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2022-12-30

21歳の摩訶不思議なアイドルレスラー、真白優希が12月31日に引退。鈴季すずとの引退試合でも全力マシロ「突き抜けます!」

12月31日、後楽園ホールで引退する真白優希

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女子プロレス団体「アイスリボン」が12月31日、東京・後楽園ホールで激動の2022年を締めくくるビッグマッチを開催。同大会でキャリア2年4カ月の摩訶不思議なアイドルレスラー、真白優希(21歳)が現役引退する。
激情も真白の魅力。摩訶不思議なだけじゃない
9月の引退発表会見から2カ月、「あっという間でした」と語る真白。最後は、新人時代の真白にとって最も近い先輩で、現在は最も尊敬するレスラー、プロミネンスの鈴季すず(20歳)との1年はんぶりのシングルマッチで激突。29日のスターダム両国国技館大会でアーティス・オブ・スターダム王者となった狂乱娘が相手であろうと、明るく楽しく摩訶不思議で、一生懸命で気持ちのこもった闘いを見せてきた真白優希のプロレスを「突き抜けます!」と意気込む21歳。いろんな意味でオンリーワンだった2年4カ月のプロレス人生をすべてすずにぶつける構えだ。
2022年9月に12月31日をもって現役引退することを発表
ヘナチョコ過ぎて試合中から号泣していた練習生時代。ナナメ上いく独自の言動で注目を集めるも体力が追いつかず、試合後いつもブッ倒れていた新人時代。段ボールのお手製ベルトをドヤ顔で掲げながら、摩訶不思議な言動で注目を集めた“ガチャ王”時代。親しい関係性にあった先輩レスラーの離脱に心を痛めた2022年年頭。苦しみながらも黄色いベルトを手にしたトライアングルリボン王座とともに強くたくましくなった現在――。

2年4カ月とは思えぬ濃い時間を過ごした真白は、主力の相次ぐ離脱により生まれ変わりを余儀なくされたアイスリボン新体制を独自のアプローチで活性化。アイドル顔負けのビジュアルもあいまって、ヘナチョコなガチャ王は気づけば団体を担う存在へと成長。摩訶不思議なマシロワールドを崩さぬまま、ヘッドロックでギブアップしたりジャイアントスイングで果てしなくヘロヘロになっていた頃は想像もつかないほど強くなった。父親にすすめられて何も知らずに始めたプロレスはいまでは「大好き」になった。

だが、2022年9月、引退を発表。プロレスは好き。だけど、プロレス以上に興味があって、プロレス以上に刺激を与えてくれそうなものが見つかったから、みんなに愛された21歳はリングを降り、第二の人生を歩むことを決めた。
引退試合で闘う鈴季すず(=写真右)と真白
ラストマッチで闘う鈴季すずは2021年末でアイスリボンを退団し、フリーになった。団体内には退団者=すずの古巣参戦に反発する声もあったが、真白は持ち前の芯の強さを貫き、10月の絆トーナメント優勝後に引退試合での対戦を明言。ハタチの狂乱娘も「真白のため」と呼応したことで、2021年6月以来、1年半ぶりとなるシングルが決定。すずのデビュー記念日である12月31日に、真白がリングを降りるのも何かの運命なのだろう。

9月の引退発表以降、「引退の実感がわかないです。まだまだリングに上がってそう(笑)」と語っていた真白は1試合1試合を全力で駆け抜けてきた。だが、引退前最後の試合となる12・28SEAdLINNNG後楽園大会を終え、「実感が沸いてきました。次で最後なんだなって」。

寂しさや未練はない。たくさんの人から引退を惜しむ声を聞いたが、引退の決意が揺らいだことは「一度もないです」。真白優希は12月31日、引退する。だからこそ最後のすず戦で「集大成」を見せる。

目つきやヒザカックンで相手を幻惑し、気持ちのこもったエルボーを連発し、「よっしゃいくぞー! ホワイトー!」と叫びながらみんなをほっこりさせるボディーアタックを決め、もしかしたら隠し持っている「秘策」を繰り出して――真白優希の2年4カ月をすべてすずにぶつけて、一切の心残りなくリングを降りる。

