デスマッチ&ハードコア女子ユニット「プロミネンス」の狂乱娘、鈴季すず(20)が大晦日に引退する「アイスリボン」の真白優希(21)からラストマッチの相手に指名されたことに対して「真白の気持ちに応えたいです」と初めてコメントし、摩訶不思議な後輩からのラブコールを快諾した。
昨年末、すずはアイスリボンを退団、今年からフリーに転向した。所属するプロミネンスはもちろん、スターダムやwaveなどさまざなリングで賛否両論を起こしながら大暴れ。そんな狂乱娘の元に届いたのが、かつての後輩からのメッセージだった。「尊敬するすずさんと引退試合で試合がしたいです」。10月に開催されたタッグトーナメントを制した真白は、すでに発表されていた自身の引退試合の相手として「鈴季すず」の名前をあげた。
前述したとおり、すずは昨年、アイスを退団。そんな経緯もあって真白vsすずの流れに団体内では賛否両論が生じた。プロレス人生の最後にすずと闘いたい真白、真白に応えたいすず。双方の思いは固まっており、アイスリボンの佐藤肇社長も実現に前向きな方向を示したものの、「団体内での意見の調整」が必要とし、いまだ正式発表には至っていない。そんな現状にすずは「引退試合はプロレス人生で最後に、一番輝ける場所。いろんなしがらみを取っ払って叶えてあげてほしい」とメッセージを送る。
真白は‘20年8月にデビューした21歳。たった2年4カ月のキャリアかもしれないが、それでも真白は真白にしか描けない道を突っ走ってきた。そんなプロレスラー真白優希を公私にわたって支えたのがすず。ヘナチョコと言われた若手時代はコーナーからダイブする練習ですら怖くて飛べず。「頑張れ!」「無理です…!」が繰り返され、30分以上コーナーに立ったまま動けなかった。それに嫌な顔ひとつせずに付き合ってくれたのがすずと引退した春輝つくし。プライベートでも練習生時代の真白を連れてゴハンを食べに行って以来、交流を持ってきた。
年下の先輩であるすず。1歳上の後輩、真白。少しいびつな関係にあった2人だが、すずは友だちのように真白と親しみ、真白はすずをプロレスラーとして、ひととしてリスペクト。その関係はすずがアイスを退団し、交わらない期間があったとしても変わらなかった。むしろスターダムなどさまざまなリングで光り輝く先輩への敬意は強くなった。
同時に、すずのいなくなったアイスリボンで自身初めてのベルトを巻き、山下りな、真琴らトップ選手からも勝利。ヘナチョコで摩訶不思議というオンリーワンな道を歩みながら、同時に強くたくましくもなった現在の自分をぶつけたい、真白はそんな思いを抱きもした。
だからこそプロレス人生最後の相手にすずを望んだ。そんな後輩の願いだから、「辞めてお世話になるのはカッコ悪いから、アイスにはもう出ないと思う」と語っていた狂乱娘も古巣参戦を決意し、「真白と最後にプロレスで語り合いたい」と呼応する。
2人のシングルが実現すれば‘21年6月以来、1年半ぶり。すずが17歳の時、はじめてICE×∞を巻いた横浜文化体育館でデビューした真白。そんな彼女が引退を決めた12月31日は、すずのデビュー記念日でもある。
「腹をくくって(引退試合の相手に指名した)マイクをしてくれた真白の気持ちに応えたい」「いまから楽しみです、再会がとっても」
果たして真白とすずの再開は実現するのか。アイスリボンの答えが待たれる。
そんなすずの一問一答は以下の通り。
――大晦日に引退する真白選手から引退試合の相手として名前が挙がりました。
すず「素直にうれしかったです。週プロさんの記事とかで真白がちょいちょい自分の名前を出してくれてたのは知ってたし、気にかけていた後輩だからこちらもずっと気にしていたし。その真白から最後に闘いたいと言われたわけだから」
――ただ、すず選手が昨年末でアイスリボンを退団した経緯もあって、団体内で賛否両論ある状態です。
すず「いろんな声が上がるのは当たり前のことだと思う。辞めて1年も経たない状態で自分がリングに上がることが気にくわないって人の気持ちもわかる。ただアイスリボンさんとは円満にお別れしているし、なにより、引退を決めた真白が自分を選んでくれたわけだから、いろんなしがらみを取っ払って叶えてあげてほしい。これは自分の考え方ですけど、引退試合ってプロレス人生で最後に、一番輝ける場所だと思うんです。いろんな人の引退を見てきたけど、みんなキラキラ輝いて、悔いのない顔をしてリングを降りていった。真白のことを一番に考えてあげてほしいし、周りがとやかく言うことではないですね」
――すず選手としても退団から1年も経ってない状態での古巣参戦に思うところはあると思うが?
