“陰のMVP”
プロ野球の今シーズンを振り返るBBMカードの総集編「FUSION」が発売となりました。このシリーズでは、BBMカードのファーストバージョンにもセカンドバージョンにも登場していなかった選手をカード化する「アップデート版」というサブセットがあります。シーズン途中に移籍した選手や育成から支配下に上がった選手などですが、この中で最大の注目選手となったのがオリックスの宇田川優希です。
2022BBMベースボールカードFUSION No.612 宇田川優希 育成2年目の今季7月末に支配下登録を勝ち取り、8月から一軍に昇格。中継ぎで起用されて好投を続け、9月8日にはヒジの違和感で降板した椋木蓮のあとを受け2回2/3を無失点に抑えてプロ初勝利。優勝決定の今季最終戦で自身2勝目をマークし、チームの逆転優勝の立役者となりました。
さらに彼の名声を高めたのが日本シリーズで、7戦中4試合に登板し、1勝2ホールド、5回2/3を投げて10三振を奪い、チームの26年ぶりの日本一に貢献。この無名の選手の大活躍はプロ野球ファンを驚かせ、表彰こそなかったものの、“陰のMVP”と呼ばれることになりました。
先の9月8日を機に明暗が分かれた宇田川と椋木のコントラストの差の大きさには驚かされます。椋木は7月7日のプロ初登板で初勝利を挙げると、次戦では9回二死までノーヒットノーランを続ける好投で2勝目。ところが、4戦目に緊急降板すると9月末にトミー・ジョン手術を受け、10月には育成契約が前提ながら戦力外通告を受けることに……。
来季は宇田川のさらなる躍進、そして椋木の復活に期待したいところです。
(週刊ベースボール2022年12月12日号 掲載記事再編)