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2023-03-21

【会見全文】アイスリボン石川奈青が3月で退団。朝陽がアクトレスにレンタル移籍に【週刊プロレス】

3月いっぱいでアイスリボンを退団する石川(写真右)とアクトレスとのダブル所属になる朝陽

3月16日午後4時より埼玉・蕨市のアイスリボン道場で会見がおこなわれ、2020年5月デビューの石川奈青が3月いっぱいで退団することが発表された。石川は3月25日(土)アイスリボン道場が所属最後の試合になる。

 また同団体所属の朝陽が4月よりアクトレスガールズにレンタル移籍することがあわせてアナウンスされた。仮移籍後はアイスを含むアクトレス以外のリングには基本的に参戦しない。
石川は2020年5月、コロナ禍の無観客試合でデビューした
 明るく楽しいプロレスでアイスリボンを盛り上げ、プロレスでハッピー!を体現していた石川。いまも「私はプロレスが大好きです」と語り、「プロレスと出会わせてくれたアイスリボン、私をプロレスラーとして育ててくれたアイスリボンには本当に感謝しています」という思いはいまもある。

だが、そんな彼女に退団を決意させたのは団体首脳への不信感だった。会見のなかで「佐藤肇社長のためにプロレスを嫌いになりたくないというのが一番の理由です」と語った石川は「(佐藤社長への)不信感、嫌悪感が大きくなり、このままではプロレス自体をハッピーに続けることが出来ないと思い、退団を決意しました」と訴えた。

不信感や嫌悪が個人的な感情であることは石川もわかっている。団体トップとして難しい判断を迫られていたのも事実だ。それでも、コロナ禍での対応、‘21年末に起きた選手大量離脱など大小さまざまな出来事で積み重なった不信感は、石川&あーみん&神姫楽ミサによって結成されたアイドルユニット「KISSmeT PRINCESS」の解散劇、さらに突如として発進し、不透明な形で頓挫してしまったアクトレスガールズとの交流が石川のなかで決定打になったという。
3月いっぱいでアイスリボンを退団する石川。次の道は…
石川「プロレスという特殊な職業ではありますが、働く理由として、仕事自体が大好きである、もしくはこの人の為に頑張りたい、そうでないなら充分な報酬を貰っているというのがあると私は思ってます。やりがい搾取という言葉もありますが、搾取以上にやりがいを感じて居れば成立し得るものだとも思います。しかし、そのプロレスが好きだからというやりがいすら失われつつある中でこのまま続けることは難しいと感じました」

今後に関しては未定。大好きなプロレスを続けるかどうかも決めていない。それでも石川は「ファンの皆さんには突然の発表になってしまい申し訳ありません。こんな未熟な私を応援してくれるファンの皆さんには本当に感謝しかありません。皆さんがいたから今まで頑張ってこられたし辛いことも乗り越えてくることが出来ました。皆さんが私を好きでいてくれる気持ちと同じように私もファンの皆さんが大好きです。そしてプロレスが大好きです」と涙ながらにメッセージを送った。
朝陽は2017年8月デビューの二十歳
 朝陽は昨年11月、自身のアクションがキッカケで生まれたアイスリボンとアクトレスガールズの交流に際して不退転の決意をもって行動に出た。事実、昨年11・27川口スキップシティ大会でアクトレスとの対抗戦が実現したものの、ファンはもとより団体内部からも、プロレスの看板を下ろしエンターテインメント・パフォーマンス集団を名乗った同団体との交流に関して反発や戸惑いの声が相次いだ。

それでも朝陽はアイスが盛り上がる劇薬になればと対アクトレス路線を推進しようとしたが、年明け1・3蕨で予定された第2戦が大会前日、突如中止。団体間の交渉のなかで生じた齟齬によってアイス×アクトレス路線は宙に浮く形になってしまい、矢面に立っていた朝陽が非難の的になってしまうという、二十歳の女子レスラーにとってはつらい状況に。朝陽は「選手、団体内外からの反発・批判、意味を理解し受け止めて来ました」「それでも、アイスリボンがこのままで良いと思わなかったので、ずっと動き続けて来ましたが、その結果、アイスリボンでの自分の居場所を失いました」と当時を振り返り、今回の決断に至ったことを明らかにした。