すず「最後に(アイスリボンに)出た1月の大会で辞めたのにまた出るようなことになったらカッコ悪いからお世話になるつもりはないと言って、その気持ちはいまも変わってない。だけど今回アイスリボンさんに上がるのは真白のため。それ以外の何物でもなくて。SNSで自分に対して噛みついてきてるツイートとかも見ましたけど、それにレスポンスするつもりもないですし」
――外野の声は関係ないと?
すず「はい。私は真白と心で会話がしたいから。最後にプロレスで語り合いたいから。申し訳ないけど、まわりのことは気にしない。気にする暇もない」
――真白選手も「(周囲の声は)眼中ないです」「(すず戦が実現しないなら引退試合は)なくてもいいかなって」と語っていました。
すず「言うな、アイツ(笑)」
――闘いを望む真白選手、受けて立つすず選手、気持ちはひとつだと?
すず「そうだと思います、ホントに。ひとつ言うのであれば、所属選手がTwitterで自分に物申すつぶやきがあるのを見ました。言いたいことを言うのは自由だし、ファンの人は同調してくれるでしょう。だけど、自分に見えないところでツイートされちゃうと、ただの悪口で終わっちゃう。プロレスラーっていう表に出る仕事をしている以上、言ったことに責任を持つべきだと思うし、発信するなら広まるように、面白くなるようにすればいいのに。あれなら書かない方がいいよ」
――すず選手が退団したあとの2022年の真白優希の活躍はご存知ですか?
すず「見てますよ、もちろん。トライアングルリボンを取って、防衛もいっぱいしてるし、ICE×∞王座決定トーナメントも決勝まで上がってた。(タッグの)絆トーナメントは優勝してましたよね」
――よく知ってますね(笑)。
すず「当たり前じゃないですか(笑)。なにより思ったのは気持ちが強くなった。自分がアイスさんにいた頃は、先輩たちみんなにかわいがられる、ヘナチョコで摩訶不思議な赤ちゃんみたいなイメージだった。だけどいまは後輩を引っ張る側になってるなっていうのは目に見えてわかったし、強くなりましたよね、シンプルに」
――ヘナチョコで摩訶不思議な真白優希というキャラクターのまま、強くたくましくなった稀有な存在だと思います。
すず「うん。不器用は不器用だけど、気持ちが強くなった。それってプロレスラーにとって一番大事な部分じゃないですか。どこかの大会(10・10横浜ラジアントホール)でハムさんのラリアットを食らって鼻血出した試合があったじゃないですか。あれだって昔の真白だったら鼻血出た時点で失神してましたよ(笑)。でも、最後まで闘い抜いたって聞いて、成長したな、プロレスラーになったなって」
――実現すれば、鈴季すずの知らない真白優希と闘うことになると思いますが?
すず「メッチャ楽しみですね。コッチも真白が知らない鈴季すずになってるしね。真白が成長したの同じように自分も成長してるから。腹をくくって(引退試合の相手にすずを指名した)あのマイクをしてくれてた真白の気持ちに応えますよ」
――まだ決まってはいませんが、心置きなく真白選手を引退させたい?
すず「ホントにそう思います。心置きなく引退させたいし、心置きなく引退させてあげてほしい。引退って一回しかないし、真白は腹くくってると思うから。いまから楽しみです、再会が、とっても」