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2023-04-27

「夢の真っただ中を生きている」 サッカー場『アルジャーノンフィールド柏』、サッカーアカデミー『FCボーダーレス柏』を作り、子供たちの指導に情熱を燃やす秋谷雅義

アルジャーノンフィールド柏でボーダーレスグループ代表の秋谷雅義(左)と櫻井健太郎コーチ

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練習の様子を見つめる選手たちの保護者や家族。送り迎えのできない保護者のために車での送迎も行っている
練習の様子を見つめる選手たちの保護者や家族。送り迎えのできない保護者のために車での送迎も行っている

「どのようなレベルの子もここに来ればサッカーの面白さを知り、その楽しさを学びながら成長することができます。緑の人工芝があるだけで、子供たちの目が輝くのです。僕らもやっていて気持ちいいですしね」

 サッカーでは、試合になればスタメン、リザーブが存在する。そのような厳しさもあるが、サッカーのレベルに関係なく、全員を大切にして、ボーダーを取り払って平等に接していきたいという。

「やるからには本気で取り組んで、上手くなってほしいです。指導者として厳しい決断をすることもありますが、凄く真面目な子、少しヤンチャな子、どんな性格・人種・ジェンダーでもボーダーレスに受け入れています。それが私たちのクラブ名『ボーダーレス』にもなっています。僕の尊敬する氷室京介さんのアルバムから取った名前でもあります。アルジャーノンも彼のアルバムからです。世代は違いますが、親の影響で大好きになりました」

緑豊かなで静かな環境のため騒音の心配もなく、選手たちは伸び伸びプレーできる
緑豊かなで静かな環境のため騒音の心配もなく、選手たちは伸び伸びプレーできる

 過去にはこんなこともあった。秋谷氏が都内のクラブで指導をしていた際、前の所属クラブで差別を受けた外国籍の子がやってきたのだ。移籍後はそのような問題もなく、楽しくプレーできるようになり、「日本に来て良かった」と言ってもらえたという。まさに、サッカーには国境がない、ボーダーレスという考え方の原点となる出来事だった。

グラウンドの脇にある2階建てのクラブハウス。木材を多く使用し、温かみのある雰囲気になっている。1Fには練習前後に子供たちや保護者らがコミュニケーションを取れるスペースもある
グラウンドの脇にある2階建てのクラブハウス。木材を多く使用し、温かみのある雰囲気になっている

「スポーツの素晴らしさをここで味わって、行けるところまでとことん行ってほしい。プロになることができれば、それは当然素晴らしいことです。でも、たとえプロになれなくても、ずっとサッカーを好きでいてほしいですね」

 最寄り駅は東武アーバンパークラインの高柳駅だが、3.5kmも離れており徒歩では40分以上かかってしまう。決してアクセスは良くないが、その土地ならではの利点も生かそうとしている。

「アクセスが悪い分、設備にお金を掛けられた部分もあります。クラブハウスの中には、練習の前後にみんながコミュニケーションを取れるスペースを作りました。それにこの地域は空気が澄んでおり、プレー環境は凄く良いです」

3対1の練習。照明を完備しており、夜間も問題なくプレーできる
3対1の練習。照明を完備しており、夜間も問題なくプレーできる

 Jリーグがオフの時期、自主トレでこのグラウンドを利用したプロの選手たちにも好評だった。 

『自然の中で周りが静かなのが凄く良い。高台なので周りからも見えない』

 周囲に何もない環境が逆に高評価だった。さらに、畑に囲まれた立地を生かして、将来は子供たちが農業体験をできるようなプランも練っているという。

2チームに分かれてゲーム形式のトレーニング。それまでの練習メニューを意識しつつ、それぞれの個性を出すようにとの声が飛んだ
2チームに分かれてゲーム形式のトレーニング。それまでの練習メニューを意識しつつ、それぞれの個性を出すようにとの声が飛んだ

 FCボーダーレス柏サッカースクールは今年4月にスタートしたばかりだが、すでに多くの子供たちが集まってボールを蹴り、元気にピッチを走り回っている。

「今、自分は夢の真っただ中にいる。ここに来てくれる子供たち、保護者、スタッフとともに、この夢から覚めないように前に進んでいきたい」と秋谷氏と笑顔を見せた。


ボーダーレスグループ代表の秋谷雅義(左)と櫻井健太郎コーチ

ボーダーレススポーツグループ 秋谷 雅義 代表
日本体育大学柏高校、東京国際大学出身。2013年に18歳で指導者キャリアをスタート。各都道府県で主にジュニアユース年代の指導に携わり、ヨーロッパでも指導経験を積んだ。2023年度よりFCボーダーレス柏のアカデミーダイレクターに就任。
 

アルジャーノンフィールド柏
2023年全面オープンの施設。ヨーロッパ最先端人工芝システム、2階建クラブハウス、LEDナイター照明完備。Jリーグで活躍するプロサッカー選手もトレーニング場として使用する。

FCボーダーレス柏
2023年4月スタートのサッカーアカデミー。アルジャーノンフィールド柏を拠点とし、ヨーロッパ最先端の人工芝システムを採用した施設で、ヨーロッパの伝統、専門知識、知恵、最先端の育成モデルから作成されるメソッドを基に指導に取り組む。

取材◎池田晋 写真◎BBM

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