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2022-12-26

【アメフト】MVPは富士通ニクソン、最優秀新人にパナソニックのヘンダーソン オールXのQBは7年ぶりに日本の高木

2度目のMVP授賞となった、富士通RBニクソン=撮影:小座野容斉

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 アメリカンフットボールのXリーグは12月23日、トップリーグ「X1スーパー」の2022年シーズン最優秀選手(MVP)、最優秀新人、オールX25人(オフェンス11人、ディフェンス11人、スペシャルチーム3人)を発表した。

 MVPは富士通フロンティアーズのRBトラショーン・ニクソン、最優秀新人にはパナソニック インパルスのQBジェイロン・ヘンダーソンが選ばれた。ニクソンのMVP授賞は、RBにコンバートされた2018年に続いて2度目となった。

オービック戦では渾身のランで178ヤード…MVPのニクソン
2度目のMVP授賞となった、富士通RBニクソン。オービック戦では渾身のランで178ヤードをゲインした=撮影:小座野容斉
 ニクソンは、1992年4月生まれの30歳。カリフォルニアの出身で、米カレッジフットボールでは、最上位カテゴリーのFBS、ニューメキシコ州立大のLBとして、2シーズン24試合に出場し、189タックル、5.5QBサックを記録した。

 富士通には2016年に加入。当初はLBだったが、2018年、高校時代にプレーしていたRBへのコンバートを自ら希望し、認められてプレー。秋のリーグ戦でXリーグレギュラーシーズンの個人ラン記録を更新する大活躍で、シーズンMVPに輝いた。さらに、ジャパンXボウル、ライスボウルでもMVPを獲得した。


 2019年には膝に重傷を負ってシーズンアウトとなったが、2020年に復帰すると、DLとRBの両面でプレーした。2021年からRBに専念している。

 今季はリーグ戦5試合でラン62回、531ヤード、6タッチダウン(TD)でラッシングリーダーに輝いたほか、パスレシーブでも10回116ヤードを記録した。
 
 三宅昂輝や香川将成という若手RBが台頭してきた今季、前半だけでサイドラインに下がる試合が続いたが、1試合平均100ヤード越えるスタッツを残した。

 注目すべきは、第5節のオービックとの一戦。強力ディフェンスを相手に最後まで出場を続け、渾身のランで、27キャリー、178ヤード1TDを記録した。

2試合でパス失敗1回、5TD…QBヘンダーソン

早くもパナソニックオフェンスの中核となったQBヘンダーソン=撮影:小座野容斉

 ジェイロン・ヘンダーソンは、今季からパナソニックに加入した。テキサス州出身の25歳で、FBSのテキサス大サンアントニオからジュニアカレッジを経て、同じFBSカテゴリーのボイジー州立大に転校。
 同大では、4年生のシーズン後半から先発QBとなり、4試合の出場だったがパス1080ヤード、12TD、2インターセプトと優れた成績を残した。
 所属するウェスタンアスレチックカンファレンスの優勝戦では、ハワイ大と対戦し、翌年NFLからもドラフトされたハワイ大のQBを向こうに回し、31-10で完勝。この試合でヘンダーソンはパス212ヤード2TD、ランでも51ヤード1TDで、MVPにも選ばれた。
 その後、NFLでのプレーを目指したが実績不足のため、敵わず。インドアフットボールリーグでプレーしていた。今年になって、テキサス大サンアントニオ時代のチームメートだった、LB丸尾玲寿里から勧誘されて、日本でのプレーを決意。夏にパナソニックに合流し練習を重ねた。

 開幕のノジマ相模原戦では2INTを喫するなど不調だったが、徐々にパナソニックのオフェンスにフィット。第3節シルバースター、第4節オール三菱戦の2試合でパス19/20、成功率95%、5TDという活躍を見せた。この2試合のレーティングは満点の158.3だった。

 全勝対決となった第5節のIBM戦でもパス222ヤード3TD、ラン60ヤード1TDの活躍で、快勝の原動力となった。今季5試合の成績は、パス930ヤード9TD2INT、ラン172ヤード2TDだった。

