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2022-12-20

【アメフト】早大・高岡監督「コーチも学生も実力を出し切った結果」2022甲子園ボウルレビュー(4)

【関学大vs 早大】サイドラインで戦況を見つめる早大・高岡監督(中央)。前半は3-6と食い下がったが、後半に差を付けられた=撮影:佐藤誠

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全日本大学選手権決勝、第77回毎日甲子園ボウル
関西学院大学ファイターズ○34-17●早稲田大学ビッグベアーズ
(2022年12月18日、阪神甲子園球場)
関西学院大学が、5年連続33回目の優勝

 早大の高岡勝監督には、試合後に十分に話を聞けなかったので、試合翌日の12月19日、アメリカンフットボール・マガジン編集部からの質問に回答していただいた。

――過去の甲子園ボウル、特に関学との対戦に比べて今回、進化したというか良かった点は。

 私が監督をした5年間の話をすれば、5年で3回目の出場ということで、コーチングスタッフの多くが、甲子園を経験していたことが場馴れという観点で良かったと思います。何を準備すべきかという観点で、以前よりもできたと思います。

――逆に、できなかった、もう少し何とかしなければいけなかったと思う点は

 考え得ることをやってきて、コーチも学生も実力を出し切った結果が、今回の点差と実力差だと感じています。
 結果論で物事を言うことは何とでも言えますが、その瞬間その瞬間一生懸命やったという点で、力は出せたと思います。
 関西・関東ではなく、関西学院大学さんと早稲田の実力差です。言えることとしては、早稲田の実力が日曜日の見たままです。
 常に自分の行動がいかにチームに影響を及ぼすか?(部員もコーチも)という事を言ってきましたが、甲子園ボウルが見えてきた後も、そのような観点で行動できない者がまだまだいましたので、そのほころびの積み重ねが、結果として、突き詰められないチームの甘さに出てきたのだと思います。

――選手だけでなく、スタッフも含めて、学生に声をかけるとしたら

 勝敗結果は相手が強い弱いで変わってくる。自分ができることをやりつくすことで人間としての成長がある。
 それが、チームの活動目的である。入部説明会はじめ、常々部員には言っています。
 高いレベルでの実戦経験が乏しいメンバーで構成していますので、コロナによる3年間のディスアドバンテージを克服して、甲子園ボウルという場に出場し、なんとか試合になった。今回の結果は、努力の結果だと思います。
 勝敗は、相手がまだまだ上手だったという結果です。
 そのうえで、私も含めてもう一度、相手がどうのこうのではなく、自分ができたことが何だったか?今回の敗戦を受けて、ほかのアプローチで自分ができることが何かあったのか?を、考えてほしいと思います。
 過去の引き出しだけで、考えること・工夫することを止めたら進化はしない。卒業する者は、考えることの大切さを忘れずにフットボールのみならず社会でもそのマインドを活かして欲しい。
 残る者はチームの歴史を変えるという大きなチャレンジに、「先輩たちの良い文化の積み重ねの上に、もう一度多角的なアプローチを考えよう」と伝えたいです。 

――来季以降、どういうチームを目指しますか。

 継続して、自分の力をどのようにチームに還元するか?
 そのために、自分を見つめて、自分のできることをしっかりと考えるチーム作りをしていきます。これは、部員のみならず、私も含めてコーチも。チームに所属する全員の必要な行動要素です。

――早稲田のアメフトはどうあるべきだとお思いですか

 早稲田のアメフトは歴史は長いですが、文化があるような無いような状態でした。濱部前監督時代に、少しづつ培われてきた、チームのために何をすべきか?という考える文化を根付かせたいと考えています。
 今年のチームを評して、「エースがいないチーム」としました。これからも、そうあってほしいと思います。
 早稲田自体がそうですが、大学やOBが敷いたレールではなく、バンカラでちょっと尖がって欲しい。
 自分の特徴を前面に出して欲しい。
 そこに愛校心でもある、「チームのために」を持った人間の集団であるべきだと考えますし、日々それを口にしています。
 付け加えて言うと、大学スポーツの在り方のモデルになればとの思いがあります。
 そもそも大学は、なにをするところなのか?
 その大学所属の正式なクラブの使命は何なのか?
 その少なくない活動時間で、我々コーチングスタッフは、学生に何を与えることができるのか?
  監督としての私のやるべきことの一つが、学生が、社会に出る準備の大事な4年間を、フットボールの活動を通じて考えてもらう環境を整えることだと思い、取り組んでいます。

 厳格な教育者のようなコメントになってしまいましたが、みんなに柔らかく頑張ってほしいです。
【関学大vs 早大】早大は前半は3-6と食い下がったが、後半に差を付けられた=撮影:佐藤誠

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