 アクトレスへの仮移籍期間は「3カ月から6カ月」程度になる見込みで、その後は「アイスリボンに戻るかもしれないし、戻らないかもしれない。その前にアイスリボンが潰れてるかもしれない。そのままアクトレスさん所属になるかもしれない」という選択肢のなかから朝陽は大きな決断することになる。
朝陽のダブル所属は事実上の移籍となる可能性もある
「プロレスを愛するからこそ、朝陽が朝陽で有り続けるためにアイスリボンでは出来なかったポジティブさを取り入れて、アクトレスでは前向きにやっていこうと思っています」。朝陽の決断が何を生むのか。

石川奈青の退団、朝陽の事実上の移籍がアイスリボンにとっては大きなダメージになることは間違いない。2021年12月末をもって世羅りさ、鈴季すず、柊くるみらプロミネンス勢に加え、雪妃真矢を加えた主力7選手が退団。昨年5月には当時のICE×∞王者・春輝つくしが引退し、“象徴”藤本つかさは休業に入った。昨年大晦日には摩訶不思議な魅力を振りまいた真白優希もリングを降りるなど多くの人材が団体を離れてしまうなか、“未来のエース”朝陽と明るく激しいプロレスで団体を盛り上げていた石川の離脱はいかにも痛い。

現在リングに上がっている所属選手は星ハム子、トトロさつき、星いぶき、Yappy、咲蘭、キク、松下楓歩、海乃月の8選手。「アイスのために」「プロレスが好きだから」と言い続けながら闘い続けた朝陽。プリンセスや冒険家といった独自のキャラクターで人気を博し、当初は二束のワラジをはいていた交通情報アナウンスの仕事を辞めてまでプロレスに人生を捧げた石川。2人の離脱は“人材が財産”と言われるプロレス団体において、その在り方を問われる流出劇になりそうだ。

4月1日のアクトレス蒲田大会が仮所属初戦となる
以下は会見で語られたコメント全文。

佐藤社長 2023年4月からの所属選手の面談および契約更改が終了しまして、その結果を受けての本日の会見となります。まず石川奈青選手が契約の更新をしないという申し出がありまして、3月31日をもちましてアイスリボン退団となります。

また朝陽選手ですが、契約は更新しますが、本人の希望、また団体としてもより多くの経験を積んで成長してほしいという思いもありまして。4月1日よりアクトレスガールズへのレンタル移籍という形になります。

4月1日のアクトレスガールズ大田区大会がアクトレスガールズの朝陽としての第1戦になる予定です。 ということで、まずはアサキ選手からお願いします。

朝陽 皆さん、こんにちは。アイスリボンの朝陽です。本日は会見を開いていただき、ありがとうございます。自分はこういうあらたまった場所で、キチンとお話するっていうのが苦手なので、ちょっと紙に書いたものをお話しさせていただきたいと思います。

これは円満から生まれた仮所属ではありません。年末から今年にかけて、アクトレスガールズさんと交流を持つこと、そのキッカケとなった朝陽のマイクに対しての選手、団体内外からの反発・批判があり、私はその意味を理解し受け止めてきました。

それでも、アイスリボンがこのままで良いと思わなかったので、ずっと動き続けて来ましたが、その結果、アイスリボンでの自分の居場所を失いました。

もともと交流をすると、両団体で決定していた事項などが直前になって変更になること(が水面下であり)、私は双方の意見を聞いた上で、非は100%アイスリボンにあると思っています。あくまでも個人的見解ですが。長年の常連さんであれば、流れで見た場合にピンとくるものがあると思います。

真相は如何に、としまして先に進みます。

朝陽が今回アクトレスガールズさんにも所属となることの経緯としまして、アイスリボンが問題なくアクトレスさんと交流をもてるようになれば、アイスリボンに戻るかもしれません。

