close

2023-01-16

【相撲編集部が選ぶ初場所9日目の一番】豊昇龍が3敗目を喫した上に負傷か? 1敗守った貴景勝、Vへ視界広がる

若元春の掬い投げに敗れ、豊昇龍は3敗目。この瞬間に、左足首が無理な角度になってしまったようだ

全ての画像を見る
若元春(掬い投げ)豊昇龍
 
優勝争いでトップを走る貴景勝を星1つの差で追っていた関脇豊昇龍が痛すぎる3敗目を喫した。
 
この日は新小結の若元春との対戦。過去の対戦成績は2対0と負けたことがなかったが、内容的には楽に勝たせてもらってはおらず、決して簡単な相手ではなかった。
 
2人は豊昇龍が右、若元春が左のケンカ四つ。差し手争いを有利に進める上では、豊昇龍は立ち合いどれだけ相手を崩せるかがポイントで、そういう意味では、昨日は立ち合い変化で勝つなど、5日目以降は7日目の阿炎戦しかいい立ち合いが見られていない豊昇龍の立ち合いが注目された。立ち合いで先手が取れない場合は、豊昇龍としては素早い動きで勝機を見出せるか、という戦いになる。
 
その立ち合い。待ったがあって仕切り直しの後、豊昇龍は両手で突いて出た。当たりは悪くなかったが、若元春も互角の立ち合いで崩れず。逆に若元春が右ノド輪で攻め込み、「しっかり手を伸ばして相手を起こせたので左が差さって」と、おっつけからの左差しに成功した。
 
不利な差し手を許した豊昇龍は強引な右小手投げで逆転を狙うが、若元春に左差し手を突きつけたあと抜いてしまうような掬い投げを打ち返され、右ヒジから土俵に落ちた。
 
豊昇龍はこれで3敗目。さらに悪いことには、投げを打ちにいったときに左足首をひねってしまったようで、足を引きずりながら引き揚げた。明日からの相撲にどう影響が出るか、心配だ。
 
父・政志さんが土俵下から見上げる視線の先で見事な勝利を挙げた若元春は、これで白星先行。この日で三役陣との対戦を終え、あとは平幕の好調力士との対戦が予想されるが、三役維持へ可能性が広がってきた。
 
優勝争いは、2人いた1敗のうち、貴景勝は佐田の海を圧倒したが、琴勝峰は差しにいって先手を取りつつも平戸海のとっさの動きに崩され2敗目。6人いた2敗力士は、阿武咲が北勝富士を押し出したほかはすべて敗れ、2敗は阿武咲と琴勝峰の2人だけとなった。
 
1差で追う中に役力士がいなくなったという点でも、かつ、負傷の程度によっては、貴景勝の今後の対戦相手の手強さという意味でも、豊昇龍のこの日の敗戦が優勝争いに与える影響は甚大だ。結果的に、貴景勝の優勝への視界は大きく広がることになったといえるだろう。

文=藤本泰祐

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事