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2023-06-14

変形性ひざ関節症教室 第18回 変形性ひざ関節症の進行と症状① 変形性ひざ関節症は5〜15年ほどかけてゆっくり進む

 ひざは健康寿命延伸の要の関節。ところが、中高年になると、ひざ関節の軟骨がすり減り、「ひざが痛い」「水がたまる」「痛くて長く歩けない」「ひざか変形した」などといった症状に悩む方が増えてきます。本連載では、ひざの専門医・田代俊之ドクターが、変形性ひざ関節症の症状と治療について、やさしく解説していきます。今回から2回にわたり、変形性ひざ関節症がどのように進行していくかのかについて説明していきます。

ひざの軟骨は徐々にすり減っていく

 国内の変形性ひざ関節症は、自覚症状がある患者さんで約1000万人、X線撮影で変形性ひざ関節症と診断される潜在的な患者さんは約3000万人に上ると推定されています。このように患者さんは非常に多く、特に高齢者の患者さんが多いことが知られていますが、一方で、ひざが痛いにもかかわらず、病院を受診しない方が多いことも事実です。

 変形性ひざ関節症はゆっくり進行していきます。立ち上がりなどの動き始めの痛みに始まり、歩行時や階段の下りで痛みが生じるようになります。さらに進行すると、痛みのために歩ける距離が減り、行動半径が狭くなります。この間に、関節水腫(ひざに水がたまる)、可動域制限(ひざを曲げ伸ばししにくくなる)などの症状も出てきます。そして気づいたときには脚がO脚に変形しています。このようにして変形性ひざ関節症は5年から15年ほどかけて進行していきます。

 次回では、変形性ひざ関節症を初期・中期・末期に分け、それぞれの特徴を示していきます。


イラスト:石川正順


プロフィール◎田代俊之(たしろ・としゆき)さん
JCHO東京山手メディカルセンター整形外科部長
1990年山梨医科大学卒業後、東京大学整形外科入局。東京逓信病院、JR東京総合病院勤務をへて、2014年に東京山手メディカルセンターへ。2017年4月より現職。ひざ関節の疾患を専門とし、靭帯損傷、半月板損傷、変形性関節症などについて、長年にわたって幅広く対応している。2004年より中高齢者に向けたひざ痛教室を毎月開催している。日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。陸上競技実業団チーム(長距離)のドクターも務める。


この記事は、ベースボール・マガジン社の『図解・即解!基礎からわかる健康シリーズ 変形性ひざ関節症』(田代俊之著、A5判、本体1,500円+税)からの転載です(一部加筆あり)。 Copyrightⓒ2022 BASEBALL MAGAZINE SHA. Co., Ltd. All rights reserved.

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