アクトレス所属のみにならない理由は、私はあくまでもアイスリボンを盛り上げていきたい気持ちがあるからです。いまは選手も減り、試合が組まれて当たり前、プロモーションをしなくとも常連のお客様が来てくださる、そういった甘えた環境でなくしていきたいと思っています。

アイスリボンのお客様は優しいので、なんでも、それがいいと思ってくださる方も多いと思います。アイスリボンが団体としてこれからやっていくのなら、今の環境ではダメだと思います。

アクトレスの方は、試合が毎回組まれることが当たり前ではないし、プロモーションなど、具体的には毎回いろんなポスター貼りや、1人何十枚というチケット手売り、練習への姿勢などの向上心含め、アイス側が吸収するべきことがたくさんある場所です。私が吸収したものをのちのちアイスリボンに持ち込めたらいいなと思っています。どうなるかはわかりませんが。

 短くて3カ月、長くて6カ月のダブル所属です。みなさんがどう捉えていただいても構いません。悲観的な見方をされる方が半数だと思いますが、朝陽はあくまでもアイスリボンのために動いているということを示します。

石川奈青が抜けて、朝陽もアイスリボンに定期参戦せず。今後、アイスリボンが普通のプロレス他団体に頼りながらどのくらいやっていけるのか、面白くできるのか、はたから見ていたいと思います。私が戻る頃に、アイスリボンが潰れていなければの話ですが。

年明けから、アクトレスさんの練習に参加させていただくことや公演を観劇するなど、もともと見ていたアクトレスさんだからこそ、今回も自分から近づいて、自分の目でいろんなものを見てきました。

その中で感じたことはアクトレスさんのリング内の闘いはまぎれもなく100%真剣であり馴れ合いもなく、他の1部弱小団体の試合と比べて遥かに上をいっているものでした。

アクトレスは30人を超える大所帯で、更に練習生がいます。アクトレスガールズさんの練習や試合への向上心、気合い気迫、プロモーション行動など、見習うところばかりなのにプロレスという概念に縛られ、プライドを捨てられないアイスリボン選手と朝陽は合わなかったようです。朝陽は、いざとなった時に捨てられないプライドは人生に不要だと思っております。

アクトレスさんは人数が多いからこそ、入ったところで朝陽も当たり前に試合が組まれるわけではありません。そういった工夫をリスペクトしつつ、自分にはない表現の幅を広げていきたいと思いますし、客層の違うアクトレスさんのお客さんに朝陽を知っていただきたい。そんな気持ちによる仮所属でもあります。

吉と出るか凶と出るか。この期間を終えない限りはまったくわかりません。

アイスリボンに戻るかもしれないし、戻らないかもしれない。その前にアイスリボンが潰れてるかもしれない。そのままアクトレスさん所属になるかもしれない。

女子プロレス界には、なかなかない選択肢だと思います。

プロレスを愛するからこそ、朝陽が朝陽であり続けるために、アイスリボンではできなかったポジティブさを取り入れて、アクトレスでは前向きにやっていこうと思っています。

以上の理由で両方の所属になりますが、朝陽はプロレスラーであることはなんにも変わりません。そして、そんな朝陽を応援してくれるくださる方が1人でもいるのなら、私は続けて頑張っていこうと思っています。以上です。
朝陽はアクトレスガールズ仮移籍の理由を明かした
 以下は質疑応答。

――アクトレスガールズで学べるどんな部分がプラスになると思う?

朝陽 大会に向けての行動、プロモーション活動であったりとか、 その大会のための練習だとか。アクトレスさんは本当に、ひとつの公演に対して全員が全集中してるような状況なので。私はこの間、群馬で凱旋興行をした時に本当に思ったんです。自分からプロモーションをしていかないといけないなと思いましたし、それを自分がやってみて、(通常の)アイスリボンの大会にも持ち込んでっていうふうにやっていきたいなと。要は現在進行形で、どっちにもいい効果をというか、(アイスに)戻る時があったら、吸収したものを還元できればという部分ですね。

私は何か2つのことを同時にやるというのが苦手なので、いったんアクトルさんで学ばせていただいて、 のちのちアイスリボンに、私が戻るとすれば持ち込んでいきたいなと思っております。

――移籍ではなく、ダブル所属的な仮移籍になった理由は?

