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2022-12-22

【高校駅伝】エース・長嶋幸宝を擁し、西脇工高20年ぶりの全国制覇へ「3区で日本人トップを狙います」

前回大会1区で飛び出し、中盤までレースをけん引した長嶋。今年は3区を希望している(写真/JMPA)

12月25日、京都の都大路を高校生たちが駆け抜ける。前回大会、1区で積極的な走りを見せ、レースをけん引した長嶋幸宝(西脇工高3年・兵庫)。課題である後半の粘りを強化し、5000mでは高校歴代6位の13分37秒46をマークした。今年はチームの優勝のために留学生も集まる3区を希望している。全国の舞台でエースの力走を見せる。

県大会区間新の区間賞で都大路に弾み

8度の優勝を誇る西の名門が、目指すのは20年ぶりの全国制覇。西脇工高の長嶋幸宝(3年)は、最後の全国高校駅伝に向けて、静かに闘志を燃やしている。

「僕が3区に回らないと、チームの優勝はないと思っています。日本人トップを狙います。一番、意識しているのは佐久長聖高の吉岡大翔選手(3年)。留学生たちもエントリーしてくると思いますが、勝負したい気持ちは強いです」

力強い言葉には自信がにじむ。前回大会は1区で序盤から一人飛び出したものの、途中から失速して区間13位に沈み、自らの課題が浮き彫りになった。今年、取り組んできたのは後半の粘り。練習は嘘をつかない。今年5月には5000mで高校歴代6位の13分37秒46をマークし、自己ベスト更新したが上には上がいた。ライバルの吉岡である。長嶋は2月の世界クロカンU20選考会で2位、10月の国体でも2位になったが、いずれもトップの座に就いたのは5000mで高校記録を持つ佐久長聖高のエースだった。

同じ相手に三度も負けるつもりはない。今年11月の兵庫県大会では、前回の1区で競り負け、インターハイの5000m決勝でも苦杯をなめさせられた報徳学園高(兵庫)の前田和摩(3年)に雪辱を果たしている。圧巻の区間新で区間賞を獲得し、都大路へ弾みをつけた。

「前田選手についていくレース運びとなり、僕のスタイルではなかったのですが、きついところで仕掛けることができました。勝ち切ったことで、自信になりました」

ブレなかった目標「全員の力でつかみ取る」

 勝因は万全の準備にある。国体以降、県大会に照準を合わせて調整。仕掛けるポイントでペースを上げるなど、綿密に計画を立てて練習に取り組んできた。レースから逆算したプランニングには手応えを得ており、集大成の都大路でも持てる力を100%で発揮するつもりだ。

「練習してきた成果を出し、チームに勢いをつける走りをします。入学当初から優勝を目標に掲げ、ずっとブレずに走ってきました。駅伝は僕一人で戦うわけではありません。全員の力でつかみ取れるように頑張ります」

エースとしての責任感は強く持っているが、気負いはない。2009年から監督を務める足立幸永先生から過度に緊張していた県大会で「一人で頑張る必要はない」と言われ、肩の荷がすっと下りたという。

次は全国の舞台でリベンジを誓う。“三度目の正直“で宿敵を負かし、真冬の古都で信頼する仲間たちと歓喜の輪をつくるつもりだ。


徳島インターハイ1500m決勝でも積極的な走りでペースをつくり、4位入賞を果たした(写真/椛本結城)

ながしま・そなた◎2004年6月17日生まれ。氷丘中→西脇工高(兵庫)。県高校駅伝では3年連続1区で今年は区間記録を更新した。前回大会も1区で積極的な走りを見せ、トップで走るも全国強豪の猛追もあり、区間13位。トラックでは、徳島インターハイ1500m4位、5000m6位と共に入賞。1500mは2年連続の4位だった。自己ベストは、1500m3分44秒87(2021年)、5000m13分37秒46(22年)。

文/杉園昌之 写真/椛本結城、JMPA

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