close

2023-05-20

【相撲編集部が選ぶ夏場所7日目の一番】復活Vへ上り調子。照ノ富士が有望株の金峰山を転がして7連勝

左からの上手投げで金峰山を転がす照ノ富士。三役との対戦が待つ後半戦へ向け、徐々に調子を上げてきた

全ての画像を見る
照ノ富士(上手投げ)金峰山

今場所初めて、ガッチリつかんだ左上手。その上手から、174キロの巨体を豪快に投げ捨てた。横綱照ノ富士が、初顔合わせの新鋭・金峰山を一蹴して初日からの連勝を7に伸ばした。
 
この日の相手の金峰山は、入幕2場所目。新入幕の先場所、11勝を挙げて敢闘賞を手にしている有望株だ。照ノ富士は、場所前の横審稽古総見でも、「そんなに(対戦があるほど)番付が上がっているとは知らなかったが、有望力士で勢いもあるし、強くなりそうだなという期待もあって、肌を合わせてみようと思った」と、金峰山を稽古相手に指名し、2番取っている。そのときも左上手投げと寄り切りで寄せつけなかったが、本場所で顔が合ったこの日は、それ以上の完勝だった。
 
立ち合い、金峰山は「モロ差しでいこうと思っていた」が、しっかり当たってそれを許さず右差し、そして立った直後に左上手をつかんだ。右の差し手を返すと金峰山の左手はバンザイの形に。上手を引きつけながら黒房下に寄ると、そのまま上手から土俵に叩きつけた。

「(稽古場では)右を差してゆっくりできたんだけど、本場所では全然違う。スピードが。本場所ではめちゃくちゃ強い」と金峰山に舌を巻かせた。
 
4場所連続休場から復帰した今場所の照ノ富士は、初日は正代に攻め込まれて逆転勝ちとちょっと危ない相撲だったが、2日目、3日目と相手に圧力のかかる内容の相撲が出だすと、4日目、5日目は翔猿、宇良といったうるさい相手を抱え込んで極めながら料理。6日目は廻しは取れなかったが主導権は与えず錦木を小手投げ。そしてこの日の完勝と、だんだん場所での相撲勘も取り戻し、状態が上がってきているように見える。その点には、「日に日によくなっていると思います」と、横綱自身も手ごたえを感じているようだ。
 
これでストレートでの勝ち越しに王手をかけたが「15日間終わってからじゃないと分からないんで」と、もちろん見据えるところは勝ち越しではなく、さらにその先だ。初日の取組後には「出る以上は優勝を狙う?」と聞かれ、「もちろん。ハイ」と答えている。
 
このあとは、あす琴勝峰、その後はこれまた初日から7日目まで連勝で来ている明生、そしていよいよ三役陣との対戦が待っている。特に、今場所元気な4関脇との対戦は、今後の角界の勢力図を形作る注目の戦いとなる。「いつ辞めてもいいという覚悟でやっている」という横綱の覚悟が勝つか、上を目指す関脇陣が壁を破るか。今から楽しみが膨らむ。
 
この日は、その関脇陣の中で、今場所大関とりに挑んでいる霧馬山が正代の攻めをかわし切れず2敗目。この時点での2敗は星勘定の上でも痛いが、今場所ここまで“攻め勝った”という相撲があまりないのも印象点ではちょっとマイナスで、気がかりなところ。5日目の時点でいい軌道に乗ったかと思われたが、もう一回ネジを巻き直さないと、楽観はできない感じになってきた。

文=藤本泰祐

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事