朝陽 それはやっぱり私がアイスリボンを愛してるから。本当はアイスリボンから離れるときは、イコールプロレスを辞めるときだと考えていました。それを覆すほどのことがあったんだぞっていうのを皆さんにご理解いただければと思います。

――アクトレスガールズはプロレスの看板を下ろし、エンターテインメント・パフォーマンス集団をなのっている。その部分に関しては?

朝陽 私は公演を観劇する形だったり、実際中身がどうなってるかっていうのは全く知らないぐらいで。でも、向こうに行ったら向こうのやり方にあって、それにあうようにやりたいと思います。

 ――アクトレスガールズでは演者は、プロレスラーではなく、アクトレスガールズとなる。朝陽選手がアクトレスにいったらどういう立ち位置になるのか?

 佐藤社長 朝陽選手としてはプロレスラーであることを捨てるわけではないので。基本的には坂口代表の方には所属と同じような形でと。アイスリボンからゲスト参戦をしてるというのではなくて、普通の所属選手と同じような形で扱ってほしいという形でお願いをします。朝陽選手に関しましては、中学生、14歳のころから7年近くやってきてます。つまり、アイス以外の団体を知らない状態でもありますし、他団体に参戦するというのもほぼない。そういうなかで大所帯のアクトレスさんの水に触れるというのはすごく大きな成長になるんじゃないかと。

朝陽 普通のプロレス団体でも、例えばコミカルマッチがあったり、通常とは異なる演出を前提とした試合形式っていうのはあると思います。例えば(アクトレスが)ポイント井にしたという部分に関して、それをやってるからと言って否定ではないような気はします。試合内容で見せればいいってことですよね。私は、リング内で輝いている朝陽を見せたいっていうのは、アイスリボンにいようが、アクトレスさんに移ろうが、変わらない気持ちですので。勝敗云々よりも、私は感情で見せたいと思ってます。

――佐藤社長に質問です。アクトレスとの交流を経て、アイスリボン内で居場所をなくしてしまったという朝陽選手の発言があったが? 

佐藤社長 その部分に関してましては、正直言って今回のアクテルガールだけの問題ではないところもあります。じゃあ(朝陽が)いま言ったように、アイスリボンの選手が盛り上げていないかと言えば、そういうつもりはなく、みんなで盛り上げようと活動しています。その試合だけじゃない、いろいろな問題もあります。選手だけじゃない問題もあります。そういうなかで、やはり朝陽選手が今後、活動していくなかで、私はいったんアイスリボンを離れたほうがいいと。いままでもじつは(朝陽がアイスを離れたことは)何度かあります。でも、離れたからと言ってプロレスラーであることに変わりはなく、戻ってくるところもあって。プロレス団体とプロレス団体とは違うところの水を浴びに行ってくるわけで。(現状が)本人にとっても団体にとってもプラスにならない状況になってるならば、それを変えてみようというので、ひとつの形式としてレンタル移籍というもののご提案をいただきまして、今回こういう形になりました。

確かにいま朝陽選手が言ったような部分のアクトレスガールは、人がどんどん増えていく中での競争があります。アイスリボンにおいてはいま所属選手が少ないためスケジュールさえあれば、 例えばプロモーションをしてなくても試合が組まれると。そういった部分でやる気のある選手と、そうじゃない選手の意識の高さとかも出てくると思います。ただ、それぞれの状況に応じた形の中で全選手、頑張ってるという認識はあります。確かにマンパワーが減ってくなかで団体運営は厳しいところはありますが、団体としてはその中でも運営をしていかなければいけないので。新しい選手の発掘であったり、教育・育成であったり、えーいう部分をもっとテコ入れをしてこうと。

――やり方に賛否両論あったとはいえ、朝陽選手はアイスのためにと動いてきた。それがこういう結果を招いたことに残念な思いはありますか?