会場にはプロレス入りのキッカケを作ってくれた父を筆頭に家族や友だちも大勢駆けつけてくれる。プロレスラー真白優希にとって正真正銘、最後の試合。ヘナチョコで摩訶不思議だけど、誰よりも気持ちで闘う彼女が燃えないハズはない。

たったの2年4カ月かもしれない。だけど誰よりも濃くて、真白優希にしか歩めないプロレス人生だった。その集大成を見せる2022年12月31日、アイスリボン後楽園ホール大会は午前11時30分、試合開始のゴングが鳴る。
真白優希が生まれ育ったアイスリボン道場でのラストマッチを終え、頭を下げた真白(2022年12月25日)
引退試合を控えた真白との一問一答は以下の通り。

――9月29日の引退発表会見から2カ月、いよいよ明日12月31日のラストマッチを残すのみとなりました。

真白 あっという間でした、うん。だってもう1試合だけですよ。早い。

――最後の道場マッチ(12月25日)の試合後はまだ引退の実感がわかないと言っていました。

真白 なんか実感、わいてきましたね。でも寂しいとかはなくって。全部の試合を全力で真白優希を味わってほしいっていう気持ちでやってきたので。なんか不思議な気持ちなんです。まだまだ続いていきそうな感じもあるし、でもあと1試合でプロレス辞めちゃうのかって思うし。この気持ち、なんて言えばいいのかわかんないです。

――引退発表以降はとくに全力の真白優希を見せつけられた感があります。

真白 はい! 本当に試合終了のゴングが鳴るまで全力で真白優希を見せます。え、ホントに。終わるからどうとかじゃくて、突き抜けます。もう突き抜ける、突き抜ける感じです。

――突き抜けるのはわかりましたが、もう少しわかりやすく伝えていただけると…。

真白 あ、ごめんなさい。えーと、もうあれです。最後の試合だからとか関係なく、私はどんな時もその日その試合しかない、今日で終わるかもしれないっていうのを考えてて。だから全力を出そうって。

――ヘナチョコ時代も摩訶不思議な頃も、だから真白選手の試合は引き付けられるものがあったのかもしれないですね。

真白 えー、そう言ってもらえたらうれしいです。私はお客さんに元気とか勇気とか、どうやったら伝わるのかな、どういう試合にしたらいいのかなって考えてきたので。

――すず選手とのラストマッチもそれを貫くだけだと?

真白 はい!
還暦越えファイター松澤さんにネギを食べさせられた真白
――引退ロードも真白優希を貫いてきたと思いますが、印象に残っている試合はありますか?

真白 でも、やっぱり引退発表してからはとくに1試合1試合、鮮明に覚えてるなっていうのは思います。大阪でやったあのさん(安納サオリ=12・4大阪)とシングルもだし、石川さん(石川奈青=11・27川口)とのシングルも印象に残ってる。あと山下さん(山下りな=12・17横浜)との試合とか。やっぱ印象に残ってるのはシングルが多いかな。

――2020年8月デビューなのでキャリアは2年4カ月。欠場期間もありました。でも、いろんな選手と試合をして、濃いキャリアを過ごしましたよね?

真白 ホントそう思います。2年4カ月か。みんなたった2年4カ月かって思いますよね。でも、私にとっては5年ぐらいやってる感覚です。

――それぐらい濃い時間だったと。

真白 だったと思います。だから全然悔いないですよ。やりたいと思ったことは全部やり尽くしたんで。あとはすずさんとの試合だけですね。

――真白選手にとって最も近い先輩で、最も影響を受けた選手である鈴季すず選手は昨年末をもってアイスリボンを退団。週プロを通して対戦のラブコールを送っていましたが、それがついに実現。ただ、退団の経緯もあって団体内では賛否両論が起きました。

真白 あー、確かにそれはありましたね。でもどんな声があったとしても私はすずさんと最後に試合がしたかったので。お客さんが何を思ったとしても、団体内でどんな意見があったとしても、これは私の自分の人生だから。悔いなく終わりたかったから。別に外野の人間の意見とか関係ないなって思ってました。

――その決断は間違ってなかったと?

