谷川航選手、谷川翔選手の兄弟は物心がついた頃には、体操競技の選手として世界で戦うことを意識していたという。昨年は兄弟揃って出場した「世界体操競技選手権2022」にて団体銀メダルに貢献し、2024年のパリオリンピックへの出場権を獲得した。兄弟でのオリンピック出場、そして金メダル獲得へ。大きな夢に向かう二人の思いを語ってくれた。
寡黙な兄・航選手と快活な弟・翔選手。二人はお互いの性格を「真逆」と表現する。普段の性格は違っても、体操に打ち込む本気の姿勢はまったく同じ。小学生時代から世界で戦うことを目標に、連日夜遅くまで練習に励んできた。
二人で切磋琢磨しながら腕を磨いていくなかで、先に脚光を浴びたのは翔選手。2018年4月に開催された全日本選手権の個人総合で、絶対王者として君臨していた内村航平選手を破り、史上最年少優勝を果たした。
「調子も良くていい演技ができた手応えはありましたが、優勝にはビックリしたというのが本音です。内村さんに勝ったことでメディアにもたくさん取り上げてもらって、すごいことをしたんだなと実感しました」(翔)
「自分も負けたくない気持ちはありますが、翔が頑張って結果を出したことは素直に嬉しかったです。今度は自分が!というモチベーションになりました」(航)
弟の活躍に刺激を受けた航選手が奮起し、翌2019年には共に代表入りを果たす。兄弟で臨んだ初の世界選手権では、若い世代の力で団体銅メダルを獲得して、世界で戦う手応えを掴んだ。この勢いで東京2020オリンピックでは、二人が躍動する姿が期待されたが……。航選手は代表入りしたものの、翔選手はケガの影響もあって落選。子どもの頃から夢見てきたオリンピックの舞台で、二人は異なる景色を見ることになった。
「無観客だったこともありますが、世界選手権とは違う雰囲気を感じました。その中でも自分のやることは変わらないので、集中して落ち着いて演技ができました」(航)
わずか0.103点届かず銀メダルに終わったが、航選手は得意の跳馬で15点台を出すなど安定した演技で世界一まであと一歩と迫った。一方、翔選手はそんな兄の姿をテレビで観戦することで、代表落ちの悔しさや失意を吹っ切り、次の目標に向かっていくためのエネルギーを得た。
「リオデジャネイロ大会までは内村さんや一世代上の方たちが出ていて、オリンピックは遠いものだと思っていましたが、東京大会では同世代の選手たちやお兄ちゃんが出ていたことで、今までのオリンピックとは違いました。オリンピックは見るものではなく、自分が出るものだという感覚に近づいた印象があります」(翔)
2022年の世界選手権には兄弟揃って出場して団体で銀メダルを獲得(写真中央が航選手、右が翔選手(写真:Getty Images) 共に出場した世界選手権で2019年は銅メダル、2022年は銀メダルときたら、三度目の正直は金メダルしかない。二人は2023年の世界選手権、そして2024年パリオリンピックでの金メダルを現実的な目標に定めている。
「パリオリンピックは翔と一緒に出たい思いがあります。今年の世界選手権で勝って自信を持ってパリに行って、自分たちの演技をして金メダルを獲りたいです」(航)
「代表に入ることを目標にするのではなく、代表に入って金メダルを獲ることを明確な目標として、どれだけ獲りたい思いをかけられるかの勝負だと思います。東京大会の悔しさを全部ぶつけます」(翔)
二人で一緒に金メダル獲得へ。谷川兄弟はお互いを高め合いながら、夢の舞台へと向かっていく。
こちらのインタビューのほか、幼少期から共に歩んできた2人の関係性や、共に日本代表として銀メダルを獲得した2022年の世界選手権の振り返りなど、カラー2ページにわたるインタビューは、3月1日に(公財)東京都スポーツ文化事業団が発行した『スマイルスポーツマガジンVol.93』に掲載されています。

たにがわ・わたる(写真左)
1996年7月23日生、千葉県出身。東京2020オリンピック競技大会では団体銀メダル獲得に貢献した。2022年の世界選手権では団体で銀メダル、個人総合でも銅メダルを獲得した。得意種目は跳馬。
たにがわ・かける(写真右)
1999年2月15日生、千葉県出身。2018年、全日本選手権の個人総合では、内村航平を破り、史上最年少優勝を果たす。翌2019年も優勝して連覇を達成した。得意種目はあん馬。
スマイルスポーツマガジンのインタビュー特別編!谷川航選手・翔選手の相性の良さが伝わる、息の合った○×インタビュー動画と読者の皆様へのメッセージはこちら
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