朝陽 ただ(朝陽は)明るい気持ちで、前向きにやっていこうっていう考えなので。エース候補エース候補と言われてきたけど、エースにならなくてよかったなと思います。エースになっていたら抜けたくても抜けられないような状況になってしまうと思うので。

 ――朝陽選手、石川選手の離脱を受け、今後の団体運営の展望は?

佐藤社長 これは根底から変わってないと思うんです。アイスリボンは女の子たちの成長物語だと。才能に恵まれたエリートかと言えばそうじゃないかもしれない。だけど、そういう子たちがリングの上で 闘いを求めて成長していく姿を見せていく。それがアイスリボンの根底だったと思うんです。

選手を育成し、増えていくと、そういう成長過程が逆に見せられないという状況になり、近年はそれがしばらく続いていた中で、2006年の旗揚げのころと変わらないような形かもしれませんが、当時も若い選手が中心となって、まだまだ未熟なところもありますが、頑張ってそれを見せていっていたので。未熟ながらも、手探りで、いまみんな頑張って団体をやってく、それがアイスリボンの魅力だと思いますし、形だと思います。

――仮移籍期間はアイスにも参戦するのか?

佐藤社長 先ほど朝陽選手が言った3カ月から6カ月をひとつのめどにして、その間においてはアイスリボンの大会に大会においても、その他の団体においても朝陽選手を出すということは考えておりません。

これはどの団体でもそうなんですけど、お客様としてゲスト参戦してる時と、所属の意識では全然違うんですよ。せっかくアクトレスにいくなかで、お客様扱いを朝陽選手にされてしまうと、それは本人の成長だとか、経験になると思わないので。むこうの所属選手と同じ形になると思います。
涙ながらに退団理由を明かした石川
◆ ◆ ◆
佐藤社長 続きまして、3月31日付けを持ちまして契約満了、退団となります石川奈青選手です。

石川 アイスリボンの石川尚央です。 私も言葉にするのが苦手なので文章を用意してきたので、読ませていただきたいと思います。

皆様、本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。

私、石川奈青は3月31日をもってアイスリボンを退団します。

退団を決めた理由としては佐藤肇社長のためにプロレスを嫌いになりたくない、というのが1番の理由です。

何かそれらしい理由や綺麗事を用意してお伝えしようかとも考えたのですが、自分の気持ちを正直に伝えたい、正直な気持ちを伝えるのがプロレスラーだと私は思ったので正直な言葉でお伝えしたいと思いました。

私はプロレスが大好きです。

もともとファンだったわけではなく偶然に出会ったプロレスですが、知るほどに魅力を感じどんどん好きになりました。

プロレスという概念が本当に大好きです。そして、そのプロレスと出会わせてくれたアイスリボン、私をプロレスラーとして育ててくれたアイスリボンには本当に感謝しています。

しかしそんな大好きなプロレスを続けていくにあたって代表である佐藤社長の人間性に対する不信感、嫌悪感が大きくなりこのままではプロレス自体をハッピーに続けることが出来ないと思い、退団を決意しました。

不信感や嫌悪感というものは私一個人の主観であり、ほかの方に強要するものではないと思いますので個人の感想として聞いていただければと思います。私は今までの人生でこんなにも他人の事を生理的に受け付けないと思った事はありません。

不信感や嫌悪感が募る場面はいくつもありましたが、大きくは何かアクシデントがあった時の選手や対外的な対応に関してです。

コロナ禍での選手やスタッフのコロナ感染の際の対応や、一昨年の大量離脱から昨年末の同期の引退まで去っていく選手への態度、対応。そして決定打になったのはキスプリの解散と年末のアクトレスさんとの件での対応です。

プロレスに限らず何か予期せぬ事態が起きることはあると思います。その結果や事実の良し悪しよりも、そのことに関して真摯に受け止めて向き合う姿勢が人間として一番大切だと私は思います。

私は、デビュー時は兼業でしたが、プロレスにもっと向き合う為に昨年からは専業としてプロレスのことだけを考え全力で向き合ってきたつもりでいます。

そんななかで、佐藤社長と近くで接する機会も増え一つ一つの対応に対して不信感が募っていきました。

プロレスという特殊な職業ではありますが働く理由として、仕事自体が大好きであるもしくはこの人の為に頑張りたい、そうでないなら充分な報酬を貰っているというのが働く理由としてあると私は思っています。

