄カルロスは元WBOインターコンチネンタル王者、というボクシングファミリーの一員。危険回避能力に長けた、手強いアウトボクサーだ。契約上の関係で2年5ヵ月のブランクをつくり、昨年6月にリングに復帰。トップランク傘下に入って今回が3戦目になる。

「わかっていることは、オカダにとっても私にとっても、とても大事な戦いだ、ということ。勝ちたい気持ちが強い方が勝つ」と覚悟を語った。

 その相手を難敵と認識し、岡田は準備を進めてきた。

「元オリンピック代表ですから、うまいんだろうな、期待されてきたんだろうな、と思います。僕はいままで、あまり対戦相手の映像を見ることはなかったんです。むしろ、ぜんぜん見ないです。先入観を持ちたくない、というのがあって。でも今回は、一番、見たと思います。ハビエルは、すぐにサイドに回るし相性的には難しいところもある。でもそれに対応する練習をしてきました。追って追って、歓声を味方につけたいと思います」

 トップランク社との契約は年間3試合で3年。しかし、激しい競争社会で、敗れれば次の保証はない。

「あとがない、思いたくはないけど、そう思います」

 計量を終え、鈴木眞吾会長お手製のおじやを食べて、英気を養い、明日の決戦に臨む。

「とにかくなんでも、勝ちにつなげられればいいです」

日米混合の“チーム岡田”。支えてくれる人たちの想いも胸に──

 メインはWBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ、ミゲール・ベルチェルト(メキシコ)対ジェイソン・ソーサ(アメリカ)。予定されていたIBF世界スーパーフライ級タイトルマッチが、挑戦者のビザの問題で頓挫し、岡田対モリナはセミファイナルとなる。現地時間19時30分にゴングは鳴る。

文&写真_宮田有理子

Text & Photos by Yuriko Miyata

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