 Xリーグ公式サイトによると、賞の選考で、最優秀新人だけではなくMVPでもヘンダーソンへの投票があったという。

日本人QBの選出は高田鉄男以来
ニクソンに劣らないMVP級の活躍でオールXQBに選出された富士通の高木=撮影:小座野容斉
2021オールX1スーパー
■最優秀オフェンス11人
【OL】
C 山下公平(富士通フロンティアーズ/2回目)
G 大久保壮哉(富士通フロンティアーズ/2回目)
G 臼井直樹(富士通フロンティアーズ/2回目)
T 郭 宇寧(富士通フロンティアーズ/初)
T 高森恵太(パナソニックインパルス/2回目)
【TE・WR】
TE ホールデン・ハフ(オービックシーガルズ/初)
WR アルフォンゾ・オヌワー(パナソニックインパルス/5回目=2021年にWRとリターナーで同時受賞)
WR 松井理己(富士通フロンティアーズ/2回目)
【QB・RB】
QB 高木翼(富士通フロンティアーズ/初)
RB トラショーン・ニクソン(富士通フロンティアーズ/6回目=RBでは3回目)
RB ビクタージャモ―・ミッチェル(パナソニックインパルス3回目/RBでは2回目)

■最優秀ディフェンス11人
【DL】
DL ジョー・マシス(富士通フロンティアーズ/2回目、DLでは初)
DL 佐藤将貴(オービックシーガルズ/2回目)
DL 清家拓也(オービックシーガルズ/2回目)
DL 梶原誠人(パナソニック インパルス/初)
【LB】
LB 趙翔来 (富士通フロンティアーズ/2回目)
LB ジャボリー・ウィリアムズ(パナソニックインパルス/2回目)
LB 小西憂(パナソニックインパルス/初)
【DB】
DB アルリワン・アディヤミ(富士通フロンティアーズ/10回目)
DB ショーン・ドレイパー(オービックシーガルズ/3回目、DBでは2回目)
DB 助川左門(オービックシーガルズ/初)
DB ブランドン・マッキニー(エレコム神戸/初)

■最優秀スペシャルチーム3人
K  佐伯眞太郎 (パナソニックインパルス/6回目=Kでは3回目)
P  近藤諒(IBMビッグブルー/初)
R  ジュレル・プレスリー(IBMビッグブルー/初)

 オールX1スーパーでは、DBアルリワン・アディヤミ(富士通)が10年連続10回目の選出で最多。RBニクソン(LB2回、DL1回、RB3回)、K佐伯眞太郎 (パナソニック、P3回、K3回)が、6回目で続いた。同一ポジションからの連続選出では、アディヤミの後はWRで4年連続のアルフォンゾ・オヌワー(パナソニック)となった。

 QBでは高木翼(富士通)が初選出されたが、日本人QBのオールX選出は、2015年の高田鉄男以来7年ぶりとなった。OL5人の内訳は富士通から4人、パナソニックから1人選出となったが、2018年以降両チーム以外からは1人も選ばれていない。

 また、DBの助川左門(オービック)は開成高校、東京大学出身。東大出身選手の選出は2011年のTE二宮宗(明治安田パイレーツ)以来となった。

 最年長は、アディヤミ(富士通)の32歳。最年少はLB小西優(パナソニック)の23歳。初選出は10人だった。チーム別では富士通が最多の10人選出。パナソニックが7人、オービック5人と、「BIG3」で25人中22人を占めた。外国人選手は8人だった。

 Xリーグでは2000年シーズンから、リーグ戦で活躍した優秀な選手を表彰し、オールXリーグチームを選出している。2022年シーズンの選考対象は、X1スーパー12チームの所属選手で、オフェンス11名、ディフェンス11名、スペシャルチーム3名の計25名が選出された。

<選考方法>
・X1 Super所属の12チームの代表とXリーグを取材するメディアがそれぞれ1票ずつ投票権を持つ。
・チーム代表は自チームの選手には投票できない。
・選考対象はレギュラーシーズンゲームとする。

【小座野容斉】

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