真白 全然間違ってないですね。私はあの決断をしてよかったなって思います。

――フリーになってからのすず選手はスターダムやwaveなどさまざまなリングで活躍。男子相手のデスマッチを月イチペースでこなすなどかなりスケールアップしていると思いますが?

真白 スケールアップしすぎですよ。し過ぎです。なんかもうマジで尊敬もあるし、本当にすごいなって。私、映像とかよく見るんですけど。

――すず選手の試合はPPVを買ってでも見てましたもんね。

真白 それ言わないでください(苦笑)。アイスにいた時からベルトを取ったりすごかったけど、それがよりレベルアップしてて。やっぱこの人すごいなって見てます。私もすずさんと同じリングに立つ人間にならなきゃなと思ったから頑張れたのもあったと思います。
真白のターニングポイントになった2022年6月の安納サオリ戦 
――12月だけでもすでに12試合。肉体的・精神的にハードだったと思いますが、すず戦への思いがあったからそれを乗り切れた?

真白 それはあると思います。すずさんはほんとにすごい方なので。

――そんなすず戦はどんな試合になると思いますか?

真白 私のマシロワールドに染めたいですね(ニッコリ)。

――引退試合で相手がすず選手だからと言ってスタイルを変えるつもりはないと?

真白 はい。私の土俵で私なりに翻弄していきたいなって思います。(引退試合だから変えたりは?)ぜんぜん考えてないです(ニッコリ)。急に変えてもすずさんには通用しないと思うし。引退試合だからって凝ったものじゃなくて、もう私の世界観でやりたいなって。

――むしろ、すず選手にマシロワールドに飛び込んでみろと?

真白 はい、踏み込んでみろって思います。

――真白優希2年4カ月の集大成ですね。

真白 や、ホント集大成ですよ。12月31日。すずさんは12月31日にデビューしたんですよね!?

――2018年の大みそかがすず選手のデビュー日ですね。

真白 めっちゃくちゃ最高な日じゃないですか!!! そんな最高な日に私の引退試合ができること嬉しく思います!

――急に熱量が上がりましたね…。でも、そんなすごい鈴季すずに勝つつもりなんですよね?

真白 当たり前じゃないですか! すずさんもすごくなってる思うけど、私もあの頃から変わってると思うので。

――鈴季すずの知らない真白優希がいると?

真白 受けは強くなったと思います。昔はボディースラム一発で泣いてたけど。

――ヘッドロックでギブアップしたり、バックドロップの体勢に入られただけでギブアップしてましたよね。

真白 この前、サムライTVに出させてもらって、昔の映像が流れたんですけど、恥ずかしかった 恥ずかしすぎて見れなかったです(苦笑)。私のデビュー戦から最近の試合までまとめた映像だったんですけど。
H!flyというアイドルユニットを結成。試合以外でも存在感をアピールしていた
――恥ずかしくて見れなかった若手時代から、真白優希にしか見せられなかったプロレス人生だったと思います。

真白 そうなのかな。でも、自分自身はなんか変えられたのかなって思います。いろんな人と試合して強くなったのもありますし、うん、それは思います。

――真白優希のすべてをぶつけられたらすず選手に勝てそうですか?

真白 いや、勝てますよ(即答)

――断言しましたね…! 何か秘策でもあるんですか?

真白 ありますよ!

――この2年4カ月、真白選手を取材してきて、ちょいちょい秘策の存在を明らかにしてくれるんですけど、出たためしないですよね?

真白 ごめんなさい(苦笑)。あ、ありますよ! 松澤さんの時ネギ持ってった!

――ありましたね。では、すず戦も…?

真白 任せてください!

――…ホントかなぁ。ヒントとかありますか?

