毎年恒例のスポーツカード大賞、2022年のスポーツカードを各部門ごとに総まとめ! ディーラーズ座談会で決定します。連載第6回は、ベストインサートカード部門をお届けします。参加ディーラー佐伯 篤(SAトレーディング)写真・左高橋高弥(ミント新宿店)写真・中安野弘道(ミント池袋店)写真・右
佐伯 続いて【ベストインサートカード部門】です。最近なかなかインサートカードが評価されなくて寂しいですが、趣向を凝らしたいいカードもありますよね。
安野 お店の現場にいて、お客さんとの温度差を感じたんですが、私はBBMのチーム別に限定で入っていた「Antique」が個人的にすごく好きなカードの1枚でした。今までありそうでなかった、落ち着いた雰囲気がすごくいいなと思って。私としては趣を感じたカードだったんですけど、お客さんからは「いまひとつ」というような声もよく聞かれたので、ちょっとその辺の感覚にズレが多少あったのかなと。ただ、あれは新しい試みとして、非常にいいカードだと評価しています。今後もあれに近いようなカードをどんどん出してほしいなと思いますね。
Antique高橋「Antique」に関しては、もうちょっと木目調の質感がしっかり出てくれればと思いました。ちょっとサラッとしすぎていたというか。
佐伯 最近は和風のインサートも増えてきましたけど、あまり流行りませんよね。昔の「大相撲カード」にあった和紙に始まり、これまでに何回もチャレンジしてきているけど、もうひとつブレークしないというか。日本のカードファンはキラキラ系の加工が好きなのか、何か傾向があるんでしょうね。ただ、外国人コレクターになると、こういうしっとり系のインサートは大好きなんですよね。
安野 他では、同じく2022年のBBMのチーム別には「TREASURE」がありましたけど、これは従来の「PHANTOM」に代わる新インサートで、この「TREASURE」に関しても、 やっぱり現場でお客さんとの温度差を感じました。私はすごく好きなデザインだったんですよ。ただ「PHANTOM」に比べると写真が若干こじんまりしているという意見も多かったです。私はあえて、そのこじんまり感が結構好きだったんですけど、「TREASURE」が出ると残念がっているお客様も結構いらっしゃって。
TREASURE佐伯 額縁ふうで、枠がちょっと大きめなデザインでしたからね。
安野 もうちょっと方向性を煮詰めて、デザインをさらに進歩させたら、コレクターの方からももっと注目される1枚になるんじゃないかなと思います。
佐伯 「TREASURE」もきれいなインサートではありましたけどね。他には何かありますか。
高橋 そろそろ、私からいいでしょうか。
佐伯 得意な部門でしょうから、どうぞ。
高橋 私がまず選ばせていただいたのは、「サッカー日本代表スペシャルエディション」の「GEM」ですね。ドイツ戦で見事な逆転ゴールを決めてくれた浅野拓磨選手は“ジャガーポーズ”の写真が使われていたんです。それがとても浅野選手らしい1枚で、印象的だったと思います。
EPOCH 2022 サッカー日本代表スペシャルエディション/GEM 浅野拓磨佐伯 なんか踊っているみたいなポーズの写真が使われていましたよね(笑)。
高橋 この部門では毎年「GEM」を選んでしまって申し訳ないんですけど、今回のラインナップの中で1枚を選ぶとすれば、浅野選手かなということで挙げさせていただきました。他では、「PERFECT GAME」に入っていた「Pitcher Perfect」。
佐伯 これはよかったですよねぇ。
高橋 99年の「ダイヤモンドヒーローズ」で制作された限定インサートの復刻版で、過去にも「BBMクラシック」などで復活していたんですけど、それらと違う点が唯一あったんです。
佐伯 ほう、何でしょう?