〝やりがい搾取〟という言葉もありますが、搾取以上にやりがいを感じて居れば成立し得るものだとも思います。しかし、そのプロレスが好きだからというやりがいすら失われつつある中でこのまま続けることは難しいと感じました。

私自身がプロレスラーとして人間として未熟であるばかりにこのように考えてしまっている面も多くあると思います。

アイスリボンという団体が今まで続いてきたのは佐藤社長がいてこそのものだと思っていますしその点では尊敬しています。プロレスでハッピーという言葉も大好きです。ですが、それを踏まえてもプロレス自体を嫌いになってしまいそうな状態のまま続けることは私には難しいです。

こんな気持ちのままプロレスを続けることはファンの皆さまの気持ちを裏切っているように思えて本当に心苦しかったです。

退団後の活動については現状まったくの未定です。今はとにかくプロレスを嫌いになってしまう前に一旦離れてから改めて考えたいと思っています。

そして最後にファンの皆さんには突然の発表になってしまい申し訳ありません。こんな未熟な私を応援してくれるファンの皆さんには本当に感謝しかありません。皆さんがいたから今まで頑張ってこられたし辛いことも乗り越えてくることが出来ました。皆さんが私を好きでいてくれる気持ちと同じように私もファンの皆さんが大好きです。そしてプロレスが大好きです。
佐藤社長を目の前にして歯に衣着せぬ言葉を連ねた石川
 以下は質疑応答。

――退団後、プロレスは続けるのか?

石川 続けるか続けないかというのも今の精神状態では考えられないので、一旦離れて考えたいというのがいまの気持ちです。

――いろいろな出来事が積み重なっての決断になった?

石川 そうですね。

――佐藤社長はいまの石川選手の言葉を聞いて何を思った?

佐藤社長 (石川に対して)具体的にコロナの件で何がありました?

石川 そういうところですよ。どっちがいいとか悪いとか言いたい話をしてるわけじゃなくて、いまそういう質問があった時にも威圧的な態度で回答するところとか。そういうひとつひとつの不信感であり、嫌悪感です。

――問題が起きた後の対応が不誠実だと?

石川 私に関することではないのでどっちがいい悪いというのはわかりません。ただ、その問題に真剣に向き合う対応として、私の納得できるようなものではなかったなと思いました。

――嫌悪感や不信感など気持ちの揺らぎはいつ頃から抱いていた?

石川 専業になってから、やっぱり道場にいたりする機会も増えて、いろいろかかわることが増えたうえで徐々にという感じです。徐々に募っていったっていうところと、やっぱり昨年末は同期(真白優希)の引退だったり、キスプリの解散だったり、アクトレスさんの件だったり、そういうのが一気に重なった時期でもあったので、そういう時にやっぱりどうなのかなっていう気持ちが大きかったですね。

――佐藤社長との話し合いでは解決できなかった?

石川 そうですね、解決したかったですけど、できなかったので。

――こういう形での退団は不本意なのでは?

石川 いえ、本当に思ってる素直な気持ちなので。なんか取り繕って辞めるよりも、こうやってホントの気持ちを伝えられて、退団という選択肢を(とった)。こんな気持ちのまま続けるのもどうかと思うので、決断できたのは良かったと思っています。

――プロレスを続けたい気持ちがあるからこそ、決断した?

石川 そうですね。そう言っていただけると、根底には嫌いになりたくないっていう気持ちがありますし、 続けられるなら続けたいっていう気持ちがあるのかもしれないです。ただ、今はそれすらもちょっと考えられないです。

――3月いっぱいで退団。以降は休みながら今後のことを考えたいと?

石川 そうですね。現状はホントにそのつもりでいますけど、もし何かあのあるのであれば考えたいと思います。

――こういう形で選手が不満や不信感を抱いていたという現状があったと。気持ちを完全に察することは難しいと思うが、そういうなかでももう少しいい形で採れていたら、という気持ちはありますか?

