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2023-05-19

【関東インカレ】東大の北岸健吾が分析力で男子2部800m王者に「勉強も疎かにしたくない」と学業も両立、秋は日本インカレで活躍を

関東インカレ男子2部800m優勝の北岸健吾

5月11~14日に神奈川・相模原ギオンスタジアムで行われた第102回関東学生陸上競技対校選手権大会(関東インカレ)。東大3年の北岸健吾が初優勝を飾った男子800m2部を振り返る。

ラスト勝負だったら勝てるかも

関東インカレ男子800m2部は、6月初旬に日本選手権を控える影響もあってか、昨年優勝の飯濵友太郎(立教大4年)が欠場、同3位の高橋創(東大4年)が予選のみの出場に。本命不在のなか、昨年8位入賞の北岸は準決勝を1分54秒85の全体トップのタイムで通過した。

4日目に行われた決勝は、激しい雨が降るなか、仲井真タイ剣人(関東学院大4年)がけん引する展開となり、北岸は1分49秒台を持つ栗原直央(城西大3年)の背後につき、先頭集団でチャンスをうかがっていた。準決勝でライバルたちの戦いぶりを見て、「ラスト勝負だったら勝てるのではないか」と分析していたのだという。残り120m付近で「ここ一発で決めるという気持ちでラストスパートしました」と一気に2人をかわし、1分52秒24でフィニッシュした。

昨年8位から優勝へステップアップし、両手を天に突き上げるガッツポーズで喜びをあらわにした北岸。レース後は冷静な自己分析も忘れなかった。

「去年までは800mを1本走り切ることで一生懸命でしたが、今季は相手選手の様子を見ながら自分の展開に持っていくためにはどうすればいいかをレースのなかで考える余裕が出てきています。ただ、この能力と自己ベストを更新していく能力はまた別物。今後は、1分49秒台、48秒台、47秒台を出していくために、また練習を積みたいと思います」

北岸は全国でもトップレベルの進学校である兵庫の灘中・灘高出身で、中学時代に陸上を始め、灘高3年時にインターハイの代替大会である全国高校大会に出場している。「勉強の選択肢が幅広いから」と中学時代から目指していた東大に現役で進学。受験を挟んだ高3から大学1年までは「なかなかうまく走れない時期が続いた」と競技面でスランプを経験した。大学2年目の昨シーズンは、自己記録を1分51秒台まで伸ばし、自身3年ぶりの全国大会となった日本インカレに出場するなど、復調の兆しを見せ始めた。3年目の今季は、4月に1分51秒44の自己新、そして関東インカレ制覇と、学業と競技の両立を模索しながら、充実した日々を送っている。

「東大の陸上部には創さんがいて、練習環境も整っています。強豪校ではないですが、試合では個人単位で強豪校の選手と熱いレースができるのはすごく楽しいです。勉強面では、まだ授業を聞いて学んでいる段階で、自分から研究してという段階ではないんですけれども、陸上を頑張ってるなかでも勉強面を疎かにしたくないと思っています。(学業と陸上の割合は)半々ぐらいです」

今後の目標は、日本インカレや日本選手権といった全国大会で結果を残せる選手になること。持ち前の分析力を大舞台で効果的に発揮するには、全国トップレベルの選手と同じくらいの走力が必要になってくる。

「とりあえず、この夏の間に1分48秒台を出したいです。今回の関東インカレでも1部と2部で差があったと思うんですけど、1部の選手とも台頭に戦える力をつけていきたいと思います」と誓った。


関東インカレの男子800mで東大の選手が優勝したのは1948年の第27回大会の横田忠夫以来となる

男子2部800m決勝

優勝 北岸 健吾(東大3年)1分52秒24
2位 栗原 直央(城西大3年)1分52秒54
3位 仲井真タイ剣人(関東学院大4年)1分52秒81 
4位 野口 遥斗(流経大1年)1分53秒42
5位 石井 遥大(横国大1年)1分54秒09
6位 岡本 晃汰(亜大1年)1分54秒18
7位 宮本  凪(城西大1年)1分55秒14
8位 小林  徹(東経大2年)2分00秒21

写真/中野英聡、田中慎一郎 文/内田麻衣子

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