高橋 デザインで完全試合達成日が入っていて、そういうところが本当に細かいなと感心しました。「Pitcher Perfect」というタイトルも、まさにこの時を待っていたんじゃないかなという気がしました(笑)。
佐伯 いや、これは本当にそう思います。このアイテムならではのインサートでしたよね。
高橋 もともとが伝説級のインサートだと思いますし、それを佐々木選手の完全試合にちなんで復刻して、しかも日付を入れてきた細かさ。本当に素晴らしいと思いました。
佐伯 今回は佐々木選手も含めて、過去の達成者で7人がカード化されましたが、これがほどよいレアリティの枚数で、それほどたくさん出てこないというものよかったと思います。
高橋 佐々木選手じゃなくても、例えば巨人の藤本英雄さんの「Pitcher Perfect」とか、私も欲しいと思ってしまうくらいでした。
2022 BBM ベースボールカードセット佐々木朗希~PERFECT GAME~/Pitcher Perfect(P1)藤本英雄佐伯 他にも金田正一さんなど、そうそうたるレジェンドたちでしたからね。
高橋 あと、これはインサートで入れていいものか迷ったんですけれども、2022年は「カルビープロ野球チップスカード」が50周年で、その特別企画で第1弾の中に長嶋茂雄さんと王貞治さんの復刻カードが入っていたんです。長嶋さんはもちろん、あの「73カルビー」のカード番号1が復刻されたんですけど、その復刻カードに押されていた箔サインが現在のものだったんです。73年当時のサインではなく、今の長嶋さんのサインを使っているということに、すごく歴史の重みを感じましたし、カルビーさんの思いが伝わってきて、これはぜひ紹介しておきたいと思いました。
2022 カルビー プロ野球カード 第1弾/1973年復刻カード(箔サイン版)長嶋茂雄佐伯 ちなみに、私はカルビーの50周年企画は別で企画部門用に温めています。カルビーも頑張って作り続けてくれていますし、カルビー50周年はどこかで取り上げておきたいですよね。
高橋 おそらくなんですけど、長嶋さんの現役時代のプリントサインカードはこれまでカルビーにはないですよね。
佐伯 それは基本ないでしょうね。
高橋 監督時代のカードにプリントサイン版はあったんですけど、そういう意味でも、今回のこれは記念の1枚になるんじゃないかなと思いました。
佐伯 実はこの復刻カードは大人気で、結構お客さんから探してくれと言われて、私もいっぱい入手しましたよ。
高橋 高い時だと、1万円を超えていましたよね。
佐伯 基本的に長嶋さん、王さんだと、今でも1枚5000円くらいはすると思います。
高橋 私は以上です。
佐伯 私も大体同じような感じなんですけど、サッカー日本代表の「GEM」がよかったと思います。しかも枚数の少ない黒版。私はここで三笘選手を持ってこようかと思っていたんですけど、すでに他の部門でも選ばれているので、誰でもいいと思います。あと、これは特定のカードというわけではなく、BBMのチーム別とかには、相変わらずナイスネーミングなインサートがたくさんありましたよね。本当に、あれは誰が考えているんでしょうか(笑)。
安野 制作担当の方が頭をひねっているんでしょうけど(笑)。
佐伯 相変わらずいい仕事をしていますよね。BBMのインサートはデザインとか写真ではなくて、ネーミングにも注目です。何年か前にも話をしたことがありましたが、ダブりもせずに、毎回いいタイトルを考え出してくるなと感心しています。ただ今回に関しては、サッカー日本代表の「GEM」か、佐々木セットの「Pitcher Perfect」だと思います。
安野 この部門も日本代表だと、代表づくしになっちゃいませんか?
佐伯 それはしょうがないですよ。何年か前は大谷翔平づくしでしたから(笑)。
安野 それでしたら、やっぱりジャガー浅野選手の「GEM」ですかね。
高橋 ドイツ戦で、あの鉄壁のGKノイヤーの上を抜いたシュートは忘れられないですからね。
佐伯 それでは異議なしということで、浅野選手の「GEM」に決定しましょう。
☆EPOCH 2022 サッカー日本代表スペシャルエディション/GEM 浅野拓磨☆
「ドイツ戦で見事な逆転ゴールを決めた浅野選手はジャガーポーズの写真が印象的」(高橋)
【その他の候補】☆2022 BBM ベースボールカードセット佐々木朗希~PERFECT GAME~/Pitcher Perfect(P1)藤本英雄☆☆2022 カルビー プロ野球カード 第1弾/1973年復刻カード(箔サイン版)長嶋茂雄☆▶︎▶︎▶︎次回は、
ベストルーキーカード部門です!