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2022-12-15

両極端のプレッシャー攻略術…2003年7月の“イケメンタッグ”丸藤正道&KENTAインタビュー前編【週刊プロレス】

丸藤正道とKENTA

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NOAH1・1日本武道館大会にて“タカアンドサトシ”杉浦貴&小島聡のGHCタッグ王座に挑戦する丸藤正道&KENTA。プロレス専門誌「週刊プロレス」2003/8/14号(No.1161)掲載のインタビューを前後半に分けて公開。当時の2人は“イケメンタッグ”と呼ばれ、人気と実力を兼ね備えた新世代の旗手だった。NOAH2003年7・16大阪でGHCジュニアヘビー級タッグ初代王者に輝いた丸藤(当時23歳)とKENTA(当時22歳)は当時どのようなことを語っていたのだろうか。


――ベルトを取って1週間経ちましたが実感は沸いてきましたか?

丸藤「オフに入ると普通の自分に戻ってしまうところがあるから、やっぱりリング上っていうのが一番実感があるかな」

KENTA「取った時より、東京に戻ってきて友達と会った時に喜んでもらえて、それでいいことできたなって思えましたね」

――ベルト取得直後は「今は喜びに浸りたい」と言っていました。時間が経ってみて追われる立場というのを感じますか?

KENTA「今はそうですね。これからはああいう試合が続いていくと思うので、今まで以上に気合を入れていかないといけないですね」

――ベルトを取った日は2人で祝杯をあげたりしたんですか?

丸藤「トーナメントに出た人たちがイザコザのないように半分ずつに分かれて食事会があったんです」

――獣神サンダー・ライガー選手や高岩竜一選手もいたんですか?

丸藤「ライガーさんはいないよ。高岩さんは違う席にいたね。外国人もいたんだけど、なぜかスコーピオもいたね」

――その時からもう狙われているという意識はありました?

丸藤「外国人なんかはね、“おめでとう”と言いながらも心の中では狙っているなっていうのを感じたね」

KENTA「次は俺らがっていう目をしてましたよ」

――マイケル・モデスト&ドノバン・モーガンとの直接対決はありませんでしたからね。

丸藤「あの2人にはシングルでもタッグでも勝ったことないですからね。倒さなきゃいけないでしょ」

――大会を振り返ってみると、3試合とも素晴らしい内容だったと思います。自身の評価はいかがなものでしょう?

丸藤「KENTAとオレがお互いに遠慮なしにね、やっていけたのが一番よかったんじゃないですか。上の人と組むとどうしても気持ちの中で遠慮が出ちゃう選手もいるじゃないですか。でも今回はそういうところもなく、いい感じで2人が絡み合って、いい内容と結果を残せたと思いますよ」

KENTA「別に遠慮はなかったですね。3試合全部、ボクがとる気持ちでいきました。結果的には1つでしたけど、決勝とかも内容的には満足しています」

――3試合の中で特に厳しかった試合はやはり決勝戦ですか?

丸藤「いや、全部だったよね。一つひとつが勝負ですよ」

KENTA「ただ決勝が一番重圧があったっていうか。メインだったし」

――決勝戦の日は、秋山準vs永田裕志戦、GHCタッグ戦(王者組・小橋建太&本田多聞vs挑戦者組・高山善廣&真壁伸也)と、前にすごいカードが並んでいました。当然、プレッシャーはありましたよね?

丸藤「でもそれが逆にオレのなかでは火をつけられましたね。プレッシャーにはならないよね」

KENTA「プレッシャーでした(苦笑)」

丸藤「KENTAはシャドーをしながら緊張をほぐしてたよね」

KENTA「やっぱり朝起きてからの気分がいつもとは違いましたよね」

――過去のタイトルマッチとも違う緊張感でしたか?

KENTA「違いましたね。前にシングルのトーナメントの決勝があったじゃないですか(2002年5月の札幌大会での金丸義信戦)。あの時と同じような感じでしたね。丸藤さんはいつもと変わらない様子でさすがだなと思いました」

――お互い緊張をほぐすために声をかけあったりしました?

KENTA「いろいろ話しかけてくれたんですけど、ボクは緊張してたんで無視してました(笑)」

丸藤「オレだけじゃなくてね、リキ(力皇猛)さんとか井上(雅央)さんとかが一生懸命話しかけてるんですけどね、ほぼシカトでしたね」

KENTA「そんなことないですよ(苦笑)」

丸藤「オレとリキさんはいいよ。だけど井上さんを無視するなよ」

KENTA「井上さんが“関係ない話とかしてれば緊張がほぐれるから”って言ってくれたんですよね」

丸藤「そういうところに選手会長のやさしさが出てるんだよね。これ絶対、書いておいて(笑)」

――正直言って、セミファイナルがものすごく盛り上がって、ヤバイなって思いませんでした?

丸藤「負けられねぇな、ぐらいの感じですよね」

KENTA「ボクはヤバイなって(苦笑)」

丸藤「メンツがメンツですからね。普通なら小橋(建太)さんのタッグがメインで、秋山さんがセミで」

――でもあえてメインに起用されたことで意気に感じる部分もあったんじゃないですか?

丸藤「それはオレたちががんばってきたのを認めてくれたのかなと。認めてくれてる部分と、オマエらがんばれよっていう叱咤と。その両方があると思うんでね」

――それこそ丸藤選手が1月に言った“いつまでも上の選手がいるわけじゃない”という言葉につながってくる部分ですよね。

丸藤「そうですよね。オレが言った言葉っていうのは将来的に必ず起こりうることですから。ああいうシチュエーションを経験して、ドンドンやっていかないと自分たちにも自覚が生まれないだろうし。そういうものに負けない選手にみんながなっていかないといけないと思いますね」

KENTA「ボクはそこまで考える余裕がなかったです(苦笑)」

丸藤「ヒャハハ」

――パートナーは謙虚ですね。

丸藤「全然謙虚じゃないですよ。試合前に酒飲むような男ですから」

――緊張をほぐすために?

KENTA「飲んでないです(苦笑)」

丸藤「車酔いしないために先に酒に酔っておくっていうのもあるでしょ。それと一緒ですよ。試合に酔う前に酒に酔っておくと」

――それで緊張がほぐれたらと。

KENTA「だから飲んでないです(苦笑)。もう、いいですよ」

――わかりました。KENTA選手が2002年10月にIWGPジュニアタッグをやった時、小橋選手の後の試合で不本意な試合をしていますよね。

KENTA「だからセミが盛り上がれば盛り上がるほど、あの時のことを思い出しちゃいましたね」

丸藤「なんかあったの?」

KENTA「丸藤さんが休んでる時に杉浦(貴)さんとジュニアタッグに挑戦してダメだったんですよ。でも今回は信頼してる先輩ですから」

丸藤「オレも信頼してるよ」

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