真白 ヒントですか? ヒントは丸め込みです。

――丸め込みって答えじゃないですか。

真白 あ、やばい! 丸め込みはナシ! じゃあ人は目が弱いんですよ。

――それも答えのような気がしますが…。とにかく秘密兵器があることは信じていいと?

真白 はい、信じていいですよ(ニッコリ)。

――その笑顔に何度ダマされたか…。

真白 でも私、勝ち負けとかじゃなくて、ホントに最後だからすずさんに全力を、私の全力を見てほしいし、全力を味わってほしいないうのが一番なので。私の、真白優希の集大成の試合をしたいなって思います。

――なるほど。そしたら心残りなくリングを降りることができると?

真白 はい、辞められます。辞められると思います。

――引退発表以降、みんなから引き留められたのでは?

真白 なんかめっちゃ言われますね、辞めるのやめたら?って。一番は週プロさんですけど。ずーっと言ってますもんね(笑)。

――それは否定できませんが…。でも決意が揺らいだことはないわけですよね?

真白 一度もないです(キッパリ)。でも…この時間、この空間が終わってほしくないなっていうのは思うかしれないです。私、プロレスは好きなので。

――プロレスが好きっていうのはずっと言ってますよね。じゃあ何は好きじゃないんだと突っ込みたくなりますが…。

真白 (無視して)好きだけど、やっぱり新しい人生に進もうって決めた気持ちは変わらないんですよね。若いうちに一番やりたいって思うことをやりたいんだ、私。自分の人生だから自分で決めて。

1月に初戴冠したトライアングルリボン王者として引退試合を迎える
――引退発表の時は看護関係の仕事に進みたいと言っていましたが?

 真白 う、うん。ね?

 ――ねって(笑)。もうひとつ海外に行ってみたいとも言っていました。

真白 うんうん、海外のほうは考えますよ。私、当たって砕けたいんでしょうね。未知の世界に飛び込んで、それが正解なのかわからないけど、当たって砕けろで経験してみたい。

――気持ちよく当たって砕けるためにも大みそか、全部出し切るしかないですね!

真白 はい! 全部出し切りますよ。全部出し切って真白優希のプロレスラー人生、終わります。

――その瞬間をたくさんの人に見届けてほしですね?

真白 や、それはありますね。中学とか高校の友だちもいっぱい来てくれるんですよ。めっちゃうれしい。家族も来てくれるし。お父さん来るんですよ。

――真白さんのプロレス入りのキッカケを作ってくれた人で、摩訶不思議な真白さんがとても尊敬していて、めちゃくちゃビビッてるとウワサのお父さんが…!

真白 (プロレス引退を)1番悲しんでたお父さんに最後に見てもらって、私、プロレス辞めます。

 ――後悔や未練はないですか?

真白 ないです、やりたいこと全部やれました。すずさんと試合して、真白優希終わります。

――女子プロあるあるじゃないですけど、よく技の継承ってあるじゃないですか。おこがましいというかもしれませんが、真白さんがいつもやる目つきとかヒザカックンを誰かにやってほしい気持ちはないんですか?

真白 ないっす。

――即答!

真白 目つきもヒザカックンも真白優希以外がやるのもなんか違う気がするし、それこそおこがましいかなって。ファンの人とかにもよく言われるんですけど。

――シンプルですが、使い手を選ぶ技ですもんね。

真白 そんな気がします。それに自分なんかが継承なんておこがましいですよ、えへへ。

 ――こうして真白さんの取材ができなくなると思うと寂しいですよ。

 真白 え? 取材はしないとダメですよ。

――え?

真白 一般人、真白優希として話題提供するのでこれからも取材してください!(ニッコリ)

――ま、まぁ引退後のことは引退後に話しましょう。まずは12月31日の鈴季すず戦、楽しみにしています!

真白 はい! 最後まで真白優希を全力で見せます! 皆さんも応援してくれたらうれしいし、見届けてほしいなって思います! 
アイドル顔負けのビジュアルも魅力

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