佐藤社長 そうですね、比較的、石川選手とは専業になってから話す機会が多かったですし、プリンセスパーティという彼女のプロデュース大会をやってきたこともあるので。プロデューサーとして話をすることも多かったですし、いろいろ話しをするなかで、大会を運営する部分で指導をしたり、怒ったりとか、言い争ったりということはあったかと思います。そのなかで話はしてきていて、キスプリに関しても解散というか、アイドル活動の休止ということで。これは本人とも話しをして、私としては納得したなかでやっていたと。キスプリはキスプリとして、その後もプロレスの活動をしていくつもりで、実際1月からもカードを組んでいたところ、本人からもキスプリはやらないと。入場曲も変えると。そこで、あれ?というのはありました。

――コミュニケーション不足だったんでしょうか?

佐藤社長 コロナ禍の中で、かつスタッフ・選手が抜けてく状況もあるなかで、いろんな業務が増えてきた。これは言い訳でしかないんですが、アイスリボンという会社にしてみるならば、2022年度の売り上げは伸びています。大量離脱はありましたけど、去年の売り上げは伸びてる。利益というのは別ですが。それはなぜかというと、数を増やしたこと、大会数を増やしかったっていう部分になってる大会数多くなってくると、やはり少ないスタッフの中でやってるウチの会社としては、どうしても選手のケアに手が回っていないという部分は多々あるかと思います。

その中では選手から相談を受けられたことでも、それに対して軽い対応をしていたケースもあったかと思います。それは物理的な部分、客観的な部分も含めて。

たださっき言われたコロナ禍に関してのことをどういうとらえ方をしたかとなると、それはそれぞれのとらえ方になると思いますが、何もやましいことであったり、嘘のことをしてるわけではないので。

――キスプリに関して言うと、辞めたくなかったということですか?

石川 う~ん、続けられるのであれば、続けたい気持ちもありましたけど、それが続けられるか、続けられないかというのは私イチ個人で決定できるものじゃないというのはわかってるので。続けたかったのに続けられなかったからとか、そういう結果に対して何か不満があると言ってるわけではなくて、そうなった現状に対して真摯に向き合う姿勢がどうなんだろうと思ってたいな、という方向を選ばせていただきました。

――選手の希望通りにならないところがあるのは納得しているが、真摯ではなかったというのは? 話し合いはしたということだが、その決定経緯が独断的だった、もしくは簡単に決められたなどどういう感じだったのか?

石川 そうですね、自分としてはその両方を感じてはいます。

 ――石川選手は3月いっぱいで退団するが、残った選手や団体にこれからこうやっていってほしいというメッセージはありますか?

石川 ないですね。

――ない…!

石川 今後、私が退団してアイスリボンが解散しても、 団体自体がなくなっても構わないと私は思っています。そう思うくらいに、私は所属として、所属選手の時に精いっぱい向き合ってやってきたと思っているので、その結果、こういう退団になってしまったので。今後のことは自分にはわからないです。

――一連の不信感に関して、誰かに相談したりはしなかった?

石川 うーん、本当に内容を聞いていただいてもそうですけど、ホントに私イチ個人の気持ちで考えて決めたことなので。それは誰かに共感してほしいとか同意してほしいというものではないので。相談して決めたということはないです。

――他の選手に対して思うことは?

 石川 プロレスラーとして頑張ってほしいとかはあるとは思うんですけど、正直言うと、そういう色々なことが今まであって。私はここまで思うくらいのことがいろいろあったと思うんですけど、それに対して何も思わず、そのまま現状を続けていくんだったら、じゃあ、ずっとそうしてればいいんじゃないかなって思います。

――波紋を呼ぶ会見になったと思うが、円満に終わらせるつもりは考えなかった?

石川 冒頭にも伝えたんですけど、そういうきれいごとを用意しようかなとも一瞬思ったんですけど、やっぱりプロレスラーは正直な気持ちを伝えるものだと、私はホントに思うので、こうして伝えさせていただきました。

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