close

2023-01-10

【アメフト】ジョージア大が全米2連覇、記録的な大勝利でTCUを粉砕 MVPは「雑草」QBベネット

【ジョージア大 vs TCU】ジョージア大が記録的な圧勝で全米2連覇、優勝トロフィーにキスするQBベネット=photo by Getty Images

全ての画像を見る

 アメリカンフットボールの華、カレッジ全米王者を決めるCFP(College Football Playoff )決勝が、現地1月9日(日本時間10日)、カリフォルニア州イングルウッドのSoFiスタジアムに7万2千人の観衆を集めて行われ、ジョージア大学ブルドッグス(全米ランク1位)が、テキサスクリスチャン大学ホーンドフロッグス(TCU、同1位)を圧倒して、65-7で完勝。2連覇を達成した。
 試合のMVP(最優秀選手)には、パスで4TD、ランで2TDのジョージア大のQBステットソン・ベネットが選ばれた。
 米CBSスポーツによると、58点差はカレッジフットボールの最上位ディビジョンFBSのボウルゲームでは史上最多という。
 カレッジフットボールの全米王座決定戦を2連覇したのは、現行のCFP制度が始まってからはジョージア大が初めて。前身のBCSチャンピオンシップを含めても、2011・12年シーズンのアラバマ大学以来となった。今季に記録した15勝は、ジョージア大のチーム史上初めてだった。
【ジョージア大 vs TCU】ジョージア大が記録的な圧勝で全米2連覇、チャンピオンベルトを肩に葉巻をふかすQBベネット。右はスマートHC =photo by Getty Images

全米王者決定戦CFP決勝[2023年1月9日カリフォルニア州 SoFiスタジアム]
全米1位 ジョージア大学ブルドッグス(SEC、15戦全勝)
           ○65vs7●
全米3位 テキサスクリスチャン大学ホーンドフロッグス(Big12、13勝2敗)


 「圧勝」とはこういう試合を表現する言葉と、辞書に載せてもいいくらいに、ジョージア大は強かった。
 TCUの最初のオフェンスシリーズを3&アウトでパントに追い込むと、自軍のオフェンスでは、1度も3rdダウンにならずに、ファーストダウンを重ねた。仕上げはQBベネットの21ヤードTD(タッチダウン)ラン。何の変哲もない、リードオプションからのQBキープで、TDを「無造作に奪った」という表現がぴったりくるプレーだった。この段階で圧勝の予感はあった。
  TCUはこの後、ターンオーバーを喫しながら、ジョージア大のオフェンスをFG(フィールドゴール)の3点に留め、さらにQBマックス・ダガンのロングパスで攻め込んでTDを返し7-10とした。1Q残り4分余り。しかしTCUの抵抗はこれで終わった。
 ここからジョージア大は、面白いようにTDを重ねた。前半のオフェンス全ポゼッションで、得点した。うち5回をTDに繋げた。前半終了時に38-7。すでに勝敗は明らかだった。
 ジョージア大は後半に入っても攻撃の手を緩めず。勝利のニールダウンを除けばオフェンスの11回のドライブで10回得点した。
【ジョージア大 vs TCU】ジョージア大が記録的な圧勝で全米2連覇、チャンピオンベルトを肩に葉巻をふかすQBベネット=photo by Getty Images
スタッツが物語る圧勝劇

 スタッツがすべてを物語った。
 ファーストダウン更新が32:9、3rdダウンコンバージョンが9/13:2/11、総獲得ヤードが589:188、タイムオブポゼッションが36分59秒:23分51秒と、なにからなにまでジョージア大が上回った。
 ジョージア大ディフェンスは、3ターンオーバー、5サック、9ロスタックルで、TCUのオフェンスを、ほぼ完全に封じ込めた。
 全米王者決定戦を制しての2年連続王者は10年前のアラバマ大以来。そのチームでディフェンスコーディネーターだったのが、現HC(ヘッドコーチ)のカービー・スマートだ。師だったアラバマ大のニック・セイバンHCの元を離れてジョージア大の指揮官となって7年目。いまや、名実ともに師と肩を並べる名将となった。
【ジョージア大 vs TCU】ジョージア大が記録的な圧勝で全米2連覇、歓喜のスマートHC=photo by Getty Images

無名の雑草が咲かせた大輪の花

  MVPは、パス304ヤード4TD、ラン39ヤード2TDのQBベネット。文句なしの授賞だった。表彰式で、葉巻を吹かす姿も堂に入っていた。

 カレッジフットボールでは、学業上の学年とフットボール上の学年の区別があり、1997年10月生まれで、25歳のベネットは、フットボール上は「大学6年生」。今季がNCAAの規定で最後となる。

 180センチ、86キロで、米国人のQBとしては小柄で痩せている。身体能力に恵まれず、走る速度やアジリティは並みだ。肩も決して強くない。出身校も無名で、ジョージア大ブルドックスにはウォークオン(一般入部)で加わった。プレー機会は当然なく、いったんはジュニアカレッジに転校した。

 2021年シーズン、5年生で、ようやく先発の座をつかむと、周囲のキャストを活かしたクオータバッキングで、チームを41年ぶりの全米王者に導いた。そして今季は、余計なことはしない、できることを確実にする、というスタイルから脱皮を遂げ、必要な時にはロングパスや自らのランで局面を打開するプレーメーカーに成長した。オハイオ州立大との準決勝では、第4Qに14点差を逆転した。

 今季15試合で残した成績は、パス310/454、4127ヤード、成功率68.3%、27TD・7INT。ランでは57回205ヤード、10TDと堂々たるものだ。6年前の大学入学時は176.5センチ84キロ。多くの大学コーチが「背が低すぎて、痩せている」と見向きもしない「名も知れない雑草」だったベネットは、大学生活のラスト2年で見事に「大輪の花」を咲かせた。 
【ジョージア大 vs TCU】ジョージア大が記録的な圧勝で全米2連覇、パスとランで6TDのQBベネットはMVPに輝いた=photo by Getty Images

【小座野容斉】

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事