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2023-01-21

【アメフト】MVPニクソン「私が日本を代表、大きな意味がある」 動ける巨漢・町野「上手くTをプレーできている」 日本を背負って戦う選手たちに聞く(4)

198センチ140キロの巨漢OL町野(左)と、186センチ106キロのRBニクソン。アイビー選抜にパワーで真っ向勝負する=撮影:小座野容斉

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 1月22日に、東京・国立競技場で行われる、アメリカンフットボールの国際試合「ジャパン U.S. ドリームボウル 2023」で、米国のアイビー・リーグ選抜と戦う日本選抜「ジャパン・オールスター」。選ばれて、日本を背負う選手に思いを聞いた。

 今回のJAPANは日本代表ではなく、日本選抜。これまでと異なり、初の試みとして国籍を問わずに編成。ラグビーの日本代表のように、日本でプレーしている外国人選手も招集した。その中で、オフェンスの中心となるのがRBトラショーン・ニクソン(富士通)だ。186センチ106キロ。2022年のXリーグMVP、ライスボウルMVP。米カレッジフットボールではアイビー・リーグより上位のFBSニューメキシコ州立大学でプレーしていたが、LBだった。RBとしてのニクソンは日本で育ったプレーヤーと言ってよい。

 もう1人、アイビー・リーグにパワーで立ち向かえる日本選手がいる。OL町野友哉(富士通)。198センチ140キロは、今回対戦する両チームの中で最もサイズがある選手。だが単なる巨漢ではない。運動能力は高く、直近2シーズンは、カナダのプロフットボールCFL、ウィニペグ・ブルーボマーズで過ごした。2021年はプラクティスロースターだったが、2022年はシーズン途中からロースター登録され、3試合に出場した。いわば海外で育った面がある。

 いろいろな意味で今までJAPANでは考えられなかった2人のプレーヤーに話を聞いた。


ニクソン「日本がどれだけアメフトをプレーできるのか見せたい」

 ニクソンは、昨年末、Xリーグのインタビューで、アメリカではなくJAPANの選手としてプレーすることについて
「グッドなことだと感じています。日本に来て8年ほどになります。そして良き友人がいっぱいいます。家族のように仲の良い人たちもいます。アメリカの人々に、日本がどれだけアメフトをプレーできるのかを見せられることにとても興奮しています」と答えていた。

今回の出場は日本のコーチが求めたものでだが、それがなくても日本チームでプレーしたかったかという問いには、

「日本チームでプレーをしたくなかったとは言いませんが、それを特に望んでいたわけでもありません。でも、今年、私にとっては、とても良いシーズンで、ヘルシーに過ごせました。だからプレーをしたいと思いました。もし、少し負傷をしていたとかあったら、プレーしたいとは思わなかったかもしれません」
と答えていた。

付言すると、今季、9月10日の開幕戦、試合終了後インタビューの中で、アメリカンフットボール・マガジンが
『先の話で恐縮だが、来年1月のアイビーリーグとの試合で、JAPANでプレーしたいと思いませんか?』と質問したところ

「そういう試合のことは知らなかった。それは念頭になかった」とニクソンは答え、離れて聞いていた富士通・山本洋HC(ヘッドコーチ)が、笑いながら「嘘つき!」と声をかける一幕もあった。

 山本HCが、今回のJAPANのHCになることは、すでに決定済みで、報道もされており、ニクソンは当時から、負傷などがない限り、この試合が視野の中にあったのは間違いない。

改めてニクソンに話を聞いた。
――正式にJAPANの一員になってどう思いますか
◇ニクソン
(日本語で)「ヨイキモチガアル」。素晴らしいチームでとても良い感じだ。我々にはたくさんのタレントがいる。WR、TE、RB、OL、みなグッドで、素晴らしい選手が集まっている。勝つためのチャンスがある。

――ニクソン選手にとってJAPANの選手として米国のチームと戦う意味は
◇ニクソン
私が、Xリーグを、日本という国を、代表して戦うということだ。国を代表して戦うことができるというのは、どんな時でも、とても大きな意味がある。私個人として、とても大きな意味だ。

――どんなプレーを日本のファンに見せたいか。
◇ニクソン
ハードなプレーだ。ハードなヒット。タフなラン。そして多くのタッチダウン。日本のファンに良いプレーを見せることを約束する。

198センチ140キロの町野「自分としてはTの方が好き」

 町野はT(タックル)をプレーする。相手のエッジラッシャー(オフェンスのパスの時にラッシュして、QBサックを狙うDEやOLBの総称)からQBを守るのがメーンの役割。さらにアウトサイドゾーンのランプレーなどではブロックの橋頭堡にもなる。OLの中では最も重要度が高いとされるポジションだ。OL町野との一問一答は次の通り。

――CFLでのポジションは、同じOLでもG(ガード)でしたが、日本ではTですね※
◇町野
今はTをプレーしています。

――違いに戸惑ったりすることはないですか
◇町野
元々、僕は日本ではずっとTをプレーしていました。Gは、カナダで初めてやったポジション。自分としてはTの方が好きなので、そこは、今の方がいいですね。

――練習ではGに入る場面もありましたが
◇町野
あれはDLのゴール前ディフェンス練習で、アメリカ人の巨漢Gを想定したいので、入ってくれと頼まれました。なので、オフェンスとしては僕がGをプレーすることはありません。

――CFLゆえの違いもありましたか
◇町野
 アメフトとカナディアンフットボールの違いの一つで、DLとの距離が違います。CFLは、DLがLOS(ライン・オブ・スクリーメージ)から1ヤード下がったところにセットして、そこからスタートするので、その距離感が違っています。

――今はアメフトで大丈夫ですか
◇町野
 去年11月にCFLが終わって日本に帰ってきて、富士通に合流したばかりの時は、結構戸惑いがあったのですが。今は徐々に戻ってきています。上手くTをプレーできるようになっているのかなと。

――海外のプロでOLとしてプレーした選手として、また、今までの日本人にはいなかったサイズの選手として。今回のJAPANはどうですか
◇町野
練習で対戦した山田君(DL山田琳太郎、早大4年、196センチ123キロ)、トゥロター ショーン君(DEトゥロター ショーン礼、関学大3年188センチ97キロ)は良いですね。今、Xリーグでプレーしてもトップレベルの実力があるのではないでしょうか。

――山田は、山本HCが名前を出して褒めていました。
◇町野
山田君は本当に良いと思います。

※OLの並びは T・G・C・G・Tとなる。ガードはC(センター)を挟んで両隣、Tは左右の一番外側

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■名   称: JAPAN U.S. DREAM BOWL 2023 (日本語表記:国際親善試合ドリームボウル2023)
■対戦カード:Japan All-Star Team(全日本選抜 60 名(選抜54 名+学生6 名)) vs.  Ivy League All-Star Team (アイビーリーグ選抜 51 名)
■試合形式: 1 Q 15 分の4 クオーター制/ NCAA ルール
■日 時: 2023 年 1 月22 日( 日) 13 時開始 (米国東部時間 1 月21 日 23 時)
チケットなどの詳細は、
Xリーグ公式サイト(https://xleague.jp/feature/dreambowl2023)まで 

【小座野容斉】

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